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フランシスコの生前退位?

前任のベネディクト16世に続き、教皇フランシスコがこの夏ころ、引退発表するのではないか!?という噂でもちきりです。(写真=Annett_KlingnerによるPixabay

(「教皇フランシスコも退位する気か? 意味深な予定続きに憶測が飛び交う」クーリエ・ジャポン、2022年6月9日)
まずは、クーリエ・ジャポンでもこの件、取り上げられていました。上のベネディクト16世の前に生前退位をした、聖チェレスティノ5世ゆかりの祝祭に8月、フランシスコが訪問する、8月末に新枢機卿の叙任式が開催される……などなど、「状況証拠」が列挙されています。
この副題にある「退位したら『名誉教皇』が2人になってしまうけど…」というのが、フランシスコの生前退位はないだろう、というバチカン筋の見方だったのですが、それもいまや根拠としては薄い、という雰囲気のようです。

(「混乱させて、まき散らかして—教皇フランシスコは、後継者の選出母体をどうひっくり返したか」ラクロワ、2022年6月3日)
この記事は、新枢機卿の選出内容に焦点が当たっています。
今回の21人の選出の結果、フランシスコは、これまで枢機卿のいなかった19の新しい国に枢機卿を配置し、やはり枢機卿のいなかった「2ダース」以上の教区や役職に、枢機卿を配置したことになるのだそうです。なんといっても枢機卿団は教皇を選出できる意味で、カトリック教会の意志となりえるわけですから、それが多様化・多極化し、西欧を中心としたこれまでの大教区の特権が薄まることは、はっきりとしたフランシスコの色となったわけです。たとえば、前回2013年の教皇選挙では、アジアからは10人の枢機卿が出席したものが、次の叙任式には20人以上が参加する、とのこと。これが次の教皇選びにどう影響するのか、です。
生前退位に関しては、この新枢機卿の叙任式が8月27日行われ、その発表が異例の3カ月前(いつもは4〜6週前)に行われたことが、「この日に何かがある」と皆を思わせているわけです。参加しやすいように、時間的に余裕をもって全世界の枢機卿に招集をかけた、というわけです。

(「なぜ教皇フランシスコは辞任するかもしれないのか」ラクロワ、2022年6月10日)
こちらの記事で、もう少し詳しく、フランシスコの状況を伝えています。
この間、7月冒頭のアフリカ訪問が延期されたことで、教皇の健康問題も再燃しましたね。いま教皇は脚を痛めて車いすですが、ちょっと痛々しい85歳です。教皇周辺の人々に取材をかけ、「辞めるわけがない」、「いやその方向に向かってる」といった観測が飛び交っているようです。
併せて、フランシスコの出身母体であるイエズス会の最近2人の総長についても書いています。同会総長も、教皇同様、終身の役職でしたが、コルベンバック元総長、ニコラス前総長とも、80歳で引退し、その発表を2年前に行った、と。フランシスコもこの「イエズス会式」に倣うのか、という観測もあります。23年には肝いりのシノドスも開催されますし、1、2年後の退任を告知する、というのも何となくありそうな話です。「その方が、枢機卿たちが後継者を考える識別期間がもてる」とも記しています。
2人の引退教皇がいても問題ないのでは、という話をフランシスコがしていたこともあり、ベネディクト16世が存命の間は引退しない、という要素はなさそうです。「(昨年の手術のあと、)次の手術の前には引退する」と内々で語った、という話も出ているそうで、やはり、健康問題が焦点なのかもしれません。ともかくイエズス会士、フランシスコは、聖霊の導きに平和な心でしたがっていくことだけは確か、と結んでいます。


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