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2023シノドス参加者発表 日本人信徒宣教者 議長団へ

ことし10月と24年10月にローマでいよいよ総会が開かれる、シノダリティに関するシノドス(世界代表司教会議)。「世界代表司教会議」と訳されているとおり、代表の司教が世界中から150人前後集まって、特定のテーマについて討議し、結論を教皇に提言する、というのが過去15回の通常総会のやり方ですが、今回、70人の信徒代表者等も投票権をもって参加します。前回、2018年の若者についてのシノドスでは、世界中から若者たちも参加しましたが、彼らはオブザーバー。分科会には参加していたようですが、最終文書を決定するときに投票権はなかったので、今回、これは画期的な、教皇による決定でした。
さらにそこで、議長代理(議長は教皇)の一人に日本から、西村桃子さん(セルヴィ・エヴァンジェリー)が選ばれています。(↑Yolanda CoerversによるPixabayからの画像)

ベルゴリオのリスト シノダリティを通じて分断した教会をいやす教皇の試み(ラクロワ、2023年7月8日)

まずこの記事は、教皇がシノドス参加者のバランスを取っている、というもの(タイトルの「ベルゴリオのリスト」はシンドラーのリストをおそらく意識し、それは以前、彼がアルゼンチンで管区長時代に、軍事政権から救った人々のリストを指して使われたもの)。
代表司教会議なので、世界各国から代表司教が選ばれるのですが、それ以外に教皇選出の参加者が70人以上いて、それは「バランスを取った」ものだそうです。単純に言って、「教皇に敵対的な代表を選出した司教協議会に対し、同じ地域から教皇の支持者である代表を任命」し、逆に、「進歩派が司教協議会によって選出されたドイツのような地域からより伝統主義的な参加者を任命」しました。具体的には、アメリカ人でLGBTQ+の司牧をしているジェームス・マーティン神父と、ドイツ人で保守派の元教理省長官(定年前に引退させた)のゲルハルト・ミュラー枢機卿、という超両極端な人を同列に、教皇は選んでいるのです。
フランシスコの発想だと思うのですが、決して自分の思い通りに引っ張っていくリーダーなのではなく、あくまで教会共同体として、どこに向かっていくかを、時間がかかっても一緒に見出したい、分かり会えないことを恐れない、そして忍耐強く、諦めないことを示した人選と言えそうです。
もう1点、画期的なことは、過去15回のシノドスで、議長団は数名の枢機卿だったものが、今回、教皇+8人となり、そこに東方典礼の総主教1人、司教3人、司祭、シスター、信徒宣教者各1人が入ったことです。記事は、「議長代理職が儀式的なものとみなされて」いたとしても、「教会における儀式や象徴は大きな現実を意味する」とその価値を唱えます。
初めて信徒の参加者が投票権をもつことも、画期的ですが、投票権をもつ参加者360人ほどのうち、50人ほどが女性、学部の大学生もいるそうです。
ただし、記事のまとめは、「シノドス(的改革?)はまだ始まったばかり」というもの。「実際に教会が若返りできるか、単に教会の崩壊を早めるパンドラの箱を開けただけか、10月の終わりには見えてくる」、だそうです。

ジェームス・マーティン神父(イエズス会)選出、過去60年でもっとも野心的教会刷新の歩みのために(タブレット、2023年7月7日)

こちらの記事も、参加者の幅広さが指摘される中、ミュラー枢機卿とマーティン神父との対比から始まっています。ミュラー枢機卿はそもそも今回のシノドス自体に批判的で、これを「敵対的買収」と呼び、さらにマーティン神父のことを「異端を広めている」と批判していることが紹介されています。それでも同枢機卿は、「シノドスに招待され光栄、楽しみにしています」、のだそうです。
討議テーマとして、「女性助祭の可能性、既婚男性の叙階、LGBTQ+カトリック信者の受け入れ拡大、統治機構の改革、司教の選出、信徒のリーダーシップ、教会の意思決定のあらゆるレベルに女性を参加させることなど」が挙げられ、投票権をもつ参加者には、障害者団体の会長や地中海で難民支援している人なども含まれています。
その後(英雑誌なので)、英、アイルランド、豪、米国の参加者について詳説し、やはり左右上下からバランスよく選出されている様子が分かります。
議長団に女性が2人入ったことも伝えています。
シノドス自体に反対する保守層がいる反面、シノドス的改革は不可逆的と主張する人もいて、同じ参加者で今年と来年10月に2度行われる総会がどういう成果を生み出すか?
それにしても、右左、上下入り乱れた10人の小グループで3週間半にわたり分かち合いをするのは、相当の根気がいる作業かも。もしミュラー枢機卿と同じグループになったら、改革派信徒は、何を話せば聞いてもらえるのか??? 本当に霊の導きを祈り願う、観想的な歩みをしなければならなそうです。共同識別って、タフそうです。

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