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教皇庁は どう変わろうとしているか?

教皇フランシスコが2013年に就任して以来、ずっと取り組んできた教皇庁の改革(その考えは2014年12月22日、「ローマ教皇庁への降誕祭のあいさつ」によく表されています、これは朝日新聞GLOBE2014年12月24日付「バチカンが患う15の病気」でも紹介されました)ですが、3月19日に使徒憲章『プレディカテ・エバンジェリウム(福音を説く)』(リンク先はイタリア語版)が発表され、いよいよ公式に教皇庁の組織改革の概要が確定しました。
6月5日、聖霊降臨の主日に施行される本憲章について、以下のような解説記事が並びました。

(「バチカンの回心」ラクロワ2022年3月21日)
官僚主義に侵されて、霊的なダイナミズムを失っている教皇庁が、まず福音を告げ知らせるという本性的使命を思い起こすように、とのこと。そのために「まずキリストと出会うこと」と「聖職者主義と闘うこと」が中心になる。具体的変化として、各ディカステリ(部門?省?)のトップは枢機卿や大司教だけでなく、信徒、シスターも含めて任命できるようになる、とのこと……。

(「教皇フランシスコは 教皇庁をどう再定義しているか」ラクロワ2022年3月22日)
この記事はもう少し詳しく解説しています。
これまで、教皇を補佐して世界の教会を司るのは、唯一「教皇庁」の役割となっていたものが、教皇庁のほか、「司教たちのシノドス(世界代表司教会議)」と「枢機卿評議会」も同様の権限をもつようになるとのこと。これを教皇は「健全なる分権化」と呼び、これによって教会は世界と、よりよく結節できる、としています。
同時に、教皇個人の権限は「間違いなく」強化されていて、教皇個人の許可が必要な事項が増えている。

(「現教皇の教皇庁改革:新たな権限概念?」ラクロワ2022年3月22日)
ここでは、教会法の専門家が議論してます。叙階されていない信徒やシスターが権限を引き受けたとき、その権限は何に由来するのか、という問題があるようです。いままでは聖職者しかやらないので、叙階の秘跡によってその権限が授けられるという考えでよかったわけです。それが一方にあり、また「教会法に従った使命」にもとづく権限、という考え方も他方、あるようです。制度をいじるとき、いろいろ“辻褄”を合わさないといけないことが起きるようです。いま現在、すでに広報ディカステリ長官を信徒のパオロ・ルフィーニ氏が2018年から務めている、というケースがあるようです。
議論は進んで、だからといって、小教区を信徒が担うことがあるか、とも問われていますが、そこは、小教区がミサが中心の共同体である以上、司祭中心は変わらないだろう、というコメントで終わっています。

(「仏大司教『教皇庁改革は地方教会指導者の役割を拡大する』ラクロワ2022年3月23日)
こちらは、フランス司教協議会会長へのインタビュー。今回の使徒憲章を、司教協議会と教皇庁との関係性から見直しています。
今現在は、教皇庁が各国司教協議会を統轄する、というイメージですから、今回の改革では、現場の司教たちの声を世界全体の教会へより反映させるようになるとの期待を述べています。これまで、世界中で画一的に教皇庁からの指示で動くようなところが、各地方の文脈に応じて教会を活かすといった方向へと改善される可能性があるのだと思います。



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