Note 33: ライフハックと私

過去32回に渡って、家電とか、パソコンとか、電気を使うものについて書いてきたけど、そこそこネタも尽きてきたので、今日は人生一般の話を書こうと思う。

ここ数年、ライフハックというものに凝っている。
凝っていた、と言うべきか。
凝ってるには凝ってるけど、凝り方が他の人と違うような気がするので、あんまり「ライフハックに凝ってるんですよ~~」とか公言したくないし、人から「ライフハックとか詳しいんだっけ?」とか言われるのはもっとヤダ。
そのへんの複雑な心情を書く。

ライフハックというのはアメリカのIT技術者の間から? たぶん出てきた言葉だと思う。
正確にはライフハックス(lifehacks)と言う。
ぼくは外来語/カタカナ英語の類は、なるべく原語に近づくように書く方だ。
というのは、そこそこ英語圏の人ともやりとりせざるを得ないので、使い分けが面倒なのだ。
この人は日本人だからライフハック。
この人はインド人だからライフハックス。
メンドクサイ。
でも、大勢に逆らってスとか付けて気取ってると思われるのも業腹だ。
だから今日からは、ライフハックと書く。
このへんからすでに、面倒くささ全開だ。

ITギーク発祥?

ハックというのは、コンピューターの世界では、超・狭義には、ソフトやハードをいじくって使いやすくする、というぐらいの意味だろう。
世間ではハッキングとかハッカーと言うと、ネットワーク犯罪とか、もっぱら悪い意味で使われるけど、ライフハックというのを人の家の電気を盗み出す方法とかいう意味で使っている人を見たことがないから、ライフハックというのはおおむねいい意味で使われていると思われる。

この本あたりが最初だと思う。

ちなみにこの本、美人の女の人が書いているから油断して読んじゃうけど(ポリコレ意識に欠けた発言……)、内容はむっちゃコンピューター寄り、それもかなり上級者よりの本だ。
ぼくなんかついていけない。
たとえば「仕事中についSNSを見ちゃうのを防ぐには、hostsをいじってSNSをローカルにリダイレクトすればいい」とか書いている。
hostsって何か分かりますか。

こういうノリで、とにかく仕事が遅いのはコンピューターが最適化されていないからだという信念に基づいて、バリバリ自分のパソコンを改良していくムーブメントだ。

上の本は名著であって、ぼくも家のどこかにあるので、精神的に余裕ができたら1つでも2つでも取り入れて行きたい。
たしかに仕事をやっている時間は、IT技術者でなくてもだいたいパソコンを使っている人が相当数いるから、みんなが取り入れたら世界的に問題になっている日本人の生産性もそれなりに上がると思われる。
まあ、都市伝説的に良く言われる「Excelのマクロを使うとズルをするなと上司に怒られる」ような会社の人はどうしようもないけどね。

GTD提唱者は紙でやってるらしい

ただ、上で述べたパソコンオリエンテッドな定義は狭義過ぎる。
ジーナさんの本にも、彼女が主催するサイトにも、人生、生活、おしゃれなどのことが書いてある。
ということで、ライフハックすなわちパソコンオタク用ではまったくない。

いちばん有名なのはGTDというやつだろう。

これはチェックリストの超スゴイ版みたいなもので、いま気になってることを全部書きだせと言う。
牛乳を買いに行く、みたいな単なる用事から(2分で済むやつは書き出さないでやった方が速い、と書いている。そりゃそうだ)、喧嘩別れした旧友に連絡を取る、みたいな思いやつまで、タスクアイテムとして書き出していく。
で、書き出したということはもう忘れていいから、あとは1個ずつ粛々と、目の前のことに集中してやっていくだけ。
心配事がないと仕事もはかどるし、人生も豊かになる、という。
一理ある。

これがパソコンが好きな人、スマホが好きな人に強力に広まって、GTDを使うアプリやサービスは星の数ほどある。
ただ、提唱者のデイヴィッド・アレンさんはぜんぜんITギークじゃなくて、本人は紙とペンとファイルボックスを愛用していると言う。
マジか。
ということで、ライフハック=パソコンではない。

ところで、わざわざ紹介しておいてなんだけど、原典と言われる上の本も、これまでライフハックともGTDとも何の関わりもなく生きて来た人にはそうとうToo Muchだと思う。
ぼくも持っているけど、読み通したことはない。
名著ではあるが、気軽に入門したい人はWebでGTDで検索し、ピンと来るサイトをちょっと読んでみればいいんじゃないですか。

ぼくは技術評論社のWeb記事でハマって、しばらくガチで取り組んでいた。

正確に言うと、いぜんムック本が出ていて、それでハマったのだ。

とか言って、調べてみたらムック版もまだ売っていた。
2006年と古いけど、コンパクトにまとまっていて大変いい本だ。
これなら俺でも出来るかなと思って、一時期はそうとうガチで取り組んでいたのだ。
やるやらないはさておき、非常に良くできた本なのでオススメ。

ところで、言わずもがなではあるが、「カイゼン」と言う言葉を軽々しく使うのはどうなんだろうね。
もともとは某・超・巨大自動車メーカーの言葉である。
労働強化とか、部品1個単位でギリギリになって納品させるとか、仕方ないから下請けのトラックは工場の周りの道路に駐車してるとか、そのために政治家に働きかけて道路を広げてもらったとか、いろいろな議論されている言葉だ。

ライフハックと労働強化は、似てるような気がするけど反対のような気もするし、直交した無関係の言葉のような気がする。
カイゼンという字を見るとエッと思う読者もいる、少なくともここに1人いるということを申し述べておきます。

竹村健一のライフハック?

ライフハックなんてわざわざ新語で言わなくても「やり方を変えるだけで、同じ力でも大きな仕事、多くの用事が片付いて、人生に余裕が出来る」という考えは昔からあった。
保守系評論家の竹村健一も似たようなことを言っていた。

この人、どういうわけか一時めっちゃくちゃスターだった。
本を何百冊も出していて、レコードまで出していたのだ。
それで、そのレコードをタモリがオールナイトニッポンで掛けていたけど、こういう内容だった。

誰でも朝起きたら、トイレで1分、歯磨きで1分、コーヒーを沸かして1分、新聞を読んで1分、もう4分掛かる。
これを、朝起きたらまずコーヒーを沸かし、歯ブラシをくわえて新聞を持ってトイレに座る。
歯磨きを終えて新聞を読み、トイレを出たときにはコーヒーが湧いている。
みたいな。

このレコードを掛けた後に、当時は毒舌で売っていたタモリさんが「アホか」と一刀両断にしていた。
確かに、こんなことわざわざ本に書いたり、レコードに吹き込んだりするのはアホっぽい。

でも、ぼくは最近これをやっている。
タスクリストをiPhoneに入れる。
(Google Keepが簡単でオススメ。ぼくはEmacs+BeOrgという特殊なパターンだが、説明がメンドクサイ……)
で、排尿する、体重を測る、冷凍食品を電子レンジに入れる、など、タスクを消し込みながらやっているのだ。

なぜかというと、ぼくは異常に朝が弱く、あとスティーブ・ジョブズと同じでちょっとADHD気味なので、次に何をするかで迷って呆然としてしまうことがあるのだ。
毎朝、起きて何をどの順でやるかなんて、決まりきっている。
順番にこなすだけだ。
だから、それを書いて消し込んでいくだけで、はかどる。
そんなことわざわざやらなくても出来るよ! と言う人はそれでかまわないが、ぼくは書いた方がいい。

ガチのADHDの人は、英単語カードにやることを書いて、終わったらめくっていくそうだ。
なるほどと思った。

確実にやった方がいいこと、よく考えたらやるほどのことでもないことも、毎日タスク管理していると、見えてくる。
流れがいいように順番を最適化するのも大切なことだ。

ADHDとライフハック

あと、やはりガチのADHDの人が愛用するというシーガルポケットカレンダーというのがあるけど、これもめっちゃオススメ。
インテリアに凝っていて、こんな事務所みたいな巨大なカレンダーを置きたくない人には無理に勧めないが、とりあえず強力に便利だ。
もう何年もコレ。
他のカレンダーは考えられない。

カレンダーにビニールのポケットが被さっていて、予定を書いたカードを入れておく。
それだけのことだが、超絶に便利。
薬やチケットを入れる人もいるそうだ。

さらに、強力にするには、過ぎ去った日には「かくれんぼう」という専用の半透明なカードを入れていく。

なぜかこっちはAmazonでは売っていず、自閉症支援グッズアドプラスというところで売っている。
ぼくはいちおう健常者として育った中年男だが、愛用している。

ちなみに、ぼくはさらにもう一工夫して、今日、この日を目立たせるために、赤い枠でプラバンを囲ったのを入れている。

画像1

「かくれんぼう」が入っていない日、つまり、緑色じゃない日は現在から未来で、そのうち一番最初の日が今日だ。
それは分かってるんだけど、それを考えるのもメンドクサイので、赤い枠を自作した。
「かくれんぼう」の姉妹品で「この日だぞう」という製品名はどうだろう。
アイディア料は無料でいいですから、アドプラスさん売ってください。

余談だが、上のカレンダーを撮影してて気づいたが、10月20日日曜日のポケットに「10/20(日)」という手書きのカードが入ってて、たしかにぼくが自分で入れたんだけど、何のつもりだろう。
この日に10月20日が来るってことだろうか。
当たり前だ。
そんなこと個人で決められても。
自分ながら不思議。

閑話休題、ADHDの人が生きていく対策とライフハックは共通するものがある。
そういう本も多く出ている。

めっちゃポジティブな題名の本もある。

どっちも未読だが、そういうことで、ライフハックとかGTDとかタスク管理というと、超忙しい、仕事に燃えてる人がパワフルに使うだけではなく、弱めの人が世間についていくツールにも使える。
ぼくの朝タスクリストなんて完全にそうだ。

ぜんぜん本題に入らないまま結構な長さを書いてしまっているが、このへんのダンドリの悪さも変えていきたい。
ということで、しばらく自分流のライフハックについて書いていくよ。

(この項終わり)

会社員兼業ライターの深沢千尋です。いろいろ綴っていきますのでよろしくです。FaceBook、Twitterもやってますのでからんでください。 https://www.amazon.co.jp/l/B005CI82FA