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【エネチェンジ】テラチャージは脅威となり得るのか

こんにちは。MAKOです。
皆さんはGoGoEVというサイトはご覧になったことはありますでしょうか?


このサイトでは全国のEV充電器設置場所、設置台数を充電事業者ごとに検索ができる仕組みになっているのですが、最近テラチャージのEV充電器が爆増しているのです。

エネチェンジ
テラチャージ

EVSmartでも12月までのEV充電器設置台数を集計しており、テラチャージがエネチェンジを猛追しているのが分かります。

これを見て「エネチェンジ大丈夫なの?」と思った方に対して、私なりの見解を述べたいと思います。

①受注→②設置→③稼働率

以前城口CEOはこうおっしゃいました。
「EV充電事業を進める上で以下三つのステップが重要であり、我々は順調にこのステップを進んでいる」

①受注台数
②設置台数
③稼働率(収益化)

つまり③稼働率が増加して初めてEV充電事業は収益化出来るのであって①受注台数と②設置台数はそのための過程でしかないということですね。

エネチェンジEV充電器の稼働率

エネチェンジの土曜日の昼間の稼働率は以下のような状況です。黄色が稼働中であり、稼働率としては5-10%程度といったところでしょうか。

エネチェンジ

やや少ないと感じるかもしれませんが、充電器2000口の5-10%が稼働すると1日当たり36〜72万円の収益になります。

2000口×(0.05~0.1)×300円/h×12h
=36~72万円/日
※夜間は稼働率ゼロとして計算
※充電収益は推定

稼働率は週末より平日の方が少ないことを考慮して、週平均稼働率5%で計算した場合、年間では1.3億円になります。

2000口×0.05×300円/h×12h×365日/年
≒1.3億円/年

現状の2000口で1.3億円なので、1万口になれば5倍の6.5億円が年間収益としてエネチェンジに入ることになります。なかなかの収益ですね。

テラチャージEV充電器の稼働率

テラチャージの土曜日の昼間の稼働率は以下のような状況です。テラチャージアプリはズームインしないと稼働状況が分からない仕様なのですが、ざっとみたところ全国でも稼働しているのは10台程度でしたので稼働率としては1%未満※と思われます。
※10台/2000台≒0.5%

テラチャージ

なぜエネチェンジとテラチャージでここまでの稼働率の差が生じてしまっているのでしょうか。少し深掘りしてみたいと思います。

要因①:利用料金

エネチェンジとテラチャージそれぞれの充電料金は以下です。

エネチェンジ:330円
テラチャージ:400円前後

テラチャージの方が2割近く(70円)高い値段設定であることがわかります。EVユーザーとしては「同じ充電量であればエネチェンジ」となりますよね。

要因②:EV充電器出力

エネチェンジのEV充電器はすべて6kWですが、テラチャージは3kWが3割程度含まれます。3kWは6kWの2倍充電時間がかかりますからユーザーとしては3kWはなるべく避けたいと思うのは自然だと思います。

エネチェンジ城口CEOが当初から訴えていたEV充電器出力問題(3kW、6kW)ですが、エネチェンジの6kW普及により、3kWが淘汰されつつあるのかもしれません。

要因③:eMPとの業務提携

およそ1年前、エネチェンジはイー・モビリティ・パワー(eMP)と業務提携を締結しています。

これにより、eMPが発行する充電カードでエネチェンジ充電器を利用することが可能となりました。この充電カードはEVユーザーの大半が所有しており、かつ一定時間、普通充電器が使い放題なプランもあることから、EVユーザーがエネチェンジ充電器に殺到していると思われます。

要因④:EV充電器設置場所

エネチェンジ城口CEOは当初から「最初にいかに優良立地にEV充電器を設置できるかが勝負」と語っており、設置場所については厳格な規定を設けていました。これは海外大手CPO企業であるチャージポイント元役員を招聘して様々なノウハウを得ていたから出来たことです。

eMPとの業務提携によりeMPが保有する3kW充電器のリプレイス(高稼働率を優先)をエネチェンジが独占していることも稼働率向上に大きく貢献しているでしょう。

優良立地といえばエネチェンジがルートインホテルズ214ヶ所へ導入するニュースもありましたね(ルートインホテルズの稼働率はかなり高い)。

一方、テラチャージはパチンコ店がかなり多く、EVユーザーが訪れる場所として優良立地とは言いづらいところです。

要因⑤:EV充電アプリシェア

およそ1年前、エネチェンジはEVユーザーの90%が利用しているEVSmartを3億円で買収しています。

これにより、エネチェンジは圧倒的なシェアを誇るEV充電アプリを獲得することが出来ました。元々エネチェンジはアプリ開発を全て内製化出来るほどの優秀なソフトウェアエンジニアを多数抱えているため、アプリの完成度はかなり高いことが予想されます。

その証拠に、同じくEV充電事業を展開しているENEOSからもEV充電アプリ開発を受託しています。

またアプリダウンロード数もかなりの差があります。以下はgoogleplayですがエネチェンジ5万に対してテラチャージは1000程度に留まります。
※AppStoreのダウンロード数はiphoneからは確認できないため、ご存知の方がいれば教えてください。

ちなみにEV充電器がテラチャージの1/5しかないENEOSでさえアプリダウンロード数は5000あります。

つまりテラチャージはEV充電器設置台数に対してアプリダウンロード数が極端に少ないということです。確かにテラチャージのアプリはエネチェンジと比べてかなり使いにくい印象がありましたし改善が必要でしょう。

これら①〜⑤の要因が重なった結果がエネチェンジとテラチャージの稼働率の差だと思われます。

テラチャージの今後

テラチャージはこれまでEV充電器の設置台数をKPIとして重視してきたと考えられますが、稼働率の課題に直面する時期が近づいています。先述の要因①〜⑤に関しては、テラチャージもエネチェンジとの差を埋めることが難しいと認識しているでしょう。そのため、急速充電器に焦点を当て、生き残りを賭けている可能性があります。

しかし、そもそも急速充電器は維持費が高額なため、大資本を持つ大手企業しか事業継続が難しいのが実情です。果たしてベンチャーのテラチャージの資本で維持できるのでしょうか。

全てはエネチェンジに集約される

以上の理由から、EV普通充電器においてテラチャージがエネチェンジの脅威となる可能性は低いと考えられ、エネチェンジの優位性は揺るぎません。ただし、今後エネチェンジの充電器設置が進むことでエネチェンジEVアプリの利便性が一層向上し、他社はますます厳しい状況に追い込まれ、撤退する企業も出てくるでしょう。その場合、他社のEV充電器はどうなるのか、という問題が浮上します。

ここからは私の予想ですが、近い将来、エネチェンジEV充電アプリで他社のEV充電器の決済が可能になることが考えられます。eMPとの業務提携からも明らかなように、エネチェンジは元々EV充電器の決済手段をクローズにすることに固執していません。エネチェンジに決済手段を委ねることで他社はEV充電器の利用者が増え、エネチェンジは決済手数料を得ることで収益が増え、ユーザーは利便性が向上します。
エネチェンジアプリがディファクトスタンダードとなれば、プラットフォーマーとしての地位を自然に確立できるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
調べるほどエネチェンジの優位性が際立つ結果となりました。株価はさておき、エネチェンジの事業は非常に順調と言えるでしょう。2月の決算が楽しみですね。

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