見出し画像

DTM雑記:2023.12「クリスマス」というテーマで合作ボカロ曲を作った話

新年です。2024年です。でも雑記はまだ2023年です。
元日から2週間くらい風邪ひいてました。今年も体調には十分気を付けていきましょう。
こんばんは。私です。

さて今回は、昨年12月24日にリリースした虹島夕夜さんとの合作ボカロ楽曲の第2弾である「ラッキーメリークリスマス」について振り返り綴っていこうと思います。

今回合作を一緒につくった方について

虹島夕夜さん
X(Twitter)
YouTubeチャンネル

懐かしさのあるフレーズとそれに合わせたキャッチーなメロディが印象に残るボカロ曲や独特の感情を用いたインスト楽曲を作るDTMクリエイター。
DAWはReasonを使用し、VOCALOID初音ミク・鏡音リン、レン、SynthesizerV花隈千冬を用いる。
幾度か紹介しているクランとリオンチャンネルで開催しているアレンジコンテスト、リミックスコンテストでもその手癖を武器に常連リスナーのハートをがっちり掴み優秀な成績を収めている。
数々の楽曲をYouTubeにて公開しているほか
2023年11月に「無色透明祭2」にて投稿した「ヤナコトガカリ」を
12月にTuneCore経由で配信リリース。


今回も合作を作ることになった経緯

10月に1曲別のオリジナル楽曲を作っていた時に、ふっと虹島さんに通話のお誘いをかけて、近況だったり雑談とかなにげなく話してたときに。
「もしよかったらまた合作やりませんか?」
というさらっとしたお誘いをかけたところ
「ボクもまたやりたいなと思ってました!」
というお答えをいただいたので、次やるならテーマどうしましょう?
とお尋ねしたところ
「季節テーマでいくならクリスマスでしょうー」
といただいたので、次のテーマはクリスマス!
ということでひと月空いた11月半ばからミーティングと制作を始めました。

「こんな感じ」で決めたこと(メモから抜粋)

①お題とテーマを決めよう
・冬 - クリスマス
しっとりしたのを作りがちなので明るい感じを

各自が得意な要素

イルミネーション
華やかな感じ
パレード?
賑わい?

スウィング、ブラス系

②メインコードとBPM

E♭メジャースケール
E♭Maj [Ⅰ]→E♭maj7(Sus2)[Ⅰ]→Cmin7[Ⅵ]→C9(Sus4)[Ⅵ]→
A♭maj7(sus2)[Ⅳ]→B♭11/A♭[Ⅴ]→B♭6(sus4)[Ⅴ]→D dim[Ⅶ]

BPM138 Swing60%
当初136くらいだったのですが、ちょっとだけBPM調整をしてました。

実際この曲はコードが結構変わってるのですが、そのコードがどういう風に表記されるのかまでは書ききれなかったため。メインのコードのみ載せておきます。

いつまでにどの部分を誰がどこまでやるか?
PDCAサイクル(以下略
今回はテーマが「クリスマス」と決まっていたため、12月24日に投稿というのは事前に決めていて
それ以外は
このパート(歌詞)は何日までに。
何曜日と何曜日は必ずお休み、3日~4日間隔を開けてVC打ち合わせ
といったくらいのことは決めていました。
オーディオ化してやりとりする制作音源や途中でアレンジ案も出てくるためそれに合わせての調整とかもしつつ、前回よりは長めの制作期間を取っています。

④イントロの流れと曲の構成

今回もSatelite Sessionsを使用し、土台の案だしを行いました。
提案コードからバッキングメロディとボーカルメロディの一部を作るというのを2日前後で行ったきた虹島さんやっぱり強い…

こちらは案だし時のSatelite Sessionsの画面

構成として
(パーカッション、ドラムソロ)/イントロ→Aメロ×2→Bメロ→サビ→イントロ→Aメロ×2→Bメロ→(1小節間を置く)→サビ→間奏→小サビ→転調サビ→アウトロ
といった感じになりました。
前回の「十六夜-izayoi-」の時とはちょっと変わっていますが、ポップスの展開としてはこんな感じになるんじゃないかということで今回もそれっぽい構成になりました、

最初の案だしの時点で虹島さんからボーカルメロディのAメロ、サビの部分は提案いただいてたので、今回も自分はBメロの8小節の提案作成をしました。
8小節つくるだけなのに…2時間くらいキーボード、打ち込み画面と向き合ってた気がします…。

そこまでやって出来た初期のデモがこちらです。主にBメロのボーカルはここからめちゃくちゃ変えられちゃったんですけどね…(´・ω・`)

⑤ボーカルパートと歌詞の割り振り
今作も歌詞の作詞はリレー形式でした。
前回は自分が1番担当したので、今回は虹島さんに1番を担当していただき、自分が追うように2番を担当。小サビと転調サビは相談しつつという形を取りました。

ボーカルは、今回もVOCALOIDとSynthesizerVのハイブリッドで作りたいという自分の要望もあったので
虹島さんが1番歌詞とVOCALOID 鏡音リン
自分が2番歌詞とSynthesizerV 小春六花
という最初の提案で進めていきました。
前回は自分がボカロ、虹島さんがSynVだったため、逆になりましたね。
どのボーカルにしてもフルサイズファイルをしっかり作って、あとからどう変えてもいいようにするという手法は前回と変わらずです。

最終的にボーカルは
1番は鏡音リンだけだとなんかさみしいからミクも入れたい!という自分のわがままでミクも追加し
2番は六花のほかに千冬でも歌わせたデータを作った結果、こっちは六花はこっちは千冬にしよう!
というこれまた自分のわがままで4人編成になりました。

入れれるなら花梨とかも入れたかったんですけどね…さすがに買うまでに至れなかったから、別の曲で3人とかやりたいなって…。

曲のタイトルは虹島さんに1番の歌詞を作ってもらったあたりに決まっていたと思います。


土台からのアレンジ作業

最初の打ち合わせから2週間ちょっと経過したところでボーカルの9割と土台が完成したため、そこからアレンジ作業へ。

今回もアレンジ作業は自分のDAWで行うため、提案貰ったもののMIDIファイルやオーディオかしていただいた音源などを組み合わせ、少しずつ行ってきました。
特に今回は今までやったことのないブラス、生楽器がメインだったため、デモと、実際に演奏感を出すための編成など、久しぶりに文献を参考にしたり、過去の経験上こういった曲で縁の下の力持ちのような位置づけになるのがパーカッション類ということも思っていたため、並行してパーカッションパートのエディットも行いました。

パーカッション
今回使った編成で用いたものです。

ST4チャンネル使いなさいというのは…ええ…はい。

スレイベルはそれこそ冬の曲を彩るのには欠かせない楽器の一つであるため、イントロからアウトロまでメインにおいてほぼほぼずっと鳴っています。
また、華やかさを出すためにタンバリン、トライアングル、シェーカーを加えています。
イントロやアウトロ前でウィンドチャイムを鳴らし、より一層彩りを与えています。

このほか、ハンドクラップ音源も使い、全体を盛り上げるということや、曲中サビにある「手を叩こう」の後、小サビにリズムよく叩くクラップもリアルタイム打ち込みで再現しています。

ブラスパート
虹島さんからいただいた3つのパートMIDIを以下のように編成しました。
使用プラグインはすべてKONTAKT7のSessionHorns Proです。
・チューバ、ホルン
・バストロンボーン、バリトンサックス
・アルトサックス、トランペット1,2、テナートロンボーン

実際の編成としてはどうなんだ…?
と思うところがあるかとは思いますが、こうやって編成してつくった結果ハマリがよかったのでこういった形になりました。

ドラムパート

ドラムパートの編成は結構変わったものになっています。
まず最初にいただいたオーディオ化ドラム音源がAddictive Drums2のものだったようなので、それをちょっとアレンジしたMIDIファイルをもらい
KONTAKT7のAbbeyRoad 60's Drummerを入れ、合わない音を入れ替えるという作業をし、さらに少しアレンジ
元のAddictive Drumsの音も入れ、ツインドラム風になっています。
この辺りは昔の経験が生きてよかったと思っています。

この辺りのアレンジを行い、いいところまで出来たら間奏パートなのですが

当初今回も間奏パートはバトルしようという元案だったのですが、当の自分が3日経ってもまったくアイデアが出てこなくて折れたため
サックスソロ、エレピソロのいずれも虹島さんが担当し、自分は気持ち程度に鳴っているSpeldosaの音を少し打ち込んだだけになっています。

インストのアレンジがほぼ出来上がったところで残りの歌詞も自分が待たせていたものを完成させ
今度はボーカルパートなのですが…これがまあ結構大変だったなと思います。

ボーカルパート

まず、虹島さんにPiapro Studioを使って打ち込んでいただいたリンV4Xのプロジェクトファイルとオーディオファイルをいただき、それと自分の打ち込んだSynthesizerVと聴き見比べをするわけなのですが

「…( ゚д゚)」

「( ゚д゚ )え」

音の割り振りとかハネの部分がめっちゃ変えられてぇるぅぅぅ…

ということでこれをまず自分のSynVで手直すのがめっちゃ大変でした。
他にも自分が意図的にこうさせたかったという部分も変わってたので、そこは2つパターンを作って、一部は自分の作りに戻して一部は虹島さんのをそのまま採用するという形を取りました。

前述の通り、自分のSynV側のエディットが終わったら、リンV4XのVSQXファイルをボカロ6のミクV4Xに差し替えして合計4人分のトラックを作るという作業に。
それをレンダリングしてボーカルwavファイルを作ったらあれこれと。

他のパートについてはあまり面白い話もないので割愛


だいたいの形が出来たーということでここからミックス作業
最初はインストとボーカルを一緒のプロジェクトでアレンジ、ミックスを進めていたのですが、重かったり、あまり細かい調整をしすぎると沼になるので、インストはインスト、ボーカルはボーカルという分けにしてミックス作業を行いました。

この曲を作る前に10月に作ったオリジナル曲にて、ミックス、マスタリングについて個人的に講習を受けていたので、それをうまく生かせるよう、
インストはインストでできる限りのミックスをNeutron4に頼らずにやってみたり妥協したところはNeutron4を使ってといろいろ使ってます。パン振りなども楽器隊のバランスをしっかりとれるよう虹島さんにも聴いてもらいながら調整。

ボーカルはインストと合わせた時に全体的にボーカルが小さくなってしまうため、それを修正するという作業が時間かかりました。
なんとか形になったので、インストとボーカル入りのボリュームをオートメーションで調整しつつ、バランスを考えながら試行錯誤しました。

マスタリングでEQ調整やグルーコンプを使ったりして、自分でこれでいけるでしょう、というところまで詰めて楽曲は完成。
今回はもマスタリングは8回くらいやり直してます。

トータル制作期間は1か月(打ち合わせは計14日くらい)でした。


楽曲完成!したので今度は動画作り

楽曲のマスターも完成!まで来たら次は動画作り
自分もfilmoraを購入したので、今回はそっちを使ってみようと思ったのですが、なかなかハマる素材が見つからず、結局前回同様Clipchampで素材を見つけて切り貼り、オーディオビジュアライザーを入れての
いつもの作り方
になりました。

出来上がった動画を虹島さんにお渡ししてfilmoraでの歌詞の打ち込みやらをやっていただくというこちらも前回同様に作り方になっています。

仕上げに虹島さんからいただいた完成動画を動画のマスタリングソフトにかけて、調整しつつ、そこからプレビュー、宣伝画像をクリップして作ったり、サンタ帽やトナカイの角を乗せて遊んだりという作業をし、動画も完成。


そして公開、TuneCoreでの配信へ

今回は、YouTubeとニコニコ動画への投稿に合わせてTuneCoreでのストリーミング配信も一緒にやっちゃおう!ということで、同時リリースのためにジャケットをCanvaで作りつつ、12/24のその日のために着々と準備していきました。

こちらが公開時にX(Twitter)に載せた歌詞とコメントの画像になります。

公開して数日、いろんな方に聴いていただき、しっかり聴いてくれた皆さんに響いたようで、良い感想をたくさんいただきました。
また、初めての挑戦をしたこともあって、普段の自分の曲や虹島さんの曲を聴いてる方からの「意外だった」という声も受け、合作はそういった意外性を生み出すこともできるのでやはり楽しいなって思いました。

終わりに

虹島さんとの合作第2弾も無事作ることができ、今後の自分が作る曲にも生かしていけるかもしれないという部分がたくさん見つかりました。
また来るクリスマスの季節にこの曲を思い出して聴いていただけたらめっちゃうれしいですね。
製作中は根詰めするときはがっつり詰めたのですが、そのうち最初の1時間は雑談やプラグインの話で時間が過ぎたり、自分がアレンジやメロディ打ち作業してるときに虹島さんは別の曲作ってたりと結構二人共自由にラフにやっていたなあと思いました。
そういったことも環境として合作がやりやすかったのかなあというちょっとした学びも。

自分一人の曲もスキルアップ出来るように、また、虹島さんを始めとした他のよく相手してくださる方々とも合作をやっていきたいというモチベーションの向上にもつながったので、今年もDTMたくさん楽しんでいこうと思います。

また、実は虹島さんとの合作予定第3弾はすでに予定が決まっていて
「今度はユニット名でも付けます?」
というような話もしていました。

それでは今回もここまで読んでいただき、ありがとうございました。


最後に、ここから下はいつもの使用プラグインや、この合作のパート振りなどのネタバレ要素をメモ程度に載せていきます。
興味のある方はどうぞ。






































「ラッキーメリークリスマス」
image sketch collaborate with 虹島夕夜
作詞・作曲・編曲:虹島夕夜/:quilik:
マスターアレンジ: :quilik: as image sketch

●合作パート、担当分け
・:quilik:
全体マスターアレンジ、ミックス、マスタリング
イントロドラム、ドラムパートMIDI調整、Bメロメロディ、バッキングピアノ(Scaler2)、クラップ、パーカッションパートエディット、エフェクト追加
間奏:後半8小節 Speldosaバックメロディ
歌詞:2ABサビ、3小サビ前半4小節、3転調サビ前半4小節
ボーカル:2ABサビ3サビ SynthesizerV  ボーカル打ち込み編集調整
小春六花、花隈千冬パート パラメータ、ピッチ、発音調整
1ABサビ3サビ 初音ミクV4X(VOCALOID)追加、パラメータ調整
動画:背景clipchamp編集

・虹島夕夜
イントロメロディ、A,サビメロディ、ベース、ドラム土台、コードアレンジ、転調進行、ホーンブラスセクションエディット
間奏:サックスソロ、エレピエディット
歌詞:1ABサビ、3小サビ後半4小節、3転調サビ後半4小節
ボーカル:2ABサビ3サビ VOCALOID鏡音リンパート(Piapro Studio) ボーカル打ち込み編集調整
小サビ コーラスパートエディット
     
動画:filmora 歌詞表示追加

◎使用プラグイン

●Vocal
YAMAHA - VOCALOID6 - 初音ミクV4X
Crypton Future Media - Piapro Studio - 鏡音リンV4X
AHS/Dreamtronics - SynthesizerV Pro 
- AI 小春六花
- AI 花隈千冬

●Drums
・KONTAKT7 - AbbeyRoad 60s Drummer
・XLN Audio - Addictive Drums 2 (オーディオ化)

●Percussion
SleighBell,Tambourine,Triangles - IK Multimedia SampleTank4 
Claps - Robotic Bean Hand Clap Studio
Wind Chime - KONTAKT7- PREMIER SOUND FACTORY WIND CHIME PREMIER G

●Horn,Brass
KONTAKT7 - Session Horns Pro
- Tuba,Flugel Horn
- Bass Trombone,Baritone Sax,
- Alto Sax,Trumpet1,2,Tenor Trombone
KONTAKT7 - Session Horns Horn Section

●Bass
AIR Music - Xpand!2
IK Multimedia - MODO BASS2(オーディオ化)

●Guitar
KONTAKT7 - Session Guitarist Strummed Acoustic

●Piano&Keys
Arturia - Pigments4
XLN Audio - Addictive Keys Mark One
KONTAKT7 - SYMPHONY ESSENTIALS PERCUSSION Marimba

●間奏ソロパート
MonsterDAW - MONSTER Sax
XLN Audio - Addictive Keys Mark One
Klevgrand - Speldosa

●支援プラグイン
Plugin Boutique - Scaler2
Mixed in Key - Satelite Sessions Plugin

◎EQ
iZotope - Neutron4 
iZotope - Ozone 10 Advanced
iZotope - Nectar3
VoosteQ - Material Comp
VoosteQ - Model N Channel
Pulsar Audio - W495
Pulsar Audio- Mu
Plugin Boutique - Scaler EQ
Three-Body Tech(Plugin Alliance) - Kilchhoff EQ
D16 Group - Repeater
Baby Audio - Crystalline
WAVES - Silk Vocal
WAVES - L1 Limiter
Antares - AVOX CHOIR
Steinberg - DeEsser(Cubase付属)
Celemony - Melodyne Assistant

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?