’22-’23WEリーグ第16節 ベレーザ対ジェフレディース

2023年5月3日
日テレ・東京ヴェルディベレーザ 0-0 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース

個を欠いた前半

前節WE ACTION DAYにより試合が行われなかったベレーザは、GWの連戦の日程で水曜日の開催となったWEリーグ第16節、ホームにジェフユナイテッド市原・千葉レディースを迎えての一戦に臨んだ。

4−4−2で自陣低い位置に固いブロックを敷くジェフに対し、ベレーザは非ポゼッション時に植木、土方を前線に残す4−4−2の形にしながら

ポゼッション時には土方が中盤まで下がり4−3−3のような形になるシステムを採用。

戦前の予想通り強固な守備を形成するジェフに対し、なかなかチャンスを作れないベレーザは前半20分に戦い方を変更する。

試合開始直後は右のウィングでプレーする松永が外に開いてボールを待っていたが、

20分頃から外から内側に入り、ハーフスペースでボールを待つように立ち位置を変更する。

これにより右の外側でライトバック宮川は完全にフリーになり、27分にはその宮川のクロスから

エリア内で北村がボールを落とすと土方がシュートを放つが

ボールは惜しくもキーパーの正面に飛び、得点とはならなかった。

この日、土方は27分のシーンと同様の良い位置で何度かボールを受けるが

17分にはトラップが大きくなりシュートまで持っていくことができず、21分にはタッチが1つ多く相手にシュートがブロックされてしまう等、決定力に欠く場面が目立った。

組織を欠いた後半

試合後に竹本監督が

ーー後半から小林選手、藤野選手を投入しましたが、そのタイミングは当初から考えていたのか、それとも早かったのか教えてください。
最大45分間でしたので、前半に展開が違っていれば出場時間が少なかった可能性もありますが、0‐0の展開でしたので後半からいきました。次のゲームに関してもコンディションの良い選手から並べていきたいと思います。

https://www.verdy.co.jp/beleza/match/info/12023050303/report

と語ったように、連戦・怪我の状況から最大45分と決めていた小林、藤野のプレー時間であったが、前半に個の決定力を欠いたベレーザはハーフタイム直後から両選手を投入する。

しかし、個で打開することの意識が強すぎたのか、51分には小林、菅野と中盤で繋いだところで右のワイドに宮川が誰からもマークを受けずフリーでいるが、

菅野は藤野へのパスを選択、小林にボールを戻し繋ごうとするがピッチ中央に人数をかけるジェフの守備に阻まれポゼッションを失った。

また、藤野が積極的にボールに絡もうと自由に動いた結果、60分のこのシーンのように相手にとって脅威となる位置にいないことも多く、

この直後、ベレーザベンチは中盤の菅野に代え前線に山本柚月を投入する。

山本投入の狙いは、彼女が右サイドの外側に開き内側で藤野が自由にプレーできるスペースを作ることは明らかであったが、

菅野をベンチに下げ中盤6番の位置でプレーする選手が木下1枚になったベレーザはジェフのカウンターの脅威に晒されることになる。

前半は菅野、木下のダブルピヴォットがボールを失った直後に素早く相手に寄せポゼッションを回復していたが、

シングルピヴォットになった71分には攻撃から守備へのトランジションで簡単に相手に中盤のラインを突破されてしまう。

この直後の73分、永田HCはレフトバック宮川に代え岩﨑を投入し3−2−5のWMフォーメーションへの変更を指示、

木下、岩﨑がダブルピヴォットを形成する形に戻したのであった。

WMフォーメーションが4−4−2の相手に対して持つ利点の一つに、中盤で4枚のボックスを作ることで数的優位を作ることが容易になることが挙げられる。

しかし、残り時間が15分を切り焦るベレーザはバックラインから中盤を飛ばす長いボールを前線に入れようとする場面が多くなる。
82分には西川からサイトに一気に長いボールを入れようと知ったところをジェフ7番 大澤にカットされカウンターのピンチを招いてしまった。

フォーメーションの利点を活かすだけでなく、相手のカウンター狙いのリスクを最小限に留めるという点でも、チーム戦術で目指す形と個人のプレー選択で目指す形の意識のすり合わせが必要であったと言えるだろう。

LAST 6 CUP FINALS

今季残り7試合となったジェフ戦を前に、ベレーザは「LAST 7 GAMES」と銘打ち、最後まで優勝争いに残ることをクラブ一丸となって表明していたが、

その最初の試合で首位浦和に勝ち点に差を開けられる痛恨のドローとなってしまった。

ベレーザは次節その首位浦和レッズレディースとの一戦に臨む。

今季ベレーザはレッズレディース相手にWEリーグカップ決勝で一時は3−0とリードしながらも追いつかれPKで敗戦、WEリーグ第2節では守備が崩壊し3−5で敗戦し苦戦が続いている。

今季これ以上負けられないベレーザにとって、(サッカーの慣用句を用いれば)「残りの試合は全てカップ戦決勝」という状態が続く。

残り6つの”カップ戦決勝”一つ一つを全力で戦い、ライバル相手にリベンジを果たしてほしい。



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