’22-’23WEリーグ第19節 ベレーザ対ノジマステラ

2023年5月20日
日テレ・東京ヴェルディベレーザ 3-0 ノジマステラ神奈川相模原

9番、10番、9.5番

前節ちふれASエルフェン埼玉に9−0の大勝を記録したベレーザは、ホーム連戦となる第19節ノジマステラ神奈川相模原との一戦を迎えた。

前節に続き、ポゼッション時は3バックの前に6番の選手が2枚並ぶベレーザであったが、

前線の5枚は、これまでの植木が9番の位置に、小林と藤野がFree Eightの役割を担う形とは異なり、今節では植木と藤野の2トップの後ろで小林が10番の役割を担う形に変更し、

これまでの3−2−2−3のWMフォーメーションから、かつてプスカシュを擁したハンガリー代表が採用した3−2−3−2のWWフォーメーションでの並びとなった。

また、これまでは非ポゼッション時にウィングから1枚が最終ラインまで下がり4バックのブロックを形成していたが、本試合では非ポゼッション時フラットな3−4−3の並びでブロックを形成、

ノジマステラにディフェンシブサードまで押し込まれ場合は最終ラインに両方のウィングが下がり外側のレーンを埋め、中央3つのレーンにCB3枚が残る形を採用し、

ピッチ中央で杉田がフリーロームで攻撃を組み立てるノジマステラに対応した。

9番として常に相手最終ラインに脅威を与える植木理子、10番としてピッチの深いところまで下りてきながらプレーを組み立てる小林里歌子、そしてその中間でシュート・ラストパスの両方に貢献する9.5番の藤野が躍動し、試合が動く。

前半24分、右のワイドから山本がボールを運び、藤野がハーフスペースでボールを受けると、9番らしい裏への飛び出し見せる植木へスルーパス

冷静にファーへ流し込み先制点を奪った。

エンドが変わった53分、最終ラインで右CB宮川がボールを持つと

9.5番の役割の藤野が2トップの並びから10番のような動きで下りてきて空いたスペースに、中央の位置から小林が侵入

宮川からのロングパスで一気に抜け出し、

ニアのハイを撃ち抜く見事なシュートで追加点を奪った。

ベレーザだから出来る最高のゴール

その後も終始ベレーザが主導権を握りながらもなかなか追加点が奪えないまま試合終盤に差し掛かった88分、今季ベレーザで最も美しいゴールが生まれる。

ノジマステラの4−4−2に対し、3−2−3−2のダブルピヴォットから菅野が西郡を引きつけながら最終ラインまで下り、その結果GK田中桃子、6番の木下桃香がフリーになる。

その田中が西郡を引きつけながらフリーの木下へパス、西郡が田中に向かって動き、さらにノジマステラの2枚が木下に引きつけられたことで、菅野が前を向いてボールを受けるスペースが生まれる。

木下からワンタッチでパスが出てそのスペースで菅野がボールを受けると、ノジマのラインとラインの間でフリーになっている小林へファーストタッチでパス、

小林に対応しようと最終ラインから伊藤が飛び出すと、その裏へ藤野が抜け出し、

途中出場のレフトバック平野をドリブルで振り切りGK久野と1対1の状況を作り、

最後は冷静に久野を交わし、藤野は無人のゴールへシュートを放ち3点目を奪った。

相手が密集する狭いエリアでも臆することなく、勇気を持ってその間に立ってボールを受けることで相手を引きつけ、それによってフリーになった味方の選手にパスを出し、また相手を引き付けてフリーの味方へパスを出す。

ベレーザが目指す形をピッチの一番後ろから一番前の選手まで全員が共有し、理解し、実行することで生まれたこのゴールは今季最も美しいゴールであった。

まさに「ベレーザらしさ」を体現したゴールと言っても過言ではないだろう。

飽くなき挑戦

3−0で快勝しながらも、試合終了後には「プレスの弱い相手にはノーミスでなければならない」と反省の弁を述べる木下を筆頭に、選手たちはより良いサッカーを目指し続けている。

今季ラスト4試合となった今節でも、これまでのWMフォーメーションから前線の並びを変え新たな挑戦を続けることについて、エース植木は以下のように語り

ーー残り3節になり、勝ち続けていく状況は今後の大きな成長になってくるかと思いますが、そこに必要な要素は?
(略)ラスト4試合でも新しいことにチャレンジしているのはベレーザぐらいだと思いますし、サッカーを探求しながらも勝ち続けないといけないですし、勝ちながら個人、チームが成長し続けられるチームでありたいと思います。

https://www.verdy.co.jp/beleza/match/info/12023052009/report

飽くなき挑戦を続けるチームの”らしさ”について言及している。

次節INAC神戸との一戦は勝った方がリーグ順位2位を確実なものとする直接対決となる。

一筋縄ではいかない強豪を相手にベレーザはどのような新しい形に挑戦してくれるのか期待したい。


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