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チェルノブイリ:30年の異常な実験

Chernobyl: el final de un extraordinario experimento de tres décadas

原子力発電所の爆発があってから、半径4000kmに渡る避難区域が設けられている。

“この場所で私は人生の半分以上を過ごしている”ゲンナジー・ラプテフはそう語った。チェルノブイリの原子力施設の冷却システムの分野で研究を進めるウクライナの科学者だ。

“清掃員としてここで働き始めたのはまだ25歳の頃だった。今もう私は60歳だよ”。

かつて何千人もの清掃員がいた。1986年の大爆発から巨大な制御プロジェクトのために。その爆発は紛れもなく歴史上最悪な原子力施設の事故だ。

ゲンナジーは我々に核汚染物質を集めるために設置されたカフェのテーブルほどのプラットホームを案内した。貯水池のベッドは2014年に汲み出した水である。それは残された3つの原子炉が閉鎖されてから14年を要した。

核汚染物質の清掃がアナウンスされてから、10年ごとに、広大な土地が人の踏み入ることの出来ないチェルノブイリにおいて、改善がなされたのはごく一部だ。その事故はこの国の大きな研究施設に大きな汚染をもたらし、何百人もの科学者が核の大災害からの復旧のため働いている。

1986年4月26日午前1時23分、技術者達はチェルノブイリ原子力発電所の第4原子炉の電源を喪失した。事態を把握した時には既に局面は危機的であった。技術者達は原子炉が不安定な状態にあることに気付けなかった。

原子炉の制御システム内の水圧が低下しタービンの速度が低下した。より少ない水が蒸気を発するようになり、内部のプレッシャーが上がった。作業員達がそれに気づき、対処しようとした際にはすでに遅すぎた。

蒸気の爆発は原子炉のカバーを吹き飛ばし、核物質を大気にさらすこととなった。そばにいた二人の作業員が亡くなり、10日間にも渡る火災が広まった。その煙を風が雲として運び、ヨーロッパに核汚染物質が拡散された。

最初の緊急事態に対応する作業員と技術者は致命的な煙が外に漏れだしている間に早々に現場入りした。134名が急性白血病と診断され、数カ月のうちに28人が亡くなった。最低でも19名がその後に亡くなっている。

環境学の科学者であるゲンナジーは、避難してから3か月後に一人で危険区域で働き始めた。“キエフから毎日ヘリコプターが飛んでくることに慣れたよ”。その理由は“水と土のサンプルを集めるため”だと言う。

“大切なことは汚染の範囲を把握することだ。最初の避難区域を策定するために”。

今日では、そのエリアはウクライナとベラルーシである。4000キロ平方メートル以上に渡り、それはロンドンの大きさの2倍以上だ。原子力発電所のあった半径30キロメートル以内は全ての住民が避難させられ、荒廃した。そして現時点でも住民が彼らの故郷に戻ることはない。

“30kmゾーン”はセミ避難区域とされ、基本的に立ち入りが許可されていない。2500人の住民を抱えている都市であるナロディチは、そのゾーンの最も外側にある。この地区も汚染区域として厳重な規制が敷かれている。この避難区域では、植物を育てることも何か産業を興すことも出来ない。

ところが、今日ではウクライナのこの地区では二つのカテゴリにおいて容易に合理化することは出来ない。「汚染されている」か「除染されている」かだ。チェルノブイリの影響を認められるか調査することは最も複雑なプロセスを要する。そしてこの国はナロディチにおいて必ずしも厳重な規制を行わない考えを示しており、奇妙で興味深い。

放射能に対する不安は、実際に放射能が存在することよりもナロディチの住民を傷つけている。

ゲンナジーにとって、我々が居る湿地から1kmと離れていない原子力施設を見ることは簡単だ。現在4つのユニットに分けられて埋められているチェルノブイリの新しい石棺は鋼鉄が太陽の光を遮っている。それは2016年の事故の際震源の近くにあった。ロボットクレーンが放射性物質の半減期である33年の間、解体を進めていたが、地震により滑り落ちたのだ。

ゲンナジーの同僚であり、イギリスのポーツマス大学のジム・スミス教授は、1990年から災害の影響に関する分野の科学者である。ここに、携帯電話ほどのプラスチックで出来た線量計の数値データがある。

外部の放射線量は半減期を迎えていることが確認できた。1986年の事故で分散されてしまった核燃料のごみの原子は、徐々に破壊されている状態にある。それらはアクティブな状態にある場合、高いエネルギーの雷を発し続けるが、ジムの線量計はそれに匹敵する放射線量を示していた。

チェルノブイリは、まだ終わっていないのである。

参考記事:コロンビア・El Tiempo紙
https://www.eltiempo.com/mundo/mas-regiones/como-esta-chernobyl-tres-decadas-despues-de-la-tragedia-328086

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