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ファン・グアイド暫定大統領はベネズエラの救世主となり得るか。

Hasta dónde llegará el ‘presidente encargado’ de Venezuela Juan Guaidó.

若き国民議会の議長が、マドゥーロへの抵抗を率いている。

「フラメント!」と叫ぶ群衆を前に、国民会議の議長であるファン・グアイドは、簡略化された演説を行ったのち、ベネズエラの“暫定大統領”への就任を宣言した。この木曜から、二人の統治者が並立する事態となった。

当然ながら狂った政府の後ろ盾はない。しかしながら彼を支持するカラカスの街へ繰り出した何千人もの群衆を前に、“ここに疑いはない。今日あなたたちと共に進む。右手を挙げて、抗議の声を挙げ続けよう”。ファン・グアイドはそう演説した。

“今日、2019年1月23日、国民会議の議長として、神の前において、ベネズエラ・ボリバル共和国の憲法に基づき、この苦境と、政権の交代と、自由選挙を実現するため、ベネズエラの暫定大統領の責務を引き受けることを誓う”。

アメリカと、コロンビアを含めた中南米諸国の支持を得ているこの宣言は、今までの、そしてこれからのベネズエラの歴史上大きな出来事となるだろう。しかし不安定な情勢な現在の同国は、大統領は彼の持ちうるすべてを捧げる必要があり、軍の援助も不可欠である。更にはすでに衰退しつつあるチャビスタ達と、国際社会の支持もまた必要である。

ある専門家はこう分析する。“ある面では正当性が無く、もう一方の面は法的な正当性を保持している”。彼はまたEUが国民会議への支援を表明している点に注目している。EUは自由選挙の実現へのプロセスが開かれることを期待しているが、グアイドのリーダーシップについては未知数と考えている。

ここに目的がある。この水曜日から動き出した真実に基づいた群衆からの支持のため、国際社会から認められていない2015年の大統領選挙の透明性を国民会議が明らかにすることだ。これらはグアイドの手腕にかかっている。一体どこまでが究明されるのか?

“私たちは理論上主権を得た革命を達成したとされる段階に差し掛かっている”。ベネズエラの学者であるルイス・サラマンカはそう語る。“現状では自らを「首長」だと言い張る人物が2人存在する。反政権派がこのまま突き進めば軍の支持を得るか、そうはならないまでも軍が政権を支持する行為をしないこととなる。もしグアイドがそれを達成すれば、れっきとした現在の独裁政権が終焉したことが明確となる。しかし軍が引き続き政権を支持した場合、国民会議は解散させられ、グアイドは拘束され、多くの反対派が檻の中に送られることとなる。なぜならマドゥーロは自らに反対する者を許す理性を持ち合わせていないからだ。

現時点では軍は未だマドゥーロの指揮下にあり、国防省大臣のウラディミール・パドリーノ・ロペスは強がりを見せている。“我々の兵士は、法の下の承認を受けていない偽の大統領を認めることは決してない”。

専門家のコジェテ・カプリレスは長きに渡る“列車事故”のような状況が続くだろうと見通しを語った。“今後今のような混乱が続くが、反対派が広くて深い国際社会からの支持を得て、力を付けるだろう。それは経済にとって重要なことだ。一方で、ニコラス・マドゥーロは軍の支持を盾に大統領の座にしがみつくだろう。これが私の意見だ”。

経済面において、ワシントンは石油産業への制裁をカラカスに向け行う可能性がある。

一方で、ベネズエラの主要機関が二つに分かれる恐れがある:
・二人の大統領
・二つの最高裁判所
・二つの立法機関
・二つの国民感情

このカオスな状態となる前に、状況を打破する手段は、すでに数人が政権に対し蜂起している政府軍がマドゥーロへの忠誠を止めることしか考えられない。

これについては、多くの専門家が、軍がマドゥーロへの支援を終える準備をしている証拠があると語り、憲法上の役目と、現政権下の国土の防衛を放棄する決断を行いつつあるとのメッセージを発していると指摘している。しかしながら軍は長きに渡りチャビスモに染められており、専門家の指摘が真実となるかは見通しが立たない。

“グアイドの事の進め方は、軍の方針の転換を見据えてのことだが、それを実現するには時間が必要だ。なぜなら軍部内にも様々な勢力がいるからだ。グアイドに不快感を隠さない者もいれば、マドゥーロへの反抗を隠さない者もいる”。

グアイドの暫定的な大統領への就任は、ベネズエラ史上初の歴史となる。彼の暫定大統領就任の際の誓いは、憲法上想定がなされていなかった手法である。ところが、憲法第233、330、350条では憲法の再建についての規定が確認できる。これは、国民会議と何千万人ものベネズエラ国民の判断で、マドゥーロが不正で秩序の無い選挙を行ったときを想定して1月10日に成立した条項である。これに基づけば、グアイドの暫定大統領就任は憲法の抜け道を利用したものでは無く、一貫した法的な正当性を保持したプロセスに準拠していることとなる。

参考記事:コロンビア・El Tiempo紙
https://www.eltiempo.com/mundo/venezuela/hasta-donde-llegara-el-presidente-encargado-de-venezuela-juan-guaido-318384

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