419.【WACK峮峮スピンオフ#13】Julieのスミレの花
Julieは探していた。台北の街中をぶらつき、お花屋さんを見つけると、ふらりと立ち寄る。
(あたし何してるんだろう。あの夢を信じてるの?)
それは今朝見た夢。夢の中に出てきたのは、長い白髪と白い髭、白いローブをまとった老人。
「あなたは、だれ?」
「無明。そう覚えておきなさい」
「無明……」
「スミレの花。それを手に入れて、窓辺に飾りなさい。あなたの大切な友人のためになる」
そこで老人は消え、夢から醒めた。
(なんか夢を信じて歩いてるのもなぁ。でも気になる……)
そう思ってふと見ると、鉢植えのスミレの花。それが置かれていたのは、お花屋さんではなく、パン屋さんだった。
Julieはふらっと中に入った。
「いらっしゃいませ」
店内のお客はJulieだけだった。もうすぐお昼だというのに、なんでこんなに空いてるのかなと、Julieは思った。
「あの~、変なこと伺いますが」
「スミレの花でしょ。お待ちしておりました」
「えっ……」
店員さんは中年の女性だが、愛想良く笑顔を振りまいて言った。
「はい。お友達を助けてあげてください」
Julieは驚いて、言葉を失った。
(これはまだ夢の中なの?)
「あ、ありがとう……」
「私はあなたの味方よ。気にしないでお持ちなさい」
(狐につままれたというのは、こういうことを言うのかな?)
Julieは丁寧にお辞儀をして、そのパン屋さんから出た。そのとき、雲間から太陽が顔を出し、スミレの花を祝福するように光を注いだ。
(きっと何かある。窓辺に飾ろう)
そう思って、Julieは家路を急いだ。
スミレは森で香りを漂わせ、
ミツバチはその魅力に誘われる。
私が最初にあなただけを愛してると言ったとき、
あなたも私だけを愛してると言った。
栗の花が空き地で輝き、
コマドリは木の上から高らかに歌う。
私が最初にあなただけを愛してると言ったとき、
あなたも私だけを愛してると言った。
🍒 🍒 🍒
突然の展開と思われるかもしれませんが、Julieのスミレはすぐ次にも続きますし、最後まで重要なモチーフになります。
曲はDe Danann(デ・ダナン)の「Maggie」、ヴォーカルはモーラ・オコンネル。この曲が「WACK峮峮スピンオフ」のテーマ曲です。
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峮峮スピンオフは、のろのろと続きます。。
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