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2022/01/27

近々、知人を相手に断酒会について話すことになった。どこから話そうか考えている。中島らも『今夜、すべてのバーで』を読み返そうか……断酒会に所属して酒を断って6年になろうとしている。止め始めた時はここまで続くとは思っていなかった。もちろん、一旦呑んでしまったらカップ1杯のお酒であってもアウトだと聞いている。チョコレートの中に入っているようなお酒でも危ないらしい。大好きだった甘酒も呑めないのだった。まあ、仕方がない。酒を止めたあとの生活の幸せさを考えたら贅沢は言えないな、と思っている。

ああ、随分お酒を呑んだものだ……大学卒業を控え、就職活動をしていた頃のことだ。当時は自分が発達障害だと全然知らなかったもので、就職氷河期にぶち当たってしまって就職が決まらず、やけくそになって一日の終わりにビールを呑み始めたのだった。それが続いた……実家に帰ってニート暮らしをしていた時も、仕事を始めてからも私は病的な飲酒を続けていた。仕事が終わるとコンビニや酒屋に行って酒を買い、呑んだくれて一日を終わらせる。もちろん体にいいはずがない。でも、止められなかった。体を健康に保ったとしてもどうせ人生は終わったも同然だった……と信じていた。

自分の呑み方がおかしい、とは心のどこかで思っていた。それで断酒について調べていた時に、私の町に断酒会があることを知った。見学しようと思って連絡したのだけれど、そこから健康増進課の方とつながりができた。断酒会に参加することを誘われて……そして、偏頭痛で倒れて酒が止まった一日があった。その日に、これ以上呑み続けていても幸せな人生なんて送れっこないと思い酒をきっぱり断つことを決意したのだった。不安はあった。酒が自分を支えていたというか、生きるエネルギーを与え続けていたのだから。

そんなわけで、私にとって酒を止めることができたというのはただ依存症から(たまたま)脱せたというだけではなく、私自身にとっての「生きるエネルギー」をどこから得るかという考え方の転換ともなった。酒を止めて健康に動くようになった身体、健全に働くようになった思考で今一度自分にとって本当に幸せなこととはなにか考える。それは、カネでは必ずしもない(綺麗事は言いたくないので、カネがないよりはあった方がいいとは思う)。日々の旨い食事と面白い本、身体を駆使する仕事、そして穏やかに続く「終わりなき日常」(宮台真司)だと思っている。

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