Why don't you get a job?

仕事ができるというのは、直接的であれ、間接的であれ、成果を上げるという事だ。
コックなら客を呼べる料理を作る事だし、プログラマーなら効率やセキュリティを考えたプログラムを早く書く事。

では、仕事ができないというのはなんなのだろう。
コックであれば客が寄り付かない料理を作る事だとして、では客が寄り付かない料理とはなんなのだろうか。

美味しくない。高い。提供が遅いなどがそれにあたるのだろうか。

「美味しくない」は調味料の配合を変える事で改善できるかもしれない。
「高い」は素材の調達先を変える事で、
「提供が遅い」は事前準備や手順の見直し、反復練習で早く提供可能かもしれない。
要するに調理においた課題に対してKPTなり、PDCAなりで改善すれば「仕事ができないコック」はいなくなるということになる。
雑多に言えば、反省、練習、研究、調査でおいしくもなるし、安くもなるし、早くもなるということだ。

上記が正しいと仮定すると、仕事ができないコックとは、反省も練習も研究も調査もしないコックということになる。
おそらくプログラマーも同じだろう。
仕事ができないとは、職業ではなく、人にかかる言葉なのだろう。

なんの職種でも、仕事ができない人。という事だ。

ただし、反省も練習も、正確なベクトルでなければいけない。
会社員なら上司がベクトルを正すべきだ。
もちろん、本人が実施しないといくらメンターが正したところで向上はしないが、導く存在というのは必要だ。

ここ数年、指導し続けた部下が辞めたいと言っていると耳にした。

酒が好きなやつだったので、時間があれば気分転換に飲みに連れて行きごちそうし、ミスの原因を一緒に探し、改善するよう課題を与え、適度に褒め、大事になりそうなミスは注意し、他の人を巻き込んだミスはしっかりと「こういうところがいけない」と叱り、音楽が好きだと言うから、休みにライブに連れて行き…時間も金もかけた。

いつまで経っても反省も練習も研究も調査もせず、もっと言えば「できるまでやってみる」という気概も無く、成果も出ないままだったが、それは指導が悪いと思い、よりよい導き手になるために工夫した。

以前も「向いてないから辞めたい」と言われた事があり、「コックが『まずい』と言われて、次の日に同じ調理をするか?だいたいのコックは美味しくなる工夫をするだろ?君の仕事も同じ。毎日『うまくいきませんでした』と言っているが、提案した改善案に取り組んだ様子がないのは何故?辞めるのは君の人生なので止めないが、君の場合は向き不向き以前の問題だぞ」
と伝えた事がある。彼は辞めるのを思いとどまった。

そこから何も変わらないまま数年が経ち、今に至り、仕事ができないまま、また辞めたいそうだ。

同じ会社にいた数年間、彼は新卒から全く変わらなかった。弱気な自分を人当たりの良さで隠し、やる気の無さを得意な酒カバーし、でも得意な酒で仕事するわけではなく、何一つ成果を出さず…センスもなく、努力も工夫もせず、かと言って指示や指摘を受け入れて実践するわけでもなく、タスク漏れや報連相未実施が直らないまま辞めていく。

彼の人生だ。好きに生きたらいいと思う。
合わないと感じたら辞めるべきだ。人生は楽しい方がいい。

ただこのままだと彼はいつかクリティカルなミスをするだろう。
万が一そうでなかったとしても、心を入れ替えない限り仕事ができない人間のままだろう。

そうならないよう、仕事ができる人間にしてやれなかったのが心残りでならない。

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