マ社長の星屑レビュー☆第17回 ソルファ(2016)/ASIAN KUNG-FU GENERATION

さあ、何を書こうかと思い、iTunesストアを開いたところ、トップにあったアジカン。最近ラジオで昔の曲が度々流れていたんで何かと思っていたら、再録なんですね。すげー、自分たちにも度々そんな話も上がったりするけど実現させてないし、再録ってどんな感じなんやろうと思い、今月のお題にさせてもらおうとポチッとしまして、いま聴き始めたらものすごい問題が発覚しました。おれ、知らねー、このアルバム、知らねー。再録がどうのってか、初見じゃねぇか、よく考えたら。自分のバカ。でもせっかくポチッとしたので、再録云々を関係なしに書いていこうと思います。なんだかすんません。

まずヤホーじゃなくてグーグルで検索してみますと2004年のリリースのセカンドアルバムで12年前の作品なんですね。自分のよく知ってる「晴天の霹靂」って歌ってる「君という花」は2枚目のシングルで、このアルバムには入ってなくてちょっと残念。しかし、オリコン月間チャート1位という華々しい経歴のアルバムです。しかしながら、なんでそんなに売れたアルバム聴いてへんねんと言われそうですが、その時代くるりは「アンテナ」作ってたんですよ。日本の時代の流れと逆行して。ずっと逆行してますが。その時代に何を聴いていたかなとiTunesの2004年リリース作品スマートプレイリストを作ってみますと、「The Bad Plus」、「Bill Frisell」、「DJ Rells」、「Erasto Vasconcelos」、「Gilberto Gil」、「Jane Monheit」、「Louisa Mark」、「Medeski, Martin & Wood」、「Milton Nascimento」、「Mos Def」、「Nina Simone」、「Norah Jones」、「The Roots」、「Tété」「Youssou N’Dour」なんかが出てきました。あんま趣味変わってへんなと思いましたが、そんな人が日本のロック聴かないですよ。言い訳としてですが。それから12年、それではマジ聴きしていきたいと思います。

1曲目、振動覚 。「刻むマイギター」であったり「揺れる鼓膜」、「特別な才能を何一つ~」なんかのワードがあるからものすごく歌っている人の一人称、つまりはゴッチの本当の言葉として発せられているように感じますね。
まだ若いバンドの苦悩であったり、立場への違和感みたいなものを曲に乗せていることで、その時代の同世代や学生さんにも共感する人が多かったのかなと1曲目にしてなんとなくわかりました。早すぎない言葉の乗る8ビートでクリスピーな金物でタイトなドラムにしっかり楽器の音がするベース、ポストロック以降のギターの入り方なんですかね、こういうの。オブリとかソロとかっていうブルース色のないフレーズで構成されるギターも特徴的なのではないでしょうか。

2曲目、リライト。知ってます、この曲。ラジオでよくかかってまして、ナノムゲンでサビ手あげてました。オーソドックスなリズムの中ハットの開方で表情をつけて、イントロ、間奏、サビが全部ライドってのが新鮮。あ、来た「くれよー」!間奏ギターのモチーフをバンド全体で展開してからダブ処理が入るんですね。こういうのバンドでライブでやっていると楽しいから長尺やってしまうんですが、お客さんしんどいんですよね。昔フジファブリックのライブで知りました。それにしてもゴッチはわりかし「はっ」とかいう人やったんですね。初めて知りました。アウトロはまたイントロと展開する同じフレーズに戻って美しい終わり。

3曲目、ループ&ループ。これぞパワーポップっていうイントロ。タンバリンがいいですね。でもこれはこのイントロ勝ちですね。上がりますもんね。もっかいくるって思ったらスカされた時のあの恥ずかしさ。あ、サビなんか知ってる。しかしギターのフレーズが全体的にいっぱい種類出てくるから考えんの大変やなと思ってしまった39歳です。

4曲目、君の街まで。ギターのアルペジオとベースで始まるって思ったらなんやこの変な曲。あえてぶつけてますね。3つ目のコードがベースフレーズ的にはE♭/GだけどギターがD♭のアルペジオのままで、リズムギターが入ったらGm7-5になってるのか。思わず楽器を取ってしまいましたが、なんじゃこれ。こんな曲もあるんですね。でもいい歌ですね。

5曲目、マイワールド。イントロからのリムショットが印象的。クラッシュが右に振り切ってるのか、これは。金物が全部真ん中より右よりってのが変な感じ。サビ終わりのドラムフレーズ、やりたいことぶっ込んでますね。最初のAメロ終わりが「you’re my girl」って発音良く歌ってると思ったら「油膜」やったことにショック。コーラスが気持ちいい2番のAメロからウィーザー的哀愁を持ったサビ。日本語とパワーポップが気持ちよく融合しているなと思います。また「in my world」やと思ってたら「宴 マイワールド」なんですね。やられた。

6曲目、夜の向こう。またタイコぶっ込んだフレーズですね。壮大なイントロにスマパンとU2を感じました。そしてアジカンだけじゃないですけど、最近のバンドって本当ギターソロないですよね。間奏もきっちりフレージングされていると思っていたら、来たーソロ!あるじゃないですか、え、終わり?あ、続いた。ギターソロなんだか嬉しかったです。

7曲目、ラストシーン。いきなりギターがめっちゃ前に出てきました、ぶっとい音なのか。ギラーノイズとエコー感からのバンドイン。セクシーなベースイン。凝ったアレンジしてますね。追っかけコーラス、何言ってるかわからないのですがらしくなくていいですね。絶対違いますが「温泉 wow I want」って聞こえます。またいろんなパターン叩いてますね。こんな好き勝手叩く人やったんや。印象変わりました。

8曲目、サイレン。フィードバックノイズが気持ちいいイントロからクリシェした、珍しいと思ったら違いました。また歌が始まる前にもう一展開。展開多いバンドですね。ほんでもってゆったりして気持ちのいい揺れだなと思ったら初めての16ビートじゃないですか。8ビートが続くとこういうノリが少しでも入ると清涼感じゃないけど、箸休めみたいになっていいなと思ったら速攻8に戻るじゃねぇか。サビ後半では四つ打ちいくし、展開ごとに数字減っていくビートですね。ほんでまた戻る。ややこしいけど、楽しい曲ですね。

9曲目、Re:Re: 。このタイトル今の時代で言ったらスタンプの応酬みたいなもんなんですかね。ほんまに歌入るまでに色々やるバンドですね。ローゼズ的ベース&逆回転からの右でコードがぎゃーんって入るのがかっこいい。ツインギターの醍醐味ですよね。珍しくタイコはきっちり四つ打ちしたはるけど、まだ歌が入らんな。すごい、歌インが1分39秒ですよ。カラオケでこれ入れたら怒られるでって思ったら、昔のやつとは違うかもしれないんですよね。はい。歌終わりにまたプログレ的に展開しますね。ソロじゃないけど、ギターの音色とプレイの違いで3種類の間奏で最後は16ビート。そっから歌やけど、基本これは楽器のための曲なんですね。ほんでもってタイトルの予想は多分外れたのと、すごい最後。またローゼズ的に終わるのか。演奏するのは楽しそうですね。

10曲目、24時。サクッと歌が入って嬉しいです。このギターも好きです。オクターブ下のコーラスよく出るな。長い感想の後の歌とみんながユニゾンしているのが楽しくていいですね。ほんでもってスネア頭打ちはやっぱり感動的だなと思いつつ、改めて1曲の中に楽器それぞれのいろんなアレンジをぶち込んできているというアルバムなのかなという印象を持ちました。昔の知らんけど。

11曲目、真夜中と真昼の夢。何このアーバン。ウィンドチャイムを経て16のハット刻みの中ボンゴ的パーカッションまで登場したじゃないですか。これまでの流れからしたらものすごいパンチ力ですよ、これ。でもしっかりサビではアジカンに戻って、最近はやりのリズムに変化して、またアジカンに戻る。ちょっと元歌が聴きたくなってきました。どんだけちゃうんやろ

12曲目、海岸通り。いよいよ最後の曲です。2004年作品では11曲目だったみたいなんですが、ラストに持ってきたのは思い入れがあられるんですかね。ここにきてストリングスが入ってきて、アコギも入って全然違う雰囲気の曲をアルバム最後に聴けるのはいい感じです。シカゴの「Saturday In The Park」感は丸出しですが、なんだか12年経って成長したバンド感がここにあると思います。重ね重ね言いますが、元は知りませんけど。それくらいラストにふさわしい曲だなと思いました。

はい、というわけで、今回の感想文はこれで以上ですが、怒られそうだからきちんと元も聴いてみようと思います。しかしながら、普段はあまり気にしないけど、ポチッとして聴いてみたくなった再録リリースをやったアジカンに拍手でございます。同級生なんですが、あんまり交流したことないので、機会があったら飲みながらでも再録話を聴いてみたいなと思いました。それではー。

(マ)

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