マ社長の星屑レビュー☆ 第15回 22, A Million/Bon Iver

今日は新しい月になりました、10月1日です。

すっかり涼しくなりましたが、相変わらずの雨模様で人間にとっても日照時間が足りていないよう感じます。そんな中iTunesを覗いたら昨日発売のBon Iverの新作が出ていまして、楽しみにしておりましたので早速ポチりました。
全然関係のない話なのですが、先月のMUSICAのレビューでこのアルバムを担当するはずだったのが、締め切りの前日になっても音が届かなくて、キャンセルになっていたのでした。まあ、出たからいいですが。ほんでもって、今朝からM.I.Aの新譜とAmerican Footballの新譜のレビューを書いて、本日3本目のこれに臨むのですが、楽器も持たずにわしゃ何やっとんねんという気持ちを抑えつつ、聴いていきたいと思います。

まずBon Iverですが、シンガーソングライターのJustin Vernonを中心に結成されたフォーク・ロックバンドです。
メンバーが10人くらいいる大所帯なバンドで、グラミーも最優秀新人賞で受賞していますし、来日もよくしておられるので、ご存知な方も多いのではないでしょうか。知らんって人はこのライブ映像でも見てみてください。

Vivid LIVE 2016: Bon Iver - Michicant at Sydney Opera House

さあ、というわけで、聴いていくぞと思ったら、タイトルが変。アルバムタイトルも「22, A Million」ということなんですが、曲タイトルも全部数字と変な英語やマークです。聴く前から若干ざわつきます。

ということで、1曲目。ループされるノイズ混じりの声に生声、エレキギター、ボコーダー、ストリングスなどが重なってきて、いかにも1曲目。盛り上がりそうで盛り上げないサックスソロがかっこいい。リズム楽器なしでコラージュで作られた一曲ですが、歌力を感じて初っぱなからいい感じです。

Bon Iver - 22 (OVER S∞∞N) [Bob Moose Extended Cab Version] - Official Lyric Video

2曲目。と思ったらいきなりテクノよりになってきました。歪んだ打ち込みリズムにシンベ。ボコーダーを多用してますが、逆に生声の力強さが強調されています。それに呼応するような勇ましいサックスとストリングスワークで終焉します。Kanye WestやJames Blakeとのコラボなんかが影響されているのでしょうか。かっこいい。

Bon Iver - 10 d E A T h b R E a s T (Extended Version) - Official Lyric Video

3曲目。この曲もImogen Heapの「Hide and Seek」で衝撃を受けたボコーダー使いで始まります。生歌をオートチューンで加工してからボコーダーなのか詳しいことはわかりませんが、歌一本でコードになっちゃう例のやつです。まあ、見てもらったらわかります。あ、終わった。アカペラやった。

hide and seek- Imogen Heap

Bon Iver - 715 - CR∑∑KS - Official Lyric Video

4曲目。全部曲が短いです、いいですね。軽いアップライトピアノのイントロから始まり、生声とボコーダーの掛け合い。生楽器、バンジョー?が入ってきたかと思ったら、ここでアルバム初めての生ドラムが登場します。歌はなんだかプリンスみたいです。また生歌とボコーダーの掛け合いの歌になるのですが、歌詞が気になります。
日本盤買おかな。

Bon Iver - 33 "GOD" - Official Lyric Video

5曲目。アコースティックギターのイントロで始まる、初めて落ち着きを見せる曲。でも変な曲だ。でもサビではボコーダーボイスがやっぱり盛り上がりを作ります。どの曲もアレンジが奇抜でも元はフォークなんだなというのを楽に感じることができる曲。途中のピアノがいい感じです。メンバーが多いといろんな音を小出しにできるからカラフルでいいですよね。しかし、1曲目からなんですが、所々でレックをミスしたようなノイズ、蓄音機の針が飛びそうな音、またはテープが一部伸びちゃっているような感じ?の音が挿入されるのですが、どうやってんにゃろ。

6曲目。タイトルが「666 ʇ」こんな矢印使えるんですね。初めて見たわ。人種が違うからなのか、そのおふざけ感がわからなくてちょっと悔しいです。ここに来て、初めて生ベースの音が聞こえました。ダブルベースですが、気持ちいいです。ほんとドラムのキックのパンチ感とか日本の音楽シーンが未だに引っ張っているところから完全に解き放たれているアルバムです。自由に音が紡がれている感じがします。Radiohead、James Blakeの新作なんかと同じ線上にあるアルバムな気がします。

7曲目。6曲目の終わりから繋がってのイントロ。これもまたドローンは鳴っていますが、歌でコード感を作り、周りの音は全部うわものな曲。幻想的なシンセに生楽器で鳴らされるストリングノイズがやけに生々しくて印象的です。

8曲目。こちらも7曲目から繋がってのイントロ。そういうコンセプトなんですかね。だから後半のオフィシャルのリリックビデオがないのかもしれませんね。今までで一番普通な楽器構成の曲かもしれないです。今まで歌がやっていた役割をサックスが果たしています。

9曲目。この曲は繋がっていないので6〜8曲目の流れが一まとまりだったんですね。この曲もサックスが今までのボーカルに施された加工がされており、バンジョーのソロが印象的です。機械の声から生声にアルバムが進むにつれ帰ってくるっていうコンセプトがあったのかもしれません。

10曲目。ピアノとシンプルなディレイのかかったエレキギターとボーカルのみで構成されるこの曲。やっぱり歌は生声です。コーラスも生で重なっています。こういう〆は予測できましたが、何かを伝えたかったんですかね。
ちょっと一回聴いただけではわからないので、またゆっくり聴いてみたいと思います。

というわけで、Bon Iverの新しいアルバムは聴き終わったらすごく真っ当に進化したアルバムじゃないかなと思いました。今までのイメージからはちょっと変わるかもしれませんが、しっかりと歌が一番前にあるバンドということに変わりはないと思います。ほんでもってまさに2016年なアルバムだなと思いました。
お時間ある方はぜひ聴いてみてくださいなです。

(マ)

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