マ社長の星屑レビュー☆第4回 ACOUSTIC GUITAR SUMMIT 2015 Special Concert

今回は10月31日に見に行って素敵だったライブのレビューを書きたいと思います。

コンサート終了後に家に帰って他のCDのレビューを書こうと思っていたのですが、ふと思ったのです。ライブレビューでもいいじゃんって。というわけで、今回はそんな感じです。

このコンサートに出かけたきっかけは出演者の塚本浩哉さんが誘ってくださったからなのですが、塚本さんとの出会いのあらましだけちょこっと紹介させていただきます。
昔、ノイズマッカートニーレコードというレーベルをやっていた時に、塚本さんがN.Yから音源を送ってくださったのが最初で、その時は「Interoceanico」という大所帯のバンドをやられていました。
南米やスペインガリシア地方を感じる音がジャズと混ざり、広がりがあって雄大な景色の見える音楽で大好きだったんです。
N.Y在住ということだったのですが、たまたま自分たちもレコーディングで2ヶ月ほどN.Yに滞在することがありました。
そこでチャンスとばかりにライブを拝見して、お話して、ご飯を食べたりするうちに実はご出身が隣の中学だということが判明し、今に至っている感じです。
毎年のように日本でもツアーをなさっているのですがタイミングが合わず、今回はなんとそのN.Yぶりというコンサートでありました。

というわけで、行ってまいりました「ACOUSTIC GUITAR SUMMIT 2015」
会場は銀座のヤマハホール。
土曜日ということで開演が6時。6時半だと思っていた自分は家を出る前に気付き、
ダッシュで向かって開演1分前に着くことができました。
普通のライブだろうと思っていたらびっくり。司会の女性と解説のギタリストの方がまずは挨拶。
さすがサミットだなと思っていたら早速トップバッターの塚本さんの演奏が始まりました。
スチール弦のもちろんアコースティックギターで全てDADGADチューニングでの演奏でした。
音源を聴いてもそうなんですが、この人の曲と演奏はなんだか小高い丘が見えるんです。
パットメセニーも音楽感は全然違うんですが、小高い丘が見えるんですよね。
育ってきた環境なんでしょうか。
まあ、いいとして。塚本さんはルーパーなども使用してフレーズをハモって、ボディーを打つパーカッションや鋭いピッキングの音などでリズムを作り、豊かな表現をなされていました。
やっぱ音楽はもちろんですけど、土台の人が好きなんやなとなんだか理解しました。
そして全部オリジナル曲の演奏を終えると司会の方が登場してインタビュー。
これは面白い展開だと、改めてサミットいいなと思いました。

Soledad/塚本浩哉 / Studio Live in Memphis, TN

https://www.youtube.com/watch?v=oaPLbxCHOFU

その後2番目に登場されたのがクラシックギタリストの村治奏一さんです。
村治香織さんの弟さんですね。お父さんがギター教室の先生で、3歳からギターを弾いておられたみたいです。
塚本さんからは打って変わり、ナイロン弦アコースティックギターで鬼気迫る現代音楽からスタートしました。
繊細なハーモニクスと不協和音からなる曲で、始まった瞬間、ああ、クラシックのコンサートなんだと理解しました。
キャパ400人弱の考えられた小規模ホールだからこそ聴ける、完全生音の素晴らしさに触れました。
そこで気づいたのですが、こんなアコースティックギター一本の弾き語りじゃない演奏だけのライブなんて見たことなかったなと。サミットすげえなと思い改めました。
20数分の限られた時間で、自分のコンサートでもよくやっているとおっしゃっていた、現代からロマン派のバッハまでを遡り、また現代に帰ってくるという、短いながらも素敵なプログラムを見せていただきました。
ただ残念だったのが曲の変わり目での間で、さあ曲に入るという瞬間に拍手が入り、一度その間を逃されたのが、客として申し訳なかったです。誰も悪くないのですが。

フォーコ R.Dyens/村治奏一

https://www.youtube.com/watch?v=pg1tWnm5u1A

村治さんの演奏の後20分の休憩がありまして、会場で見ておられた塚本さんとお話したり、コンサート気分なもんで一杯千円もするシャンパンを一口で飲み干したりして、
初めて触れている世界の続きを楽しみに席に戻りました。
次は誰の演奏なんだと思っていると、司会のお二人と出演者の4人がステージにあがられてのトークセッション!
すごい演奏家たちの普段が垣間見られる楽しい時間でした。
ほんでもって、次はジャズギタリストの小沼ようすけさん。サーフィン好きですとか、波の音を聞きながらギターで好きな音楽を弾くのが好きなんですとおしゃっていて、村治さんからの流れからは急にリラックスできる、踊りたくなるようなジャズが始まりました。
ナイロン弦での演奏で、中でも最高だったのがSonny Rollinsの「Oleo」!
ギター一本でこんなことができるんだと感じると同時に体が動きました。
それとなぜか気さくな雰囲気がビンビン伝わってきまして、なんでだろうと思ったんです。
音楽のジャンルからももちろんなんですが、プレイスタイルが親しみを持てんですね、勝手に断言します。
クラシックギターの人って、ネックを立てて演奏するために左足の下に足置きと言いますか、足台を置いて右足との段差を作り、演奏するんです。
塚本さんはジャズの人でネックを立てて演奏はされないのですが、プレイ位置のために右足に足台を使用しておられました。
村治さんはギターホールのネックより下のボディーに取り付けるタイプのギターレストを使っておられました。
この次に紹介する大萩さんはスタンダードな左足の足台を使用しておられました。
だがしかし、小沼さんは豪快な右足を左足に組むというスタイルなのです。
親近感を感じたロック畑のお客さんは僕だけではなかったでしょう。

Wind/小沼ようすけ/PARABOLAスペシャルライブ

https://www.youtube.com/watch?v=dnqnSIy5aW8

そして最後はクラシックギタリストなのですが、ジャンルを問わずいろんな環境で活動されている大萩康司さんです。
ライブ後にググってびっくりしたのですが、いっこ下でした。激烈ショックでした。
それは置いておいて、ナイロン弦での演奏で、George Gershwinの「Summertime」から始まり、沖縄の動揺である「羽衣の子守唄」の壮大な20分に及ぶアレンジで終了しました。
確か「羽衣伝説」とおっしゃっていたと思います。
いやぁ、すごかった。
単音にせよコードにせよ、ありえないほど繊細なタッチとダイナミクスとチューニング。
指で楽器を鳴らしている人間として、なんという表現力なんだろうと思いました。
そして良い環境だからこそ味わえる、速いパッセージに入る前の息遣いとかも感じることができまして、ええもん見て聴いたなと、本当に感動いたしました。
またコンサートに行きたいと思いました。

Tango En Skai/大萩康司/ACOUSTIC GUITAR SUMMIT 2013

https://www.youtube.com/watch?v=lStDnCWyXC8

そして最後はアンコール的に小沼さんと大萩さんとのセッションで幕を閉じました。
本音で言いますが、本当に素晴らしいコンサートでした。サミット最高と思いました。
音博をお客さんとしてみたことはないですが、このコンサートで感じたことを少しでもできていたら幸せだなと思いました。そしてそんな音楽での感動を知らない人に伝えられたらなと思いました。
そして自分自身またいろんなライブに行きたいなと思いました。
ほんでもって、素敵なライブがあったらまたここで紹介したいと思います!

(マ)

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