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Netflixがディズニー帝国の牙城を崩すとき
こないだCEREAL TALKのPodcastでNetflixの常設店舗がオープンするニュースを取り上げたのだけど、そこでの話が面白くて、収録後に自分なりにあれこれ考えたことも多々あったので、備忘録としてのメモ。
40分のロングバージョンになってしまったのだけど、Netflixとディズニーについてかなり掘り下げて、IPビジネスとサブスクビジネスについても考察した回だったので、ぜひ私以外の二人の視
自分にとって「どうでもよくないこと」こそが生きがい
多様性を認め、「人それぞれ」を尊重することがよしとされる時代。違和感を抱いたり、もっとこうしたらいいのに、と思うことがあっても、わざわざ口に出さず一度受け入れるのが大人なのかもしれない。
そんな時代の変化に適応するためなのか、気づけば自分のなかで「まあいいか」と受け止める範囲がずいぶんと広がった。
SNSで巻き起こる論争を眺めながら、「そういう人もいるよね」「そんな考え方もあるんだな」と、意見
「文化の継承」の出発点
「動的保存」という言葉を初めて聞いたのは、とある重要文化財を訪ねたときだった。保存とは単に元のかたちを維持することではなく、古きよきものを残しながらも現代に生きる人たちが活用することも含むのだと丁寧に解説していただいた。ガラスケースに入れて傷ひとつ付けないことだけが「保存」ではない。人がそこで生きているからこそ建物も生きる、そんな保存のしかたもあるのだと。
美術館や博物館に並ぶ芸術品はどれも美し
私たちの仕事は、「桃源郷」を作ること
九州には「ななつ星」という豪華列車がある。九州の素材や名匠の作品が散りばめられ、豊かな自然と温かなホスピタリティによって九州らしさを体現するこの電車は、2013年の運行開始時から憧れと誇りをもって愛されてきた。
いち九州人として、JR九州は故郷の誇りだと思う。車社会なので電車に乗る機会はそう多くなかったけれど、思い出を遡るとそこにはいつも美しくデザインされた車両がある。東京から福岡に帰ってきたと
「アンラーニング」と「修行」の違い
英語がある程度身についてくると、日本語能力の高さが英語の成長を妨げることに気づく。日本語を直訳した英語ではなく、「英語らしい英語」で話すには、頭のスイッチ自体を切り替えなければならない。言語化変わると単語や文法のみならず、ものごとの捉え方ごと変化させる必要がある。
何を主語に置くか、どの順番で話すか、どこを強調するか。言語がまとう文化的コンテキストや笑いのセンスも踏まえながら、英語を「英語」とし
努力の継続に必要なのは「再開する力」
英語の勉強をはじめてから、ちょうど丸二年が経った。
2年前に私が掲げた目標は「英語でインタビューして英語で記事を書けるようになる」。
当時の私の英語力からそのレベルを目指すとしたら、毎日3時間勉強しても3年はかかると言われたときの衝撃をいまだに覚えている。高校生活と同じだけの年数を勉強に費やさなければならないことに軽いめまいを覚えたけれど、気づけばもう2/3が経過した。
まだ当初の目標には到達
伝統から革新を生むために
生き残るためには、変化し続けなければならない。この原理からはどんな事業体も逃れられない。
一時代を築いた大企業も、何百年も続く伝統産業も、絶えず変わりゆく時代に適応するための変化を求められている。
しかし規模が大きければ大きいほど、そして歴史が長ければ長いほど、変化のスピードは鈍る。
ステークホルダーが増え、ビジネスシステムは複雑になり、「安定」や「継続」を求める人の割合が高まっていくからだ。
共感は「個人の物語」からはじまる
コンテンツには、「役に立つもの」と「役に立たないけれど愛されるもの」の2種類があると私は考えている。そして発信を苦手とする人の大半は、「役に立つもの」しか発信してはいけないと思い込んでいることによって自らハードルを上げすぎているように思う。
「役に立つもの」はたしかに根強い人気がある。誰でも簡単に成功する方法を知りたいのだし、情報が溢れている今、これを選ぶのが一番コスパがいいと教えてくれるコンテ
大学で一番力をいれるべきなのは「勉強」である
大学は勉強をする場所である。当たり前すぎるほど当たり前のことだが、私は一に遊び二にバイト、単位なにそれおいしいの?いう調子で大学生活を送った元気な不良大学生であった。そもそも田舎の高校生だった私は受験の時点で「学位」の概念を持ち合わせておらず、偏差値と照らし合わせて入学できるかどうかで大学を選んだと言っても過言ではない。
大学で勉強する意味もよく理解していなかったし、大卒の資格を得ることによって就
コントロールされる欲望
Netflixの「History101」というオリジナルシリーズにハマって最近よく観ている。
初回テーマがファストフードだったのだけど、一番驚いたのが「この50年でハンバーガーの平均サイズが3倍近く大きくなっている」ということだった。
In 1954, an average hamburger is 3.9 ounces. In 2006, on average, they're three
「批評家」という仕事への誤解
一般的に、批評家と実務家は真逆の対象として語られることが多い。そして大抵の場合、批評家は実務家のような苦労をすることなく好き勝手にものを言って暮らしている人、というイメージで語られがちだ。
さらにいえば、大学教授や研究者に対して「自分が実務家としてやってみたらいいのでは」という意見を耳にすることもある。
こうした言説に触れるたび、「考える」という知的労働の地位はまだまだ確立されていないのだなと