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「所有しないブランド」を作る

「小売」という単語には「売る」という言葉が入っている通り、「いかに売るか」を常に考える必要があります。

作って、流通させて、買ってもらう。

突き詰めれば、小売の仕組みはとてもシンプルなのです。

私は小売が好きすぎてなんでも小売に絡めたがるので
「やっぱり、もの売りたいですか?」
とよく聞かれるのですが、実は「売る」という前提そのものを変えていきたいと考えています。

というのも、百貨店時代に自分の月収より高い商品を販売しながら、
「これだけ素晴らしいものがあるのに、ほとんど人の目に触れない今の状況はおかしい!」
と強く感じたからです。

ファッションは、トップレベルまでいくとかなりアートに近い性質になるのですが、絵画や彫刻なら美術館でお金を払えれば見ることができるのに、どうして洋服は試着はおろか、見ることすら「敷居が高い」となってしまうのだろう、ということが素朴な疑問だったのです。

さらに、「作って売る」モデルの大きな欠点は、大量の廃棄物や売れ残りがでてしまうこと。

エコやサスティナブルな世界を考えるなら、「作らない」が最適解のはずです。

"モノ"を作らずに価値を作ることはできないのか?

その答えが「体験への課金」なのではないかと思います。

わかりやすく言えば、「シェア」や「レンタル」。

本当にいいものほど、1回売り切り型ではなく、使うたびに課金してもらうことができ、資産として「モノが稼いでくれる」というかたちが作れるのではないかと思っています。

もちろん、そのモノの性質によって耐久年数は異なりますし、人の所有欲自体がなくなることはないと思います。

でも、体験への課金がもっと当たり前になっていけば、時間と手間をかけて「250点のもの」を作るインセンティブが大きくなりますし、本当にいいものを少しだけつくる、ヘルシーな世界につながっていくのではないかと思うのです。

今はまだ「商品をレンタルする」というかたちが一般的ですが、例えばホテルとショップが合体したような空間で、その世界観に触れること、商品を通した「体験」に課金するという消費行動につながっていく可能性は大いにありえる気がします。

だから私は、いつかすべてレンタルだけで成り立つ、つまり「所有しないブランド」を作りたいし、何日でもここにいたい!この世界観の中に住みたい!と思われるような場所を作りたい。

「売る」こと以上に、人が日常の中で抱えている辛さや悲しみ、苦しさを吹き飛ばすような時間を作ることが、私にとって一番楽しく幸せなことなのです。

いいものを作る人が正当に評価されて、誰もが「これでいいや」ではなく「これがいい」という選択ができる世界。

そんな世界の一端を担うために、学び、考える毎日です。

(Photo by tomoko morishige

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最所あさみ

Retail Futurist / curator。「知性ある消費を作る」をミッションに掲げています。 将来は世界一の店舗メディアを作る予定。noteの有料マガジン「余談的小売文化論」とコミュニティマガジン「消費文化総研」もよろしくどうぞ!

これからの、小売の話をしよう。

ショップは、ただモノを"売る"だけの場所ではなくて。そしてお客様は"買ってくれる"だけの相手でもなくて。明日がくるのが楽しみになるような、そんなショップがそこら中にある世界について考えたことを書いていきます。 (photo by tomoko morishige)
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コメント1件

世界観……映画のようにコンテンツ化したり、レストランのように消化するということかも知れませんね……
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