買い物はパッケージ化していく

『Instagramが消費行動を変えた』という話はすでに至るところで語り尽くされている。

Instagramで見つけたものを買うだけではなく、Instagramに載せたいがために私たちは映えるカフェに足を運び、盛り付けにこだわろうとする。

しかし最近自分自身が買い物をしていて思うのは、Instagaramの一番大きな影響は『世界観を統一しなければならない』という感覚を植えつけたことなのではないかと思う。

以前であれば、そのもの自体がかわいければ買っていたし、そういう決断の積み重ねが自分らしさにつながっていくと思っていた。

トータルで自分のスタイルを意識したこともなかったし、雑誌やテレビなどの豊富な情報の中から自分が気に入ったものだけをつまみ食いのように楽しんでいるだけだった。

それがInstagram時代に入ったことで、まず『スタイルが先にある』という順番になった。

かわいいものを見つけてもそれが自分のスタイルに合わなければ買わないし、先にこうなりたいというイメージがあって、それに合うものを探すために日々膨大な情報を取捨選択している。

そして私も含め多くの人は、そもそもどういうスタイルを目指すべきかを定められずに迷い、あれこれ見ては自分なりの作りたい世界観を作り上げようとしているように見える。

誰もがまずは自分の理想の世界を思い描きたいと思っている。しかし世の中の大半はモノという点でしか訴求されていないので、スタイル全体を探している人の心になかなか響かないのだ。

つまり若者がモノを買わないのは単にお金がないだけではなく、点で訴求して購入を決断できるほど確固たる自分のスタイルを持っている人の方が少ないということではないかと思う。

以前『ブランドとメディアの境目がなくなっていく』という話を書いたときから私がずっと世界観の話にこだわっているのはまさにこの『スタイルを売る時代』になっているからだという感覚がある。

例えば、バルミューダのケトルやトースターを思い浮かべてみてほしい。どんな人がどんな家に住み、どんな暮らしをしているかなんとなくイメージできないだろうか。

この場合バルミューダが売っているのはもはや家電ではなく、彼らの製品がある暮らしという『スタイル』だ。

もし彼らが洋服や食品といった畑違いの商品を作ったり、ホテルやコワーキングといった空間を作るとしたら、私たちはなんとなく『こういうものを作るんだろうな』と予想することができる。

おそらく彼らがやることはないだろうけど、雑誌やセレクトショップを作ればかなり売れると思う。

みんなバルミューダの製品と同じくらい、『バルミューダっぽい世界観』の中に暮らしたいと思っているからだ。

そしてモノが溢れている今、いちいち精査せずとも『ここに行けば自分の理想のスタイルを実現できる』と信頼できる場所を誰もが探している。

だからこそモノを売る上で一番大切なのはまずスタイルを定義することであり、モノという点ではなく他のモノと組み合わせてパッケージ化することで、買い物の負担を減らすことだろうと思う。

大半の人はまず自分に合うスタイルを探すのが億劫だし、そのあとブランドを調べたり精査するのも面倒なので、必需品以外は『買わない』という決断をしてしまうのだ。

『これだけ買えば今とは違う姿に変身できる』というパッケージをどれだけ作れるか。

それこそが今後モノを売る上で重要になっていくのではないかと思う。

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最所あさみ

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最所あさみ

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