"ブーム"に備える力

小売業で成功する上で大切なことは何でしょうか。

センス、集客力、接客力…。
どれも大切なことですが、個人的に最も重要なのは"在庫管理力"なのではないかと思っています。

在庫というと少なければ少ないほどいいというイメージがありますが、実際にはあまりに早い段階での売り切れは評価されないどころか責任を追及されることすらあります。

売り切れとは需要に対して供給が足りていない状態です。
それは機会損失でしかなく、需給バランスを読み誤っているということだからです。

もちろん希少価値を高めるために生産調整をするブランディングもありますが、ほしい時に手に入らなければお客様の熱はすぐに冷めてしまうのが基本です。

だからといって在庫を積みすぎるとブランドとしての機動力がなくなってしまうので、需要と供給の差分が小さくなるように在庫調整できる力は小売業として成功する上で最も重要なスキルだと感じています。

その中でも「1年を通して売り上げを一定に保つこと」は特に重視すべきポイントのように思います。

私がそう考えるようになったのは、学生時代に高級チョコレートブランドで働いていたことがきっかけ。

チョコレートブランドではバレンタイン前後のたった数日間の売り上げが年間売り上げの1/4程度を占めるほど、バレンタインの時期に売り上げを依存しています。

その時期は限定商品のみならず定番商品すらも欠品するし、ラッピング対応はお断りしなければならないし、接客慣れしていない短期アルバイトの人たちが多いしで常勤は常にクレーム対応に追われているという状況を何度も経験して「ハイシーズンの恐ろしさ」を骨身にしみて感じました。

ファッションであればセール、ジュエリーやファッション雑貨であればクリスマスとほとんどの分野で需要が一気に増える時期があると思います。

そうした事前にハイシーズンがわかっているものは事前に入念な準備ができるので対処のしようもありますが、問題は急にブームがきてしまったとき。

テレビや雑誌はもちろん、SNSやキュレーションメディアの台頭で急にブームがくるきっかけが昔に比べて格段に増えました。

しかしその需要に応えるためには一時的に生産や仕入れを増やしたり、人を新しく雇ったりといった"痛み"を伴うことがほとんどです。

そこで一気に生産や仕入れを増やしてしまうと、需要が急速にしぼんでしまったときに大きな痛手を負ってしまうことになります。

「勝って兜の緒を締めよ」とはよく言ったもので、急に売れ始めたときこそそれは一過性のブームなのか、ブランドとしてティッピングポイントを迎えたのかを冷静に判断する必要があります。

そして需要に踊らされず、規模の拡大は慎重に判断すること。

そのためには常に目標とするサイズを意識し、需要が拡大した場合に京級能力を高めるためのシミューレションが欠かせないのではないかと思います。

この"ブームに備える力"があるところが、いざというときにコケることなく順調に大きくなっていくのだろうなと改めて思うここ最近なのでした。

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最所あさみ

これからの、小売の話をしよう。

ショップは、ただモノを"売る"だけの場所ではなくて。そしてお客様は"買ってくれる"だけの相手でもなくて。明日がくるのが楽しみになるような、そんなショップがそこら中にある世界について考えたことを書いていきます。 (photo by tomoko morishige)

コメント1件

ありがとうございます!こんな身も蓋もないこと書いて大丈夫かな…と思いつつ公開したので共感していただけて安心しました笑
在庫を制すものは小売を制す、といえるくらい大事な要素ですよね。
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