好きな "人"が増えるほど、好きな "モノ"も増えていく。
最近めっきりモノを買わなくなったなあ、という方も多いのではないでしょうか。
私もそんな一人で、一時期はワンシーズンに10万円単位のお金を使っていた洋服代も、今となってはピーク時の1/4以下ほどで十分満足できてしまっています。
たまに「何に一番お金を使ってるんですか?」と聞かれて振り返ってみると、交際費やイベント、サロンなどの無形物が大半を占めていることに気づきます。
そもそも引っ越しに際してダンボール7、8個で収まるレベルでモノを持たない生活をしているので当たり前ではあるのですが、たしかに私もモノを買わなくなっている若者の一人なんだなあ、と個人レベルでも感じています。
小売の人間として悲しい現実ではありますが、今後こうした流れがさらに加速していくことは確実です。
今、「買う」の意味が変わりつつある
しかしこれまでの小売が新しい時代の流れに苦戦する一方で、新しいモノの届け方が生まれ始めています。
minneやCremaなどのハンドメイドマーケットや、簡単にECを立ち上げられるBASE、STORES.jpなどの「売る」を簡単にするサービスも一般化して着ましたし、自分で描いたイラストや撮った写真を商品化するSUZURIやTMIXによって「作る」ことも簡単になりました。
もはや「何かを作って売る」という行為は企業だけではなく、個人にも開かれていると言えます。
つまりアパレル企業にとってのライバルは同じアパレル企業ではなく、ターゲットの「友人」になりつつあるのです。
こうした変化は、私たちの購買行動にも影響を与えています。
企業からのマーケティングに寄って与えられた「モノ」はいらないけれど、信頼する友人が作った「モノ」は応援の意味も込めて買いたいし、手元においておきたい。
そう考える人は今後ますます増えていくはずです。
こうした「顔の見える経済圏」が、いたるところで発生しているのがちょうど今なのだと思います。
よくモノを売るにはストーリーが必要だと言われますが、一番大切なのは「自分のストーリーとの重なり」を見つけてもらうことです。
その際、関係性が近ければ近いほど重なる可能性が高くなるため、必然的に企業の既製品よりも友人の手作りアイテムの方が選ばれていくのです。
最近クラウドファンディングやpolcaが盛り上がりを見せているのもこうした「身近なストーリー」への共感が根底にあり、私たちがモノを買う際にはどんどんモノ自体の価値以上に人への共感が大きな意味をもちはじめています。
もちろん匠の技やトップデザイナーの技術は変わらず評価されていくはずですが、そのためには圧倒的に真似できない領域まで技術を引き上げるだけでなく、体験してもらって「自分ごと」にしてもらうフェーズも必要になっていきます。
先に関係性やストーリーがあって、その可視化としての「モノ」がある。
つまり、今後はモノが増えるということは富の象徴ではなく、豊かな人間関係の象徴になっていくのではないかと思うのです。
シェアをはじめとする「持たない消費」が進むほど、「持つ」ことは特別な行為になっていきます。
これからは、自分の持ち物ひとつひとつのストーリーを語れることが「かっこいい消費」になっていくのではないかと感じているここ最近です。
「新しい小売のカタチ」について考えるイベントを開催します。
こうした新しい流れを考える一番のきっかけはEVERY DENIMさんとのバーカウンターイベントだったのですが、彼らと話す中で今回の学びを改めてシェアするイベントをやりたいね!ということで、8/31(木)に八重洲でトークイベントを開催することになりました!
当日はクラウドファンディグで目標金額の2倍以上(驚異の700万超え!)を集められた理由や、これから挑戦する移動販売にかける思いはもちろん、今回書いたような購買行動の変化についてもお話を伺っていきたいと思っています。
当日司会としてお話を聞くのがとっても楽しみ!小売やファッションに興味がある方だけでなく、経済活動の最小単位である「モノを買う」ということを考えるきっかけとして、別業界の人にこそ足を運んでいただきたいなと思っています。
みなさまのご参加を心よりお待ちしております〜!
【イベント詳細】
イベントページ:http://peatix.com/event/290299/
日時:8/31(木)19:30〜22:00
場所:「 Diagonal Run Tokyo」(https://diagonal-run.jp/)
〒103-0028 東京都中央区 八重洲2-8-7 福岡ビル4F
参加費:2000円(ケータリング軽食付き)
※クラウドファンディングにご支援していただいた方には割引用コードあり。詳しくはCAMPFIREからのメッセージをチェックしてくださいー!
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(Photo by tomoko morishige)
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