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分人主義とペルソナと、「私の中のあなた」について。

私は「ターゲット」という言葉にずっと違和感をもっているのですが、それは人の中にある多様性を無視した言葉のように感じるからです。

そしてその違和感は、平野啓一郎が「私とは何か」の中で提唱した「分人主義」という考え方を知ったことで、自分の中で明確に言語化できるようになりました。

「分人主義」とは、端的にいえば人は自分の中に複数の顔をもっているという考え方です。

会社にいる自分、家族といる自分、恋人といる自分…。

それぞれ同じ「自分」でも、相手が変われば自分のキャラクターも少しずつ変わる。

程度の差こそあれ、この感覚は誰もがもっているものではないでしょうか。

以前書いた「【図解】赤文字・青文字はもう古い。細分化される私たちの新しい『カラー』」という記事の中でも、一番言いたかったのは

すべての女子はカテゴリにかっちりはまるのではなく、あらゆるクラスタを行き来している

ということです。

上記の記事を書いてから、友人に「私はどこかな?」とよく聞かれましたが、私は常に「このカラーをベースにしつつ、インテリアを選ぶときはこのカラーだし、遊びにいくときはこのカラーも入ってるよね」とその人のバランスを説明するようにしていました。

誰もがどこかに「当てはまる」のではなく、「その人の中の割合」で見る方が、より実感値に近いような気がするのです。

こうした考え方は、分人主義について理解したからこそ自分の中で腹落ちした感覚でした。

では、ターゲットを考えるのは意味がないのか?というと、むしろ分人主義をベースにしているからこそ、しっかりペルソナを確立することが重要なのだと思っています。

ペルソナといえば、Soup Stock Tokyoの「秋野つゆ」という架空の女性が有名です。

Soup Stock Tokyoに足を運ぶ「秋野つゆ」は、どんな生活を送っていて、何が好きで、彼女に似合う場所とはどんな空間なのか。

理想の顧客イメージをしっかりと固め、そこから逆算して商品や空間を決めていく手法は、もはや当たり前のものになりつつあります。

しかし、その際に気をつけなければならないのは、前述の通り「当てはまる」人にフォーカスしてはいけないということです。

ペルソナを決めるときは、自分たちがアプローチしたい「」ではなく「気分」にフォーカスする。それが、市場を見誤らないコツだと思うのです。

例えば、VERY妻だってキナリノや北欧暮らしの道具店を見ているだろうし、MERY大好きな大学生もCLASSY.やOggiへ憧れをもつものだと思います。

だからこそ、自分たちのターゲットはここだ!と狭めてしまわず、それぞれのクラスタの中にすでにある、自分たちがイメージしたペルソナを刺激することが重要なのです。

よくネットで「俺の中の○○がこう言っている」という表現を見かけますが、1人1人の中に様々な人格や何かをいいと思うセンサーがあって、そこにアプローチすることこそが、本当のペルソナマーケティングの意味なのだと思います。

つまり、ペルソナを作るとは、相手の中にいるキャラクターを引き出すということである。

そんなことを考えながら、今日も粛々といろんな企画を考えています。

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(Photo by ikepon

ラブグラフの応援も込めて、表紙写真にラブグラファーさんの写真を使用させていただくことになりました!写真使ってもいいよーという方はご連絡ください:)

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