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「シメパフェ」文化に思う、街全体でフルコースを完成させるということ。

一昨年あたりから、札幌で流行っているという「シメパフェ」文化。

読んで字のごとく、飲んだあとの締めとしてパフェを食べる、というのがここ1、2年で急速に広まっているのだそうです。

札幌シメパフェの公式HPを見ると、なんと20軒以上の喫茶店やカフェがそれぞれ趣向を凝らしたパフェを提供しています。

個人的にこのブームが面白いと思ったのは、人の「はしご」を推進しているところ。

最近東京でも赤羽や立石、水天宮前といったエリアが人気を集めはじめていますが、それははしご酒によって街そのものを味わえる楽しさゆえではないかと思います。

以前書いた「集客は点ではなく面で考える」「続・集客は点ではなく面で考える」の中で、集客のためにはエリア自体に人を呼ぶ意識が必要で、そのためには店舗間のゆるいつながりが重要である、ということを書きました。

商店街や横丁がまさにいい例で、一店舗だけでは集客力がなくとも、たくさんのお店が密集していてそこに行けば迷うことなくいろんなお店を楽しめるからこそ、人は足を運ぶのです。

さらにこうした「はしご」文化のいいところは、街全体に活気がでるところです。

例えば福岡は夜飲むのが楽しい街として有名ですが、その秘密は屋台のはしご文化にあると思っています。

福岡で飲むときは1店舗で終わることなどほぼなく、締めのラーメンまでいれて軽く3、4軒は行くのが当たり前。1店舗あたり1時間ほどでさくっと切り上げて、場所を変えて飲み直します。

1つのお店に長居しない分、街を歩く人が多く見えるため、それが街全体の活気を生み出してるのです。

さらに福岡の場合は路上に出ている屋台が豊富なので、必然的に街を行き交う人が多くなります。同じカウンターでもバーほど敷居が高くなく、お客さん同士が仲良くなることもしばしば。こうして福岡の街の活気は作られているのです。

話をシメパフェに戻すと、パフェ自体はそれぞれの飲み屋でも提供されているデザートだと思います。

でも、そこであえて「シメパフェ」というワードによってパフェのためにお店の「はしご」を推進することで、街を歩く人が増えるのです。

人が歩く。交差する。こうして、街の魅力は作られていくのではないかと思います。

街全体を、レストランだと捉える

この考えをさらに進めていくと、街全体を大きなレストランと捉えてはしごしてもらうというのもありかもしれない、とふと思いました。

以前書いた「小売店も、ゆるいつながりの時代へ」の中で谷中の街をホテルに見立てたhanareを紹介しましたが、あえてホテルとしての機能をバラけさせることで、新しい宿泊体験を作り出しています。

対して、レストランで考えてみると、例えば高めの飲食店だとメインのレストランに入る前にバースペースがあってちょっと飲めたり、デザートは専用の別テーブルに案内されることもあります。

ということは、早めの時間から軽い前菜と食前酒を楽しめるバー、メインとなるレストラン、締めのデザートとフルコースを3段階に分けてそれぞれ別の飲食店が提供することも可能なのではないでしょうか。

ここ最近のはしご酒の流行はInstagramとも関係している気がしていて、一度のおでかけで何枚も写真が撮れる、つまり投稿ネタが作れるというのが、今の時代にフィットしているのかもしれません。

もともと女性が好きな「ちょっとを、たくさん」が叶う「はしご」という考え方は、これからのまちづくりにおいてひとつのキーワードになっていくのではないかと思います。

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