見出し画像

私たちはアスリートに何の夢をみるか

人生の半分以上を野球ファンとして生きてきた中で、彼らに見せてもらった『夢』には計り知れないものがある。

それは単に高額年俸とかメジャー挑戦とか何本安打を達成したとかの結果だけではなくて、彼らのストーリーや生き様、哲学もまた、辛い時や苦しい時に自分を励まし支えてくれる『夢』になった。

以前noteにも書いた中島卓也選手のホームランへの道のりは、その最たるものだと思う。

野球選手はよく、ヒーローインタビューで『夢を与えたい』と言う。

それは野球少年たちへの『プロ野球選手への夢』だけではなく、大人になって自分の力で生き抜く私たちへの励ましでもあり、成し遂げようという人にとっての『夢』でもある。

毎回はっきりとゲームセットがあり、勝ち負けが決まり、そして言い逃れようのない自分の成績が数字で示される世界に生きる彼らの姿は、ともすると勝ち負けが曖昧になりがちな世界に生きる私たちに喝を入れる存在でもある。

そんな話を、以前noteにも書いた。

人によってモチベーションの保ち方はそれぞれだろうけど、自分の好きな人や憧れの人ががんばっている背中を見るというのは誰にとっても刺激になるのではないでしょうか。

さらに最近思うのは、スポーツ選手が私たちに与えてくれる感動は、世の中を動かす力もあるのではないかということ。

例えば野球でいえば大谷翔平というスーパースターがいて、彼が世界的にも前例のない『メジャーで二刀流』に挑戦し、その上で結果を残しているということは、私たちに大きな希望を与えている。

これまで、日本人選手にとってメジャーという舞台は『自分の力が通用するか挑戦しにいくところ』だった。

海外に行くのは特別なことで、日本と同じやり方は通用しないから、自分を変化させることでフィットさせていかなければならない。

その意識は、ビジネスの世界でも似たようなところがあるのではないかと思う。

もちろん大谷もメジャーにあわせるために細かいチューニングはしただろうが、『二刀流』という自分らしさは譲らなかった。

彼がメジャーでも二刀流でいきたいと宣言したとき、誰もがそんなことは無理だと言った(実際私もさすがにメジャーでは通用しないだろうと思っていた)。

『日本で成功したからって、海外でも同じようにうまくいくとは限らないよ』

こうした類の『アドバイス』を、彼はどれだけの人から浴びせられたのだろう。

それでも運良く二刀流を認めて尊重してくれる球団に出会い、結果的に多くの人の予想を裏切って、大きな成功をおさめた。(※1)

彼の活躍は、私たち1人1人に『最高の舞台で己を貫くこと』のかっこよさを教えてくれた。

そして、1人1人の心に灯った夢や希望は、世の中を大きく動かしていく。

これから野球だけではなくあらゆる分野で、海外は挑戦する場所ではなく自分自身が主人公になって活躍するための舞台だという希望をもって、海外に進出していく人が増えるかもしれない。

時代を作るヒーローには、そういう役割がある。

ちなみに前述のツイートではセカンドキャリアの話をとりあげたのだけど、この大谷の例と同じように、副業やセカンドキャリアについても、スポーツ選手がロールモデルになる例は多いのではないかと思う。

例えば本田圭佑選手が現役でありながらも会社を経営したり、カンボジアの代表監督をして、それぞれで結果を出していることが副業のロールモデルになっていくかもしれない。

スポーツ選手が引退した後に解説やコーチ以外のまったく新しいキャリアを歩むことで、定年後のキャリア選択が多様化するかもしれない。(※2)

私はたまたま自分の好きな競技が野球だったので、野球選手の生き様や野球という競技の戦略性からたくさんのことを学んできたし、野球界のスーパースターに大きな影響を受けてきたけれど、これはどの分野でもいえることだと思う。

そしてスポーツビジネスの醍醐味は、こうした『世の中を大きく変えるムーブメントを起こす』ことにあるんじゃないだろうか。

スポーツには、夢がある。
その夢とはつまり、感動によって、人を、社会を、世の中の空気を、大きく変える可能性のことなのだ。

※1…昨年10月にトミー・ジョン手術を受けたので来期はしばらく投手としての出場はなさそうだけど、その分「打者・大谷翔平」がフルパワーになるのは楽しみ
※2…個人的に、釣り好きが高じて釣り番組のレギュラーを持ってる城島とか、ラジコン好きすぎてラジコン大会に呼ばれてる昌さんとかは、いいセカンドキャリアのロールモデルだと思ってる

★noteの記事にする前のネタを、Twitterでつぶやいたりしています。

今日のおまけは『Amazonがディスラプトされる未来シナリオを考える』。

ジェフ・ベゾス自身も『いつかアマゾンは潰れる』と発言している通り、今は世界最大級のプラットフォームとして隆盛を誇っているAmazonも、永遠に今の地位と成長を維持し続けられるわけではないと思っています。

ということで、Amazonが凋落するとしたら何にディスラプトされ、どうなっていくのかを考えてみたいと思います。

最近読んだ記事で、

ここから先は

1,830字

¥ 300

サポートからコメントをいただくのがいちばんの励みです。いつもありがとうございます!