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「業界意識」が進化を止める

先週、ストライプインターナショナルの石川康晴さんにご登壇いただいたイベントのレポート記事が5日連続で公開になりました。

【石川康晴】マーケティングの王道を外す、新しい小売のカタチ

さすが石川さんはどの話題に対しても新しい気づきをくださり、記事の内容もたくさんの反響をいただいたのですが、個人的に別の視点から面白さを感じたポイントがあります。

それは、コメント欄で小売業やファッション関連以外の業界の方が、たくさんコメントされていたことです。

もともとアパレルをはじめとする小売業はレガシーな業界なので、割合としては他業界の人の方が積極的にコメントを付けてくださる状況もあるとはいえ、業界を問わず「異分野だが勉強になった」「ここ最近の中で一番面白かった」などのポジティブなコメントが多かったのは意外で驚きました。

それはきっと、石川さんのお話が単にアパレル業界にだけ留まったものではなく、より汎用性のある内容だったからだと思います。

多くの人は、業界歴が長くなればなるほど、無意識のうちに小さな世界の中で評価されることに満足してしまうものです。

そして、そうした『井の中の蛙』状態が業界の進化を止めてしまうのです。

しかし、自分たちの業界だけを見つめていても、過去の延長線上での「カイゼン」しかできず、大きな改革を成し遂げることはできません。

実際、アメリカや中国で今起きている小売業界のディスラプションも、ほとんどが既存企業の延長ではなく、新興企業が成し遂げているものです。

つまり、自分たちの業界だけでもてはやされているのは危険な証拠で、テクノロジーにしろビジネスモデルにしろ、新しいものを取り入れ挑戦することで、他業界からも賛否両論含めた評価を受けることこそが、業界を変革する上で重要なことなのではないかとコメント欄を見ながら改めて感じたのです。

また、私は常々、あらゆる業界の問題は『作る側が業界を好きすぎること』が発端になっていると考えています。

例えば、アパレル業界でも、洋服が好きすぎると洋服を買わない人の本質的な気持ちがわかっておらず、プロダクトの品質を上げることで解決しようとしていまいがちです。

しかし、人が洋服を買わないのは生活スタイルの変化といった根本的なところに原因があります。

私自身、百貨店に入ったとき周りの同期たちが服オタと呼ばれる、プライベートでパリまで洋服を買いに行くような人たちだったのでカルチャーショックを受けたのですが、今となっては逆に洋服を愛しすぎていないところが私の強みでもあると思っています。

なぜならば、消費者心理に共感した上で、「洋服ありき」ではなく「買い手ありき」で仕組みやプロダクトを考えることができるからです。

もちろん、その業界が発展するためには愛情と熱量をもった人も絶対に必要です。何かを生み出すには、個人の圧倒的な熱量やこだわりが必要だからです。

しかし、だからといってその業界のオタク的な知識や他の業界の人には理解できないような実績だけを評価指標として『何もわからんくせに口を出すな』という態度は、ゆるやかに業界を衰退させる原因になります。

そうした態度はある意味、自分の立場を守るための保身とも言えるかもしれません。

以前、とある取材でこんな話を聞きました。

本当に突き抜けた一流の人であればあるほど、相手の立場ではなく言っていることの本質を見て評価するのだと自分自身教訓にすべく心に刻んだエピソードでした。

業界の仲間意識や連帯感は重要ですが、それが外部の人を寄せ付けないような塀になってしまわないこと。

そして、業界内ではなく業界外からも評価されるような知識と実績を身につけること。

大きなことを成すには、業界最適にならないように、より広い視野でものごとを見る目が必要なのだと改めて感じた出来事でした。

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最所あさみ

Retail Futurist / curator。「知性ある消費を作る」をミッションに掲げています。 将来は世界一の店舗メディアを作る予定。noteの有料マガジン「余談的小売文化論」とコミュニティマガジン「消費文化総研」もよろしくどうぞ!

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「現場からは以上です。」マガジン内のnoteが100を超えたので、2ndマガジンを作りました。 「地域の魅力とITの力で小売はもっと面白くなる!」をモットーに働く中で感じたこと、考えたことを書き連ねていきます。 (photo by tomoko morishige)
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