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「書く」ことへのひとつの目標

GARGERY」というとてもおしゃれなビールを教えてもらいました。

なにがおしゃれかって、それはもう、GARGERYのすべて。

すべてがこだわり抜かれていてかっこいい。

まずブランド名の「GARGERY」。
これはディケンズの有名な小説「大いなる遺産」の登場人物の名前からとったのだそうです。

エールビールの代表的産地であり、エールビールをこよなく愛する人々が住む国、イギリス。この国において、シェイクスピアと並び称され、世界中の国々に多くの読者を持つ偉大な作家、チャールズ・ディケンズ。
ジョー・ガージェリー(Joe Gargery)は、そのディケンズの代表作「大いなる遺産」における重要な登場人物である。主人公の孤児ピップを無償の愛で支える善意の人、ガージェリーは読む者に感涙を流させ、その名は今も人々の記憶から消えることはない。
優しさゆえに傷つきやすい心を、自分と向かい合って飲む一杯のビールで癒し、明日への活力としたガージェリー。その名は自らの人生を懸命に生き、ビールをこよなく愛する人々が暮らしていた、イギリスの古き良き時代のロマンを呼び起こす。
そして、自分に妥協しない真面目で一徹な職人(鍛冶屋)だったガージェリー。その名は、今回のプロジェクトにおけるビールへの熱い思い、強いこだわり、真摯な姿勢のシンボルでもある。
GARGERY 公式ブログより

もうこの由来だけでかっこいい。

「大いなる遺産」は読んだことがないのでまったくピンとこないけど、このかっこいいブランドストーリーだけでこれを肴にビールが飲める。

でも飲みたいと思っても簡単に飲めないんですよ、GARGERY。

なぜなら飲食店限定で、且つ卸す先のバーをかなり厳選しているから。

GARGERYが飲めるお店はどこも襟を正して行きたくなるような、大人の香りがするオーセンティックなバーばかり。

家でダラダラと寝転がって片手間に飲むのではなく、着飾って背筋を正して、非日常を感じながら飲むビール。それがまたいい。

そしてGARGERY専用のこんなおしゃれなグラスででてくるのもまた素敵。

(Photo by GARGERY BLOG

このグラス、見た目がおしゃれなだけではありません。

台座とグラスが分かれているので、酔っ払うにつれてグラスを台座にちゃんと納められなくなるという不用意に酔っ払えない仕組み(?)になっていて。

ジョッキで飲む生ビールとは違う、繊細に扱わなければならないビールなんです。おしゃれ。

ちなみにこのグラスに施されている模様はルーン文字と呼ばれる古代文字。

その昔呪術や儀式に使われたとされる神秘的な雰囲気のあるルーン文字で「GARGERY」と書かれているそうです。

もう何から何までおしゃれである。

さらに私の心をグッと掴んだのは、GARGERYの取り扱い店舗に置かれているGARGERYのリーフレット。

いくつかパターンがあるのだけど、どれもGARGERYのあるバーの風景が描かれています。

そして絵を裏返してみると、そこにはGARGERYをテーマにしたオリジナル小説が。

それも角田光代、小山田浩子といった直木賞・芥川賞レベルの作家が書き下ろしているのです。

思わず「え、なんでなんで!?なんでこんなことができるの!?」と詰め寄る私。

1,000文字程度のエッセイレベルの短編とはいえ、こんな超有名作家たちに小説を書き下ろしてもらうなんて信じられない!それもこんな小さなビールメーカーが!
(GARGERYを製造しているのはビアスタイル21という小金井にある小さな会社で、もともとはキリンの社内ベンチャーとして立ち上げ、2007年に独立したのだそう)

でもそのときふと思ったのです。

きっと彼女たちはお金を積まれて「仕事」としてこの物語を書いたのではなく、GARGERYの世界観に魅了されて「書きたく」なったのだろうと。

ビールを飲むという体験をここまで細やかにこだわって仕上げているブランドですから、このリーフレットで書いてもらう作家も相当厳選していることでしょう。

GARGERYを飲むにふさわしい、知的で、それでいてユーモアがわかって、今この瞬間をじっくり味わう楽しみを知る大人。

そんな人が読むにふさわしい文章を書ける作家を厳選して依頼しているはずで、それはつまりGARGERYのリーフレットに小説を載せることがひとつのステータスになるということです。

嗚呼、私も書きたい。
GARGERYにふさわしい文章を書ける大人になりたい。

小説を書いたことはないけれど、もしいつか挑戦するとしたらきっとこれに載ることを意識して書くだろう。

「書く」ということに対して明確な目標をもったことはなかったけれど、GARGERYに似合う文章を書ける大人になるというのはいい目標な気がしています。

そしていつまでもGARGERYを扱っているオーセンティックなバーに連れて行きたいと思われる、そんな女性でありたいなと改めて思うのでした。

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