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「競合他社」はなぜ必要か

ビジネスを考えるとき、避けては通れないのが競合の存在です。

「ベンチマークしているサービスは?」
「このサービスは既存の何をリプレイスするの?」

こうした質問は、ビジネスの初期段階から聞かれることでもあります。

個人的にはこの「何を競合だと思うか」にその人のセンスがでると思っていて、例えば柳井さんの「ユニクロはいずれ、グーグルと競合する」という発言はさすがだなと感じます。

参考:ユニクロ柳井氏「いずれ、グーグルと競合する」 情報化社会におけるアパレルの将来像 

突き詰めて考えれば、タイムシェアとマネーシェアを奪い合うという意味ではあらゆる商品・サービスが競合対象になります。

その中で、ある見方をすればここが競合になるし、この切り口でみればあそこが競合だなと、柔軟に自分たちの立ち位置を自覚していくことが必要だと思います。

さらに、既存の企業だけではなく、自分たちのサービスをヒントにした後発サービスがでてくる可能性もあります。

資金力のある大企業にビジネスモデルを丸パクリされたら?勢いのあるメガベンチャーが参入してきたら?そうした心配は永久に尽きることはありません。

では競合がいないのがベストな状況かというと、必ずしもそうではないと思います。

なぜならば、人は自分のことは見えないからです。

例えば、ある街にカフェがひとつしかなかったら、カフェのオーナーは自分のカフェしか体験できません。

「提供する側」の視点からしか、カフェという業態を見られないということです。

しかし、そこに別のカフェができて、実際に行ってみたとします。

そこではじめて「受け手側」の視点に立つことができ、客席にこういうものがあったら便利だなとか、これ以上待たされると不満をもつんだなといった発見ができるのです。

「人の振り見て我が振り直せ」と言いますが、自分の振る舞いを本当に客観的に見るためには、競合の存在はなくてはならないものなのです。

とはいえ、やはり人から真似されるのは怖いものですし、特に資本力もネームバリューもあって、優秀な人材を抱えている企業が市場に参入してきたら、ひとたまりもないと思います。

ただそこで気をつけなければならないのは、「WHAT」ではなく「WHY」を見ることです。

つい先日、「メルカリ カウル」のリリースに際して「ブクマ」創業者の鶴田さんが書かれたブログが象徴的だなと思ったのですが、今やっていることが同じでも、ビジョンやコンセプトが違えば徐々にプロダクトの方向も変わっていきます。

参考:ブクマと、メルカリ カウルの考察

「メルカリ カウル」と「ブクマ」はどちらも書籍のフリマアプリというアウトプットこそ同じですが、ご本人もツイートされているようにそもそもの設計思想が異なります。

点で見れば同じプロダクトでも、5年、10年のスパンで見れば、それぞれの見ている世界はまったく違うもの。

この場合は無闇に競合を意識せず、お互いに淡々と自分たちのユーザーに向けてよいプロダクトを提供することに意識を向ければよいのだと思います。

また、鶴田さんのエントリを見て改めて感じたのは、強く信じられるWHYがあれば、WHATが同じ競合がでてきても動じずにいられるということ。

ビジネスモデル自体は著作権なんてないので、やろうと思えば誰でも真似することができます。

しかし、それで一瞬うまくいったとしても、成功しつづけるための次の一手はWHYからしか生まれません。

自分たちには、解決すべき大きなWHYがあるという自信こそが、真似される恐怖に打ち克つための唯一の武器なのだろうと思います。

真正面から戦うのではなく、うまく利用しあうこと。

それが正しい競合との付き合い方なのだろうと思います。

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(Photo by tomoko morishige)

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