「とりあえずやる」が許されない場面とは

このnoteでもしょっちゅう引用しているのですが、私は『小さなチーム、大きな仕事』にでてくる

失敗を過大評価しない

というワードがとても好きです。

「成功は次の手段を教えてくれる。成功すれば何が成功したのかわかり、それをもう一度できる。そして次はもっとうまくやれるだろう」
「一度失敗している人は、何もしなかった人と同じくらいにしか成功をおさめていない。成功だけが本当に価値ある体験なのだ」

日本以上に『失敗は成功の母だ!』という意識が強いシリコンバレーからこの言葉を放てるのはすごいなあと思いつつ、だからこそ著者の2人にとって特に強調したかったことなのかもしれません。

しかし、一方で私は(おそらく彼らも)『やってみなければわからない』という考え方を否定しているわけではなく、むしろやったことにしか価値はないと思っています。

ただ、そのやり方自体を深く考えず、自分自身もまわりも納得していない中で闇雲に走ってしまうと、遠回りどころか逆走してしまうこともあるのではないかと思うのです。

それを端的に表しているのが、ダルビッシュ選手のこの言葉だと思います。

最高のパフォーマンスを出すには、まず最適なやり方を調べ尽くして、そのやり方に確信を持たなければならない。

その上で圧倒的な量をそこに注ぎ込むことで結果を出す。

もちろん、そもそもの課題設定が間違っていたり、調べる範囲が狭くてうまくいかないこともたくさんあると思います。

ただ、考えずにまずやってみるよりも、このやり方で成功できるはずだという確信をもって120%の力であたってみなければ、それが戦略の誤りなのか努力が足りていないのかの原因があやふやになってしまいます。

『失敗してもいいから』という言葉も、終わった後にかけるならまだしも、例えばこれからオリンピックの決勝戦でスタートラインに立った選手にそんな言葉をかけることはないはず。

伝えるべきは『やるからにはベストを尽くせ』ということ、そして結果的に失敗したとしても『それによってあなたの価値が落ちるわけではない』と伝えるという順番なのではないかと思うのです。

やるからには、ひとつひとつの仕事に自分の全精力を出し切る。

でもそうするとたくさんはできないから、必然的にやるべきことは絞る必要がある。

だからこそやるべきことを絞り、何かにフォーカスするために『考える』というフェーズが重要なのだと思います。

とはいえ、大抵のことは『まずやってみる』が大事なことのほうが多いものです。

ただ、唯一その態度が許されない分野が、ブランドイメージの醸成なのではないかと私は思っています。

恋愛と同じで、はじめて接した時の印象がよくなかったらそのあとイメージを覆すのは難しいものだからです。

ブランドのスタイルやイメージだけは、とりあえず低いクオリティで出してあとから徐々にあげていくというやり方は通用せず、はじめから徹底的にこだわり、『なんか素敵』というイメージがあってはじめて『しかも便利』『しかもコスパいい』などの『買う言い訳』につながっていくのだと思います。

もちろん、スピード感があることや失敗を内包して一緒に育っていくブランディングの場合はひたすら生っぽい『今』を共有することが重要なのですが、非日常の憧れやワンランク上の体験を提供する『ブランド』に関しては、『とりあえず』という意識で取り組むと後から挽回するのにものすごいコストがかかるものです。

私はそれを特に感じたのがユニクロのこれまでのブランディング戦略で、はじめにダサいイメージがついてしまっていた分、日常着として着て恥ずかしくないイメージにもっていくまでに多大な時間とお金を要しています。

一方で『アメリカのユニクロ』とも言われるEverlaneははじめから打ち出し方がスタイリッシュで、ローンチ当時から感度の高い人たちに支持され、かっこいいイメージのまま大衆に広がっていったように感じます。

つまり、自分たちがどの路線を目指しているのか、目指すべきなのかによって、GOの決断を下すハードルを調整したほうがいいのかなと。

失敗しても大丈夫だから、というメッセージはとても大切なものだとも思いつつ、だからといってその前に『考えなくていい』ということではなく、考え抜いた上で全力でやってみて、それでダメだったのであればその結果自体はあなたの価値を落とすものではない、という考え方こそが、短期間で結果を出すために重要なことなのではないでしょうか。

一方で、どんなに初動が早くてあれこれやってみるタイプの人でも、単に60点の失敗を積み上げただけでは『単に失敗事例をたくさん知っている』だけの人になってしまいます。

そして失敗事例は無数にあり、人が知りたい、価値のある情報は『成功するための方法』でしかありません。

だからこそまずは本当にそれに意味があるのかを徹底的に考えること、そしてやると決めたら全力でやりきることが、単なる失敗で終わるのか、意味ある失敗に昇華できるのかの分水嶺になるのではないかと思います。

とりあえずやってみようではなく、考え抜いた上でこれ以上はやってみないとわからないという段階まできたタイミングで、選択肢と指標を設定して計画的に『やってみる』こと。

一見遠回りに見えて、この準備をきちんと整えることこそが、本当の意味で成功か失敗かに関わらず、自分と事業を成功させるのではないかと思っています。

★noteの記事にする前のネタを、Twitterでつぶやいたりしています。

今日のおまけは、無料部分に関連して、かっこいいとかかっこ悪いとかについて最近私が思っていることをば。

この続きをみるには

この続き:1,314文字
記事を購入する

「とりあえずやる」が許されない場面とは

最所あさみ

300円

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

いただいたサポートは、今後のnoteに生かすための経験や他のクリエイターさんたちへのサポートに回していきます!note内で優しい循環を回していきたい。

ありがとうございます。おかげさまで明日もnote更新がんばれます!
276

最所あさみ

消費文化総研

「消費によって文化を創造し受け継いでゆくこと」を考えるコミュニティマガジンです。 有料マガジンの内容に加え、購読者限定Slackで議論を深めることができます。 【コミュニティマガジンでできること】 ①Slack限定コンテンツの閲覧 →Twitterやnoteに書いていない...
7つのマガジンに含まれています
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。