私たちがこれから、中国に勝てなくなっていく理由

ああ、中国はもう私たちが追いつけないところまで行ってしまった

今年の「独身の日」関連のニュースを読めば読むほど、この思いが私の中で明確になりました。

グローバルで見たとき、10年後に小売業界の覇権を握っているのは中国、特にアリババだと思います。

「独身の日」についての細かい考察は今週のリテールトピックで解説していますが、私が一番衝撃を受けたのは、超革新的な施策が中国では消費者に当たり前のように受け入れられているという点です。

アリババが2009年にはじめた「独身の日」キャンペーンは、端的にいえばAmazon PrimeDayや楽天お買い物マラソンと同じECのセールイベントです。

しかし、Amazonにも楽天にもできないことをやっている。

それが独身の日に向けたファッションショーであり、See now, Buy nowと呼ばれる「見て、その場で買える」施策です。

もし似たようなことをやったとしても、日本では新しい取り組みとして話題になることはあっても、実際の売上への貢献は限定的だと思います。
アメリカでやった場合も、日本よりは売れるでしょうが、中国に比べたらまだ「実験」の域を出ないはず。

なぜならば、消費者のリテラシーレベルが圧倒的に違うからです。

例えば、よく話題になるのが中国の急速なキャッシュレス化。
中国人が日本に来るとその不便さに驚くと言われるくらい、ここ数年で急速にキャッシュレス化が進んでいます。

もちろん現地企業のがんばりあるでしょうが、スマホの普及と同じくもとのインフラが整っていないからこそ、何段もステップを飛ばして一番最先端なものが「当たり前」として定着していくのだと思います。

こうした習慣が変化するには企業のがんばりだけでは不十分で、消費者側のリテラシーがアップグレードされなければ、いつまでたっても環境は変わっていきません。

なぜならば、企業は「消費者が望むもの」をつくるという大原則があるからです。

どんなに素晴らしいものを作っても、買ってもらえなければそのうちキャッシュが尽きて事業が存続できなくなる日がきます。

企業と消費者は常ににわとり卵の関係で、企業がつくるものはある意味私たち消費者の映し鏡のようなものなのです。

だからこそ、消費者のリテラシーが企業の進化を規定する。

そしてグローバル化が進み、あっというまに世界中の情報や技術が手に入れられるようになった今、旧体制を壊すところからはじめなければならない国よりも、まっさらで何もない国の方がスピーディーに消費者側のリテラシーを上げることができます。

「変える」より「創る」方が圧倒的に楽だからです。

私はここに先進国のジレンマがあると思っていて、日本が「キャッシュレスにするべきかどうか」と延々議論している間に、中国は軽々とキャッシュレス社会の筆頭格に躍り出ました。

無人コンビニもライブコマースの台頭もすべて中国発なのも、偶然ではありません。

中国の消費者は、圧倒的に未来に生きていると私は思います。

こうした変化を見るときは不可逆的な流れか局所的なブーム化を見分ける必要がありますが、私は中国の小売の流れはこれからのグローバルスタンダードになり得る不可逆的な変化だと感じています。

なぜならば、すべてが圧倒的に便利だから。

「便利」は「不可逆」とニアリーイコールで、一度便利な世界を体験した人は二度と不便な環境には戻れません。

大きな潮流としては絶対に便利な方向によっていくはずで、ただしそのエリアによって旧体制との摩擦度が異なるので、バラバラな変化をしているように見えるのです。

そして旧体制も必ず倒れる日がきます。
旧体制側の人が現役からしりぞいて影響力をなくし、あるティッピングポイントを迎えると大きなパラダイムシフトが起きる。

しかし、旧体制が抵抗し続けているうちに、摩擦などないまっさらな新興国にあっというまに新しい習慣が根付き、気づいたときには手遅れになっている、というのがこれからいろんな分野で起きることだと思います。

中国をはじめ、今新興国で起きているトレンドを自国にも取り入れることは簡単です。

しかし、悲しいかな文化はいつも技術のあとについてくるもの。

新しい文化がマジョリティにまで広がって文化として根付いた頃には、もう諸外国はさらに先をいってしまって、その差はなかなか縮まらないという現象がこれからさらに顕著になっていくはずです。

とはいえ、こうした変化を悲観してばかりいても仕方ないので、じゃあ日本に暮らす私たちがどう戦っていくべきかというと、海外の進化スピードに日本の消費者が追いつけない前提をもっておくことが重要だと思います。

具体的な打ち手としては
①はじめから海外で戦う
②あえてアナログを演出する

のどちらかしかないのかなと。

「はじめから海外を見ろ」というのはよく言われる話ですが、これは売上のパイという次元の話ではなく、消費者のリテラシーがトップレベルの場所にいなければ、プロダクトのレベルが永遠に上がらないという理由の方が大きいのではないかと思います。

例えるなら、島にひとつしかないスーパーが、激烈な競争にさらされている都心のスーパーのような発展をすることはありません。

もちろんどちらがいいかは価値観の問題ですが、少なくとも「便利な方に進化する」という意味では、様々な選択肢を知って高い審美眼をもつ消費者を相手にする都心のスーパーの方が圧倒的に有利なのです。

また、②のアナログ戦法は亜流ですが、写ルンですやカセットが今になって「レトロかわいい」とブームになっているように、アナログであることをむしろノスタルジーとして売り出すという考え方です。

極端な話、たとえば日光江戸村で現金しか使えなかったとしても、観光地だからこそ「逆に楽しい」と思ってもらえるものではないでしょうか。

昔の行動様式をそのまま体験できることを売りにする、逆転の発想です。

そこまでアナログに振り切るのは極端な例ではありますが、グローバルでナンバーワンをとるのではなく、ローカルでオンリーワンになる方向の戦略も、これから成長より幸福度を重視する価値観が広がるにつれ、より広がっていくのではないかと思います。

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どんな戦略をとるにしても、外の世界はめまぐるしいスピードで変わっていて、先進国という私たちの立場は盤石ではないということは常に頭にいれておくべきことです。

ちなみに、これからのグローバル化への適応については、山口揚平さんの下記のツイートに私自身かなりハッとさせられました。

私も、2020年を境に一気にグローバル化が避けられなくなり、働き方に大きな変化が起きると思っています。

急にグローバルにでていくとか、インバウンド向けの施策を打つといった表面的なことではなく、世界がどのように動いているのか、その流れを見極めるセンスを磨くこと。

数年のうちに確実に起きる変化に備えて、視座をもう一段階引き上げて考えることが重要なのではないかと思うここ最近です。

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(Photo by ikepon

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最所あさみ

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コメント1件

今の中国には希望を感じますね。
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