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ファッションの役割のひとつは、自己肯定感を育むこと

今さらですが、最近『Queer Eye』にめちゃくちゃはまっています。

(↓このお茶を持ってるアント二が特に大好き!)

Queer Eyeは簡単に言うと、昔ワイドショーでよくやっていた『お父さん大変身!』とか『ママを大改造!』的なものと、劇的ビフォーアフターをぎゅっと詰め込んでポップにしたような内容。

昔から人が変身するコンテンツが好きだった私としては、ファッションや美容だけではなくインテリアや料理にいたるまでアメリカらしいスケールの大きさで大改造されるのが面白くて、暇さえあればにやにやしながら見ています。

そしてこの番組が面白いのは、たった1週間くらいの収録のはずなのに、表面的な見た目だけではなく中身も表情もどんどん変化していくところ。

指導役のファブ5が全員キュートでありつつもプロフェッショナルで、時には厳しいことも言いつつ、改造される人(ターゲット)の人格を否定せず成長を信じて真摯に接していることが大きいのだろうと思います。

『綺麗な顔立ちなんだからヒゲで隠しちゃうのはもったいないわ!』
『ファッションセンスはいいんだから、着こなせる体型になれば完璧!』
という風に、その人のよさを褒めつつさらによくなる方法を示す。

これぞプロの技だなと感じさせられます。

ターゲットは当初全員自信なさげであらゆることに言い訳をしているのですが、見た目や居住空間がアップデートされていく中でどんどん『それが似合う人』になっていきます。

『かたちから入る』という言葉はあまりいい意味で使われませんが、人はかたちにあわせて自分を変えることができるもの。

Queer Eyeを見ていると、たとえ一時的にせよ理想の自分を見せてもらうことがいかに人に自信を与え、自己肯定感を高めるかということを考えさせられます。

そして、モノを通して人に自信を与えることは、ファッションの役割のひとつなのではないか、ということも。

ちなみにここでいう『ファッション』は洋服にとどまらず、もっと広い意味を含んでいます。(詳しくは下記の記事に書いています)

先週『これでいい』という消費について書いたのですが、そうした消極的な理由で選んだものは、人に自信や自己肯定感を与えることはほとんどありません。

『これがいい』と確信を持って選ぶこと、それはつまり自分の好き嫌いという美意識に照らし合わせて判断するということです。

自分らしさとは何かを定義し、それを一番感じられる心地いいものを選ぶ。

その繰り返しが、自己肯定感を育むのではないかと私は思うのです。

もちろんすべての判断に気合いを入れていたら1日が終わってしまうので普段は『これでいいや』という選び方でもいいけれど、着るものも食べるものも過ごす場所もすべてそうした妥協をベースにした選択になってしまうと、人は自分のことを大切にできなくなっていきます。

『これでいいや』という判断の積み重ねが、その人の行動すべてに『このくらいでいいや』という諦めを生んでしまうからです。

かくいう私もつい日常の忙しさに流されて適当な判断をしてしまいがちなのですが、自分を大切にするということは、本当に自分のお気に入りのものに囲まれた時間を作ること、そしてそれだけの価値が自分にはあるのだと感じることだと私は思います。

Queer Eyeのような劇的な変化を起こすのは難しくても、自分らしいお気に入りのものをひとつずつ身の回りに揃えていくことで、人は少しずつ変わっていく。

ラグジュアリーなものを作るということは、そうやって人に自信を与えるだけの『これがいい!』というこだわりと愛情のつまったものを作るということなのだろうと思います。

(表紙写真:The GUARDIAN

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