甲子園しか知らなかった、あの頃の私へ。

私の野球観戦キャリアは中学生から始まる。
たまたま読んでいたSeventeenで特集されていた高校球児の中にすごくイケメンな選手がいて、そのイケメン選手をテレビで見られる!というミーハー心で見始めた甲子園。
ルールもよくわからないままに好きなアイドルがでている番組を見るような気持ちでしばらく見ていたけれど、歌番組やドラマと違ってそこには勝ち負けがあって、汗があって、涙があって。
部活少女の中学生が甲子園というコンテンツに引き込まれていくのに時間はかかりませんでした。

それまでは好きな番組が延長で潰される憎い存在だったのに、甲子園のシーズンは帰ってすぐにテレビをつけて夕方の最終試合をすべり込みで見て、夜10時過ぎに練習から帰ってきたらそのまま熱闘甲子園を見てびーびー泣く生活をしていたあの頃。

やはり今でも熱闘甲子園を見ると変わらず胸が熱くなります。

プロ野球は感動が足りない!

そこから高校3年生まで甲子園ラバーとしてすくすく大きくなり、ルールも中継を見ながら独学で習得。
当時はまだTwitterやFacebookといったSNSこそなかったものの、前略プロフや携帯小説が流行った時代で、携帯で作れるホームページも多く見も知らない甲子園ファンたちと画像を交換したりグッズを代わりに買ってきてもらったりといった交流もありました。

そして甲子園好きと言うと必ず聞かれる
「プロ野球は見ないの?」
という質問には毎回
「プロ野球はリーグ制やし感動が足りん!」
と取りつく島もないほど全くプロ野球に興味はありませんでした。
あのトーナメントならではの1回勝負というヒリヒリ感こそが野球の醍醐味だと。

たまに父親が見ているプロ野球中継を横目で見ては一生懸命さが足りない、ダラダラしていて面白くない、とさえ思っていたほどです。

あの頃の私よ、プロ野球も悪くないぞ。


そんな高校野球一辺倒だった私がプロ野球に目覚めたのは2012年の日本シリーズ。

昔からなんとなくシーズンの流れは知っていましたが、日本シリーズがこんなにハラハラする面白いものだったなんて!と突然プロ野球に開眼しました。

2012の日本シリーズはホークスと中日が一進一退の攻防を続けていて、鷹ファンならあまり思い出したくもないクローザー・馬原の炎上で逆転を許したりと手に汗握る展開だったのを昨日のことのように覚えています。

その時日本シリーズのすべての試合を中継で見てはそのとき全盛だったTwitterでギャーギャー言いながら応援して一気にプロ野球にハマりました。

昔ダラダラして見えたプロの守備は事前に打球の落下地点がわかっているからなのだということ、一発勝負ではなく長期戦だからこその戦略のおもしろさがあるということ、その他諸々の"プロ野球のおもしろさ"をスポンジのようにあっというまに吸収していきました。

高校野球も各学校の特色や毎年入れ替わる戦力の把握など知れば知るほど深みにはまりますが、プロ野球はその比ではないほど覚えることが多岐に渡ります。

先発ローテってなに?貯金・借金・マジックってなに?なんで先発と中継ぎと抑えで分かれてるの?FAって?トレードって?
覚えても覚えても次から次にわからないことが湧いてきて飽きることがありません。

昔は甲子園の「一発勝負」感がたまらなく好きだったけど、9~10ヶ月という長期間戦い続けるための全体の戦略と戦力の配分、怪我による離脱といった不足の事態への対応などなどプロ野球の「長期戦だからこその面白さ」の方が面白く感じています。

もちろんどのチームも毎年優勝を目指しているにせよ戦力的にどうしても育成や世代交代の年にしなければいけないこともあります。

土台を作り、種をまき、水や肥料をあげて、花を咲かせる。
各チームが今どのフェーズにいるのかな?今年はどんな戦略でくるのかな?
そういう先の未来を見据えたチームづくりがプロ野球の醍醐味なのかな、なんて思ったりします。

きっとそう思えるようになったのも、チームづくりや一から何かを育てるということを社会人になって経験したことが大きい気がします。

限られた戦力を一年間どう配分して戦うか。
チームのモチベーションをどう保っていくか。
今年だけではなく3年後も10年後も強いチームを目指すために今やらなければいけないことはなんなのか。

自分が普段仕事で考えることだからこそ、他の人の判断を傍から見ていて興味深く、味わい深い。
高校生のときにはわからなかった「野球」というスポーツの奥深さが、球場で飲むビールとともにじわりじわりと染み込んでくるのを感じます。

あの頃に戻ってもやっぱりプロ野球は見ないと思うけれど、プロ野球も悪くないぞ、きっと将来あなたも好きになる、とあの頃の私に伝えてあげたいなと思う今日この頃。

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