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『どれだけ届くか』ではなく『誰に届くか』の時代へ

メディアといえば、これまで『何万PVあるか』という指標で語られることがほとんどでした。

そこからインスタグラマーの台頭もあいまって『何万フォロワーいるか』に移り、さらにエンゲージメント的な視点で『何百いいねされているか』『フォロワー対比のいいね数がどれだけあるか』という指標に徐々に移ってきたのが今の状況だと思います。

そしてここからはそうした数字に現れる指標だけではなく、『誰に届くか』が重視されるようになるのではないか、というのがここ最近私が考えていることです。

そう考えるようになったのは、昨年の半ばあたりから自分が書いたものが予想以上に読まれたり、少しずつフォロワーが増える中で、『バズらない技術』がこれから必要とされていくのではないか、と感じたことが根底にあります。

というのも、情報はたくさんの人に届けば届くほどいいわけではなく、ある閾値を超えると害悪にすらなると身をもって体感したからです。

文脈を共有してない人からの意見への反論は精神が磨耗しますし、瞬間的に増えるお仕事のご依頼も普段からnoteを読んで深く理解していただいている方でない場合なかなか価値観が合わずお断りするケースも多々あります。

私ですらこのような体験をしているので、これが一般的な店舗やブランドなどの在庫が関わるビジネスだったら、急なバズは諸刃の剣にもなりえるのではないかと思うのです。

特に、自分たちの哲学をもっている店舗やブランドであればあるほど、その思想を理解せずに『テレビで見たから』という理由だけで殺到されることをよしとはしないのではないでしょうか。

お金に色はない、と昔から言いますが、私はどんなお客様からいただいたお金かという点は、無意識のうちに作り手の精神に作用すると思っています。

ただ『儲かればいい』ではなく、『大切にしてくれる人に渡したい』という気持ち。

これからは、媒介者として伝える力をもつ人の責務として、取り上げる相手がどんな哲学や思想をもって作っているのかを理解した上で、適切な場所に適切な量だけ届くようにコントロールすることが、さらに必要とされているのではないかと思うのです。

例えば、ある観光地を紹介したとして、従来の指標だけで見るならば1人で10万支払える人も、数千円しか払いたくない人も同じ『1PV』にしかなりません。

しかし、その媒体がラグジュアリー系であれば前者へアプローチできる可能性が高まりますし、逆にバックパッカーや学生にアプローチしたいなら後者の層を意識した媒体を探す必要があるでしょう。

数十万PVとれたけれど本来のターゲットとは違う層にアプローチしてしまうよりも、数千PVでもいいからドンピシャのメディアや個人にアプローチすること。

そのセンスこそが、これからのメディアと広告主の関係において重要なことなのではないかと思います。

自分が作り出したものや思想、哲学、価値観を、まず誰に届けたいのか。

その一歩目さえ間違えなければ、自然にじわじわと広まっていく幸福な時代に私たちは生きているのだということも、ここ最近改めて感じることでもあります。

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