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サブスクリプションの限界と展望

昨年、モノのサブスクリプションモデルについて下記のようなnoteを書いた。

基本的な考え方は大きくは変わっていないのだけど、サブスクリプションのスケールを阻むものについて、以前より明確に言語化できるようになってきた。

それが下記の3つだ。

①商品受け取りの不便さ
②最適な商品量の予測不可能性

③同一商品への飽き

この3つのポイントに加えて、過去のnoteで書いた『モノのサブスクリプションは契約を思い出させてしまう』というトリガーが引かれた時、解約の可能性が一気に上がるのではないかと考えている。

まず①だが、国交相の調査によれば宅配便再配達率は全国平均15%前後で推移している。

つまり、10回に1回以上は直接受け取れず、再配達になってしまっているということだ。
さらにこれは全年代の総計であり、サブスクリプションサービスを活用するような若者世代は一人暮らしのことも多いためより再配達率は高いことが考えられる。

コンビニ受け取りやPUDOステーションなどの活用もはじまったとはいえ、毎回受け取りのコストがかかることに変わりはない。

この面倒くささが商品の届く楽しみを上回ったとき、人の心は解約へと向かう。

つまりいかに受け取りコストを減らし、顧客を煩わせないかという点が、解約率を下げる大きなポイントになるはずだ。

そのためにはポスト投函可能なサイズに商品を限定し、再配達やコンビニ受け取りの手間を減らすしかない。

必然的に商品のカテゴリが狭まってしまうことになるが、それより大きなものは、結局小売店に在庫を置いて好きなときに顧客が買える従来の仕組みの方が双方にとって効率的である可能性が高い。

また、これは②の最適な商品量の予測不可能性にも関連するが、もしポスト投函できるサイズに圧縮するとしたら、配送頻度は毎月ではなく隔週もしくは毎週にした方が、配送頻度のコントロールがしやすいのではないかと考えている。

頻度が増える分配送コストが増え、結果として割高になるとはいえ、『毎月』という頻度は習慣化するには長すぎるタームであり、1ヵ月分の商品は顧客の収納をかなり圧迫する。

小分けにして頻度を上げる方が結果的に顧客満足度が上がるのではないか、という仮説を私は持っている。

これは一見はじめに書いた『契約を思い出させてしまう』というポイントと相反するように見えるが、タッチポイントを増やすことは逆に単純接触の法則を発動させることにもつながる。

最適解は商材やブランド、顧客によっても異なるが、一ヶ月分が月末にまとめて届くよりも一週間分が毎週月曜日に届く方が顧客が商品を消費する習慣をつけやすいはずだ。

サブスクリプションは結局顧客の習慣化が肝になるので、習慣化しやすい配送頻度を考えることが要諦だと私は思っている。

とはいえ、小分けにしたとしても配送頻度や商品量の最適解は人によって異なることに変わりはない。

特に消耗品は人によって必要な分量が異なり、それより多く配送し続けると解約の誘因になるし、逆に少なくても不満につながってしまう。

ただ、配送頻度を細かく設定することで次の週の予定や現状の減り具合を鑑みてスキップを選択する自由度が高まるし、場合によってはスタンダードとライトのように2つのプランを用意することで顧客自身に選んでもらうのもひとつの手だろう。

日本は海外に比べても住宅が狭いため、常備している商品数が増えすぎないように一度に送る商品量を絞ったほうが継続率が上がるのではないか、というのが最近考えている仮説のひとつだ。

そして最後の③同一商品への飽きだが、①で書いた通り商品の満足度が常に面倒くささやコストに見合わなければすぐ解約の俎上に乗せられてしまうのがモノのサブスクリプションの難点だと言える。

この場合の商品の満足度とは、単に商品のクオリティだけではない。

人は必ず飽きるし、新しいものほどよいものだと感じる傾向がある。

特に情報に溢れた現代において、ひとつのものをずっと使い続けてもらうための労力は、過去に比べて何倍にもなっているはずだ。

実際に自分の生活を思い返してみて、1年以上買い続けているものや通い続けているお店がどれだけあるだろうか?

たとえ商品への絶対評価が高くとも、相対評価で見たとき常に『新しい』という下駄を履いている新商品や新ブランドの方に人は流れていってしまうのだ。

つまりワンプロダクトで勝負し続けると、通常のブランドで顧客がスイッチングするのと同じようにすぐに解約されてしまうため、いかに新しいものを提案し、わくわくしてもらい、期待がコストを上回り続けるかの勝負になってくるということだ。

以前のnoteにも買いた通り、サブスクは必ずしも安定した儲かるビジネスモデルなわけではない。むしろ常に解約率と戦い続けなければならない茨の道であるとも言える。

とはいえ私自身サブスクリプションサービスを運営した経験があるわけではないので、上記で挙げた点をクリアして伸びているサービスもあるかもしれないし、私が見えていない問題点もあると思う。

可能性としては面白い分野だけに、一過性のブームではなくこうした問題点や難点も含めて客観的に精査しながら、業界全体が発展していってほしいと個人的には思っている。

(ちなみに実際にサブスクビジネスをやっている方で、『それはちゃうやろ』とか『これは実際こうやで』と感じられた箇所があればぜひお話聞いてみたいのでDMください!)

★noteの記事にする前のネタを、Twitterでつぶやいたりしています。

今日はおまけ的に、今日書いたことをふまえてもし私がサブスクビジネスやるとしたらこの商材を選ぶ、という話を書いてみます。

無料部分に書いたことを裏返すと、

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最所あさみ

Retail Futurist / curator。「知性ある消費を作る」をミッションに掲げています。 将来は世界一の店舗メディアを作る予定。noteの有料マガジン「余談的小売文化論」とコミュニティマガジン「消費文化総研」もよろしくどうぞ!

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