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世界中から美しいランジェリーを集めて、女の子の憧れのクローゼットを作る・Tiger Lily Tokyo #ブランドインタビューリレー

#ブランドインタビューリレーは 、「新しい作り方・届け方」を模索するブランドにインタビューし、これからの小売のあり方を考察していくシリーズです。

第六弾となる今回は、Tiger Lily Tokyoを運営する九冨 里絵さんにお話を伺いました。

1.ランジェリーのセレクトショップは空白地帯!今、「Tiger Lily Tokyo」を立ち上げた理由
2.お客様の半分以上がSNS経由!ミレニアル世代の「届け方」
3.店舗が増えて面積が2倍になっても、売上は2倍にならない理由。
4.ランジェリーは精神的なアイテムだから、美容院と同じ気分で足を運べる場所へ

1.ランジェリーのセレクトショップは空白地帯!今、「Tiger Lily Tokyo」を立ち上げた理由

▲Tiger Lily Tokyo店内には、繊細なランジェリーが所狭しと並ぶ。

Tiger Lily Tokyoは、2017年3月代官山にオープンしたランジェリーのセレクトショップ。

階段を登って扉を開けると、フランスやアメリカ、イタリアから輸入した繊細なランジェリーが一面に並ぶ夢のような空間が広がっています。

ファッション業界が不振にあえぐ中、なぜ今セレクトショップをオープンしたのか。新世代の起業女子の視点を探ってきました。

最所:さすが素敵なランジェリーでいっぱいですね…!でも、お恥ずかしながら知らないブランドばかりで驚きました。
もともとランジェリーのお仕事をされていたのですか?

九冨さん:いえ、起業前はバッグやお財布などの服飾雑貨のデザイナーをしていたんです。
もともとファッションが好きで、学生時代から買い物のために定期的に海外へ行ったり、自分で洋服を作ったりしていて、いつか自分でアパレルの会社をやりたいと思って、その勉強として新卒から起業直前まで勤めていました。

最所:はじめから目標が明確だったのですね!

九冨さん:そうですね。就活の時も、インポート・メーカー・卸すべてを自社内でやっていて、規模が大きすぎなくて…と自分が学びたいことを中心に条件を考えたら、当てはまるのが数社しかなくて。(笑)
無事にそのうちのひとつに内定をいただき、本当にいい勉強をさせていただくことができました。

最所:でも、普通は自分が携わってきた商品分野で起業する人が多いですよね。仕組み自体は同じとはいえ、異業種のランジェリーだとはじめは取引先探しだけでも苦労されたのでは?

九冨さん:それが、昔からランジェリーが好きで個人輸入したりしていたので、ブランド側に覚えられていたんです…!
「ショップを立ち上げるので、取り扱いさせてほしいんだけど」と問い合わせしたら「ああ、あの日本人か!」と話が早くて。(笑)

最所:えぇっ!?どれだけ買ってたらそんなことになるんですか!(笑)

九冨さん:ランジェリーには通算どのくらいかけたかわからないです…!(笑)

最所:逆に、それだけランジェリーが好きだからこそ、昔からランジェリーのショップを立ち上げたい!と思われていたんですか?

九冨さん:もちろん「好きだから」という理由もありますが、海外のショップを巡る中で「日本には海外のデザイナーズランジェリーを扱うセレクトショップがない」と気づいたことも大きかったですね。

最所:たしかに、言われてみればランジェリーのセレクトショップって思いつかないです…!

九冨さん:そうなんです。日本は市場に占める国産メーカー直営ショップの割合が大きいんですよ。
海外だと、洋服のセレクトショップと同じように、かわいいランジェリーだけを集めたセレクトショップがいくつもあるんです。

最所:知らなかった!日本だと、そもそも海外ブランドのランジェリーに出会う場がないんですね。

九冨さん:百貨店で一部取り扱いがあるくらいですね。昔は私も現地で買い物したり、個人輸入をしたりしていました。
でも、実はTiger Lily Tokyoのセレクトってグローバルで見たら全然ニッチじゃないんですよ。むしろミーハーなくらい。(笑)
なので、昔の私のようにこれまで個人輸入していたランジェリー好きの方が、「ここで買えるんだ!」と感動してくださることも多くて。

最所:なるほど、実はそこに需要が眠っていたんですね。

九冨さん:中国の富裕層の方々も、ヨーロッパに買い物に行くより日本の方が近いので、わざわざ買い物にきてくださる方もいるんです。
そういう市場環境もわかっていたので、お店のオープン自体には大きな不安はなかったんですよね。

最所:「好き」という熱量だけではなく、冷静な分析もした上での起業だったんですね…!

2.お客様の半分以上がSNS経由!ミレニアル世代の「届け方」

▲Tiger Lily TokyoのInstagram投稿例。夢のある華やかな写真をコンスタントに投稿している。

最所:Tiger Lily Tokyoは、まずECからはじめたというわけでもなく、わりと店舗主体なイメージなのですが、1Fの路面ではなく2Fにオープンすることへの不安はなかったのですか?

九冨さん:そうですね、割合としては売上の9割くらいが実店舗での購入なのですが、私はランジェリーが好きな人が集まるサロンのような店舗にしたかったので、むしろあえてこの場所を選んだ感じです。

最所:たしかに、調べてこないとわざわざ来ない立地ですよね。何で知って来る方が多いんですか?

九冨さん半分以上がSNSを見て知ってくださった方ですね。それもほとんどがInstagramです。
海外のラグジュアリーブランドファンは一定数いるので、ブランド名や「ランジェリー」というハッシュタグから見つけてくださる方も多いです。
残りは知人や友人の口コミで、知り合いのスタイリストさんがInstagramで紹介してくださった時は、その方のInstagramを見てきたというお客様がしばらく続いたりしました。

最所:これまでのショップって、路面店を出して雑誌に取り上げられて…というのが王道ルートでしたが、そうではなくなってきているんですね。

九冨さん:実は雑誌にもいくつか掲載していただいたことがあって、

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