コンテンツは人を再接続させる

この季節になると、地元を出て上京した日のことを思い出す。
あれから10年以上経った今、私は当時思いもしなかった景色を見ている。

私はこの目の前の景色をどうやって手にしてきたのだろう、と思い返してみると、人間関係を常に『再接続』することによってより自分らしくいられる場所を作り上げてきたような気がする。

地元と東京の何が違うかといえば、やはり一番は『人がたくさんいる』ということだ。

たくさんいるからこそ、トランプのように一度シャッフルして配りなおすことができる。シャッフルというのは一定量があるから成り立つのであって、トランプがたった5枚しかなかったらそれは『並べ替え』にしかならない。

かといって、単にたくさんいるだけだったら地元にいるのと何ら変わらない。その時々で組み合わせが変わるだけのことだから。

サカナクションの山口一郎さんが過去のインタビューで語っていた『東京への絶望』は、上京した人の一定数が感じるものなんじゃないかと思う。

東京には、僕みたいな人たちがたくさんいる。そう思っていました。僕が大好きな「美しくて難しい音楽」をつくれば、きっと多くのファンがついてきてくれるはず。
しかし、現実は違いました。思った以上にミーハーな街だった(笑)。再び挫折です。「あぁ、これからはこの世界で戦っていかなきゃいけないんだ」という、絶望感すらありました。
サカナクション山口一郎「20代は、影響受けるものを自分で決めない方がいい」

東京は人がたくさんいる街。だからこそ、逆に自分と合う人が見つけづらい街でもある。

自分と似た感性を持つ人、一緒にいることに違和感を覚えない相手、自然と集う仲間──。

地元には選択肢がないけれど、都会には選ぶ基準がない。

どんな場所にいようと、私たちを孤独にしているのは自分が望む共同体に属する方法がわからないことなんじゃないだろうか。

私は上京してしばらくは大学という必然性の高い『括り』によって強制的にコミュニティを再構築していたのだけど、ちょうど就活の時期にTwitterやFacebookといったSNSが広まって、はじめて自分の力でコミュニティを再接続させた。

振り返ってみれば、その経験を皮切りに、私の人間関係は常にSNSによって再接続されてきたように思う。

現に今も、親しい友人や仕事関係の人の大半がSNSきっかけで出会った人たちであり、インターネットがなければ出会うまでにもっともっと長い時間を要しただろうと思う。

ただ、SNSは単なるチャネルにすぎない。その中心には常に何かしらの『話題』がある。

お互いが発信したコンテンツはもちろんのこと、同じブランドや本やアーティスト、お店といった好きなものであることも多い。

私自身、アイドルやスポーツといった趣味を通して『再接続』したコミュニティにどれだけ助けられてきたかわからない。

コンテンツはそれ自体にも人の心を救う力があるけけれど、同じくらい、人と人とを再接続させることで安心の基盤を作る力もあるんじゃないかと思うのだ。

私たちはいつだって誰かに『わかってほしい』と思っていて、自分が『わかる』人たちと一緒にいると安心する。

年齢や性別や立場が違っていても共通のコンテンツさえあればそんな垣根は取っ払ってお互いを理解しようと努力できるし、好きなコンテンツが複数あれば依存先を増やすこともできる。

だからこそコミュニティの中心には常にコンテンツがあり、強力なコンテンツによって私たちは本当につながりたい人たちと再接続することができるのだ。

人を再接続させ、豊かなつながりを生んでいく。

それが『いいコンテンツ』の定義なのではないかと思う。

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最所あさみ

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最所あさみ

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