「ファッション・ビジネス」がこれから面白くなる理由

最近会う人会う人に勧めまくっている、「創造する未来」という一冊の本があります。

IFIビジネス・スクールの元・学長であり、日本にはじめて「ファッション・ビジネス」という言葉を紹介した尾原蓉子さんが、これからのファッション・ビジネスをとりまく潮流についてまとめたものです。

先日講演イベントにも参加させていただき、そのレポートを自社のオウンドメディアでも紹介しました。

ファッション・ビジネスの未来を創造するために、今必要なこととは? vol.1

ファッション・ビジネスの未来を創造するために、今必要なこととは? vol.2

ファッション・ビジネスの未来を創造するために、今必要なこととは? vol.3

「創造する未来」は450ページというずっしりくるボリュームですが、ファッションだけではなく、何の分野であれ経営に関わる人にはおすすめしたい1冊です。

なぜならば、「売る」ということ、すなわち「人は何に価値を感じてお金を払うのか」ということが体系的に説明してあるからです。

最近あらゆるところで教養をつけることや人間の本質を理解することの重要性が説かれていますが、私は小売こそがすべての商売の根源であり、小売とはすなわち人の感情を探求することだと思っています。

だからこそ小売の世界は面白い。

とはいえ、今やファッション業界が右肩下がりになっていることは周知の事実です。

今から新しいブランドやショップを立ち上げたところで、飛躍的に大きくなるイメージはできません。

それでもなお、私が「これからファッション・ビジネスが面白い!」と思うのはなぜなのか。

その答えはすべて本の中に書いてあります。

ひとつ例をあげるなら、本の中に「ファッションの本質とは、人が自信をもって自分らしく生きていく基本となるもの」というフレーズがでてきます。

スーツを着れば背筋が伸びるし、ワンピースを着ればいい女度が上がる。

人間が社会的な動物である限り、外見を整えること、装うということからは切っても切り離せない運命にあります。

そのための方法が、時代によって変化していくという、ただそれだけのことなのです。

まだ百貨店で働いていた頃、突然街中で「ここを歩いている人たちは、みんな洋服を着ている!みんなどこかで洋服を買っているんだ!」と気づいて衝撃を受けたことがあります。

目の前の売り上げに一喜一憂して「洋服が売れない」と思い込んでいたけれど、それは決してみんなが1枚も洋服を買わなくなったわけではなく、 "うちではないどこか"で消費が起きているのだと気づいた瞬間でした。

もちろんファッション単体で見れば、実際に家計に占める割合も減っていますし、消費額も年々下がっているのは事実です。

しかし、何かが欲しいという気持ちや、生活をより豊かにしたいという思いは、時代が変わっても人の根源的な欲求に根ざすものです。

つまり、根幹にある「より素敵になりたい」「豊かな時間を過ごしたい」という欲望に対して、時代にあわせてアプローチを変えていくことが重要なのです。

私が「創造する未来」を勧めるのは、こうした人の欲望の根幹にあるものをふまえた上で、現在の潮流を説明しているからです。

土台となる人間への理解、これまでの歴史的背景から見る現在の潮流、そうした潮流から生まれた新しいサービスの具体的な事例という、3つの要素がすべて体系的に説明されているため、時代が変わっても応用できる内容だと思います。

こうした根本の理解なしに、成功事例やうまくいった会社のインタビュー記事だけを読んでも、自分のこととして落とし込むことはできません。

先を読むためには、最新情報を点で知るのではなく、過去からの流れを線で理解することが必要なのです。

その昔「なぜ商品を "売る"必要があるんでしょうか?」という質問をして絶句されましたが、あれから5、6年たった今、まさに「売る」以外のビジネスモデルが注目され始めています。

今この瞬間には理解されないことも、たった数年で当たり前になっていく時代です。

書籍の最後にもでてくるウィリアム・ギブスンのこの言葉が、すべてを表しています。

「未来はすでにここにある。ただ、すべての人に均等に配分されていないだけだ。」

そして自分の手で未来を創っていくためには、「これまでの流れ」と「今起きていること」を正しく理解する必要がある。

「創造する未来」は、そのためのガイドブックとなる一冊だと思います。

※文末で、私の「読書メモ」を公開しています。ご興味のある方はそちらもあわせてどうぞ!(約1万字の大作です…!)

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(Photo by tomoko morishige)

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ここからは、普段本を読んだ後にとっている「読書メモ」を公開します。

気になったフレーズとそこに対する私の考えや、参考書籍・参考記事などを記載しています。

本当は書籍に出てくる図やグラフを見ながら読んだ方が理解が深まるのですが、買う前にどんなことが書いてあるのか知りたい、実際にファッション・ビジネスの世界にいる人間がどういう視点で読んだのか気になるという方はぜひ読んでみてください!

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最所あさみ

これからの、小売の話をしよう。

ショップは、ただモノを"売る"だけの場所ではなくて。そしてお客様は"買ってくれる"だけの相手でもなくて。明日がくるのが楽しみになるような、そんなショップがそこら中にある世界について考えたことを書いていきます。 (photo by tomoko morishige)
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