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私は「許す力」で戦いたい

私は昔から『強い人』になりたかった。

助けてもらえる日をじっと待つんじゃなくて、自分の力でその状況を変えることが私にとっての『かっこいい』であって、そのためには強くならなくてはいけなかったから。

ただ、私の思う『強さ』は、単に目の前の相手に勝つということではない。

その価値観が形成されたのは、ポカホンタスの影響が大きいんじゃないかと思っている。

ディズニープリンセスは、王子様に助けてもらうのを待つか自ら戦いにいくことが多いのだけど、ポカホンタスが他のプリンセスと違うのは、『お互いを知る』という第三の道をとろうとするところだ。

イギリスからきたジョン・スミスが悪気なく無意識に『君たちは文明が発達していないから』という見下した態度をとったときも、自分たちの生活哲学を見せ、体験してもらうことで相手にわかってもらおうとした。

そして相手の文化に対しても『それは何?』『あなたはどうしてそう思うの?』と聞くことでわかろうとした。

『違う』ということは、それ単体で敵対する理由にはならない。

違うことへのリスペクトを失ったとき、人はお互いに傷つけ合うのだ。

傷つけられたら、傷つけ返す。
その連鎖は憎しみを深くし、振り上げた拳を下ろせなくなってしまう。
そうやって、戦争は起きる。

ポカホンタスでも、最終的に開拓者と先住民の戦いに発展するのだけど、そのときポカホンタスは自分たちの敵である開拓者と戦うのではなく、それぞれの間に立つことを選んだ。

「見て、まわりを。こうなったのはすべて憎しみのせいでしょう?」

ポカホンタスの言葉を受けてはじめて、部族の長でもある父親は冷静に状況を見渡した。
武器を手にとって向かい合うお互いの姿を見たあと、目を閉じて風の声を聞いた父親は、敵味方関係なく、全員にこう宣言する。

「我々は怒りだけでここまでやってきた。しかし娘には勇気と理解があった」

勇気と理解。

この2つを持つことこそが、本当の意味で強いということなのだと子供心に感じたことを思い出す。

自分の知っている範囲だけでものを見るのではなく、相手の景色を見ようと努力し、知らないことを知ろうとする勇気をもつということ。

それが私にとっての『強さ』の定義だ。

そして大人になった今思うのは、ポカホンタスのお父さんのように、自分が間違ったと気づいた時には振り上げた拳を素直に降ろすことも、また強さなのだということ。

相手を許し、そして自分も許す。大人になるということは、いろんな『許し方』を覚えるということなのかもしれない。

知らないこと、間違うこと、それ自体は罪ではない。

でも、それを認めずに自分の小さなプライドを守ろうとすることは、自分も含めたくさんの人を傷つける。

『本当はわかっているのに認めないこと』は、自分にも相手にも嘘をついているということだからだ。

誰でも攻撃されたら腹が立つし、自分のテリトリーが脅かされたら反射的に攻撃し返してしまうのは動物としての本能だ。

ただ、私たちには『相手の立場を想像する』という力がある。

相手には相手の世界があると理解する力がある。

その力を、一般的に『優しさ』と呼ぶんじゃないだろうか。

***

以前、ジェフ・ベゾスが『優しさ』についてこんなことを言っていた。

「頭のよさは、与えられたものです。そして、優しさは選んだものです」

優しさは選んだもの。

そうなのだとしたら、優しくあることを『選べる』人こそが、本当の意味で強い人なのだと私は思う。

目の前の相手を傷つけて倒そうとするんじゃなくて、理解し、許し、包み込む勇気がある人。

そういう深くしなやかな強さを持つ人になりたい、と私は思う。

もちろん時にはちゃんと戦わなければならないときもあるし、どうしても血が流れる場面だってあるだろうけれど、私は目の前の相手に勝つことではなくて、もっとその先の理想を実現するためにこそ戦いたいと思うのだ。

まだまだ人間としての器が足りないなと思うことばかりだけど、いいお手本を頭の片隅に置きながら、少しずつ理想の姿に近づいていきたいと思う。

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今日のおまけは、個人的に『優しくて強い文章を書く人』としてお手本にしているダグ・スティーブンスの『ミレニアル世代へ伝えたいこと』という記事への感想をば。

彼は『Retail Futurist』という肩書きで活動しているだけあって、ジャーナリストともライターとも違う、自分なりの批評眼を持ちつつも柔らかく温かい視点で業界を見ている人なので、言語は違いますがその表現方法はいつも参考にしています。

今回の記事もとても愛に溢れていて、ミレニアル世代で小売やリアルビジネスに関わる人にはグッとくる内容なんじゃないかなと思うので紹介したいなと。

私がこの記事の中で一番グッときたのは、ラストのこの一文。

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