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簡単に失敗する人は、永遠に成長しない

「若いうちはどんどん失敗したほうがいい」
「そう深く考えず『やってみなはれ』の精神で挑戦したらいいんだよ!」

特に若い人に向けてよく言われるアドバイスですが、私は昔からこの「とりあえずやってみたら」というアドバイスにもやもやした感情を抱いてきました。

そのもやもやの原因が何なのかがうまく言語化できていなかったのですが、最近読んだ「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」と「小さなチーム、大きな仕事」からひとつずつ違和感の理由を発見しました。

まず「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」に書いてあって印象的だったのは、部下が失敗した場合にそのコストを払うのは顧客だ、ということ。

この場合の問題は、部下の授業料を顧客に払わせていることにある。これは絶対に正しくない。部下に物事を教える責任は必ず上司が負わなければならないし、組織の内外を問わず、顧客が支払うべきものではない。(「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」より)

顧客が仕事を依頼する場合は、会社の看板を信用して発注しているのであって、相手が新人だろうと敏腕マネージャーだろうとアウトプットへの期待は変わりません。

相手の期待を超えるものを提供する、それが仕事の本質だからです。

とはいえ「失敗するな」と脅したところではじめから失敗しない人なんていないのだし、縮こまることで余計に失敗しやすくなることもあります。

だからこそ「何かあったらフォローはするから思いっきりやりなさい」と伝えるべきなのですが、その時に「失敗してもいいから」と甘やかすのではなく「あくまでお客様にとっては "プロ"なのだから、自分の最大限の力をもってやって、それでもダメならフォローする」ということを伝えなければなりません。

上に立つ人はすべてフォローする気持ちが必要ですが、プレーヤーがそのフォローをあてにしだすと永遠に成長しなくなってしまうからです。

ダブルチェックがミスを誘発しやすいのも「自分が適当にやっても相手が見つけてくれるだろう」と甘える気持ちが原因だと言われます。

失敗してもいいというメッセージは、相手の成長を妨げる。

これから新入社員が増える季節だからこそ、改めて肝に銘じておきたいことです。

そしてもうひとつ印象的だったのは「小さなチーム、大きな仕事」に書かれていた失敗から学ぶことを過大評価しない、ということ。

よくある誤解その二は、「失敗から学ぶ必要がある」というやつだ。失敗から何を学べるのだろうか?してはいけないことについては学べるかもしれないが、それにどんな価値がある?次に何をすべきかがわからないではないか。(中略)進化は常にうまくいったものの上に築かれ、過去の失敗は引きずらない。あなたもそうであるべきだ。(「小さなチーム、大きな仕事」より)

シリコンバレーでは、起業家はどれだけ失敗したかで評価されると聞いたことがあったので、アメリカのITベンチャーCEOが(しかも37シグナルズの2人が!)失敗をポジティブなものとして捉えていないことに驚きました。

しかし本の中で紹介されているハーバードビジネススクールの調査によれば、失敗した人が次回成功する確率は何もしていない人とほぼ変わらず23%程度で、成功した人が次回も成功する確率は34%と圧倒的な違いがあるのだそうです。

なぜこの違いが起きるかというと、おそらく失敗の中には「深く考えずにやってみたことによる失敗」が多く含まれているからです。

もちろん失敗の中にも意味のあるものはたくさんあり、考え方は正しくてもタイミングが合わなかっただけだったり、そこで問題に気づいたことで成功につながるケースも多々あります。

しかしほとんどの場合、読みの甘さや戦略の弱さが失敗につながっているもの。

成功する人は、そのプロダクトを見るだけでも成功する理由が伝わってくるものです。

つまり失敗することがよいのではなく、結果に関わらずいかに考え抜くかが重要であり、何の仮定やリサーチもなしにただ手を着けたところで、その失敗に意味はないということです。

そこを取り違えて失敗を重ねても、話のネタが増えるだけで成功につながることはありません。

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負けること、失敗することってすごくすごく悔しくて、辛いものだと思います。

学生時代に部活で負けたときはあれだけ涙を流して悔しがっていたのに、大人になるにつれて「まあ初回だし失敗してもしょうがないよね」とはじめる前から言い訳をして、守りに入ってしまう。

失敗したくないと思うからこそ人は工夫するし、もし失敗したとしてもどうすれば成功できたのかを真剣に考え抜くものだと思います。

周りの空気に流されて、安易に失敗の山を築いていないか。

人生は有限だからこそ、失敗のためではなく成功するために頭を使っていきたいものです。

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(Photo by tomoko morishige)

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