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「言わせたらおしまい」なこと

今日も明日も明後日もずっと、この日常が続いていく。

私たちは無意識にそう思っているものだと思います。

でも実は感情というのは常に揺れ動いていて、どんなに長く一緒にいる人でも、心を許して付き合っている人でも、相手からの評価には浮き沈みがあるものです。

それは自分の行動が原因のこともあれば、相手の変化に起因していることもあります。

ちょっとしたすれ違い程度であれば、普段通りに過ごしているうちに知らず知らずの間に修復できていくため、その小さな変化に気づくことはほぼありません。

でも修復できないままに少しずつ乖離が大きくなっていったとき、ある日急に「終わりのはじまり」を突きつけられることになります。

以前読んだ、ferret編集長の飯髙さんへのインタビュー記事「急に部下が「辞める」と言いだしても時すでに遅し。」の中に、こんな箇所がありました。

究極のことを言っちゃうと “辞めるって言わせたらもう終わり”。その言葉をだすのは簡単なことじゃない。当人からしたら辞めることを上司にどう伝えようか、タイミングをどうしようとか考えてるわけで。上司は、その言葉の重みを知ったほうがいい。
だから急にメンバーが辞めると言ってから慌てるんじゃなくて、辞めると決断する前にできることをすべきだと思う。

私自身、これまでに2回「辞めます」と伝えた側として、この言葉の重みはよくわかります。

特に、事前の相談なしに唐突に「辞めます」と言わざるをえない環境というのは、普段からコミュニケーションが足りていない場合がほどんどです。

だからこそタイミングを見つけるのも一苦労だし、結局今日も言い出せなかったなあと思いながら1、2週間経過してしまうものです。

記事の中でも書かれていますが、私もこうした体験があるからこそ、退職を考えている人は表情や行動でわかります。

むしろ実は、誰でも薄々は気づいているものなんじゃないかと思います。

それくらい「辞める」という決断は、人を変えるものだからです。

でもほとんどの人は、怖くて気づかないふりをしてしまう。

それがこの状況を悪化させるとわかっていても。

退職問題に限らず、この「決定的なことを言われるのが怖くて逃げてしまう」という状況は誰にでもあるものだと思います。

そうやって問題を先送りにしているうちに、相手から「言わせたらおしまい」な一言を引き出してしまう。

相手の変化に気づくこと、そして不満や乖離が修復可能なうちに、相手に話す環境を与えてあげること。

真摯に向き合うということは、この2つを地道に繰り返すことなのだと思います。


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(Photo by tomoko morishige)

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