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メーカー型思考とコンシェルジュ型思考が決定的に違うところ

新卒で百貨店に入ろうと思ったとき、そのきっかけは「たくさんのブランドが扱えること」でした。

大学時代にGODIVAでアルバイトをしていたのですが、立場上どうしても自社ブランドの中からしかお客様へご提案ができないフラストレーションが大きく、「百貨店にいけば全部扱えるやん!」という短絡的な発想が、百貨店に興味をもったきっかけだったのです。

GODIVAは昔から大好きで、学生アルバイトは雇用していないのにどうしてもと無理を言って面接してもらい、授業の方をやりくりしてなんとか出勤していたほど。

将来はGODIVAの社員になりたいとまで思っていました。

それでも「このお客様にはあっちのおせんべいの方がニーズにあってるな…」と思うと、つい他のお店のおすすめをしたくなってしまうのが私の困ったところでした。

幸い当時の店長が懐の深い方で、さらに私と同じようにお客様に寄り添うタイプだったのでわりと自由にやらせてもらっていましたが、普通は怒られてもおかしくない行動だったと思います。

そのとき、私ははっきり「自分は人を起点にモノを選んであげたい人間なのだ」と思ったのでした。

私は昔から「適材適所」という言葉が好きです。

だから、膨大な商品の中からその人に一番ぴったりなものを探し出してきて、教えたりプレゼントしたりしたい。

そんな「コンシェルジュ」的な発想が私の発想の起点なのです。

一方で、モノを起点にしてそれに合う人を集めたいタイプの人もいます。

まずはモノありきで、それを売るためにどうするかを考える「メーカー」的な発想です。

この2つはマーケットイン/プロダクトアウトという考え方にもやや近いものがあり、一般的にプロダクトアウトは悪く言われがちなものですが、私はどちらも必要で、さらに今後は「作る」と「売る」の分業がより進んでいくのではないかと思っています。

また、マーケットインとコンシェルジュ型が微妙に違うのは、コンシェルジュ型は「作る」に固執しないということです。

コンシェルジュ型はあくまで相手に最適なモノが届いていればいいので、マーケット発想でモノを「作ろう」とするマーケットインの思想を包括しつつも、作るのはあくまでひとつの手法でしかない、という考え方です。

この「コンシェルジュ型」と「メーカー型」の発想はどちらかに優劣があるわけではなく、どちらもお互いにとって必要不可欠な存在です。

それは例えるなら、アーティストとマーケター、作家と編集者のような関係。

「作りたい!」というパッションでロジックを飛び越えた新しいものを作る人は絶対に必要だし、それを適材適所に分配していく人も必要なのです。

そして、個人的にこの2つを分かつのは「生活へのこだわりレベル」なのではないかと思っています。

私のまわりでメーカー思考が強い人は、軒並み生活へのこだわりレベルが高く、自分の納得いくものに囲まれた空間にいないと力が半減してしまうような人ばかりです。

一方で、私はこだわりが薄いのでどんな空間でもわりと平気で、旅行先や住空間もすべて相手の好みに合わせる(という名の丸投げ)タイプです。

私のようなタイプは自分の好き嫌いは抜きにして「その人に合うもの」を提案することに抵抗がないので、自分のデータベースの中からベストだと思うものを選んでマッチングさせることができます。プレゼントが得意なのもこちらの人種だと思います。

昔は小売の人間なのに、身の回りのものにあまりこだわりきれない自分へのコンプレックスが強かったのですが、最近はむしろそれが強みのような気がしています。

私の仕事は「いい」と思うものを見つけ、それを求めているであろう人に向けてそのよさを翻訳して伝えること。

その伝え方や届け方にこそこだわりを持って、これからも世の中により多くの「いいもの」が流通するための仕組みを考えていきたいと思っています。

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最所あさみ

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最所あさみ

Retail Futurist / curator。「知性ある消費を作る」をミッションに掲げています。 将来は世界一の店舗メディアを作る予定。noteの有料マガジン「余談的小売文化論」とコミュニティマガジン「消費文化総研」もよろしくどうぞ!

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