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いい戦略家は『2番』を作る

最近ヤマト運輸の元社長・小倉昌男の「経営学」を読んでいるのですが、その中でこんな言葉が出てきました。

「何でも『第一』の社長は『戦術的レベル』の社長である。うちの会社の現状では何が第一で、何が第二、とはっきり指示できる社長は『戦略的レベル』の社長である」

そしてこの言葉を見て、長年『とりあえずやってみよう』という言葉に感じてきたもやもやを言語化できるようになりました。

▲ちなみに「プリンシプル(=主義)」の誤字です…

ミッションやビジョンの重要性はいたるところで語られていますが、意外と見落とされがちなのが『HOW』、つまり『どうやるか』の部分です。

ある目的を達成するために、何をより重視するのか。その価値観こそが組織の文化を作ると言っても過言ではありません。

本の中でも『安全と営業どちらも大事、と言っていたら人は必ず営業数値の方にひっぱられてしまい、安全が脅かされた結果営業にも支障をきたす』といった趣旨のことが書いてありましたが、『どっちも大事』なものに無理矢理優先順位をつけることこそが戦略家の仕事なのではないかと思います。

そしてそのためには目の前のなんとなくよさそうなことに片っ端から手を出していくのではなく、都度自分たちのミッションやビジョンに立ち返った上で『やらないこと』を明示していく。

『戦いを略する』ということは、はっきり優先順位を決めることで力を無駄に分散させないことである、と言い換えることもできるのではないでしょうか。

以前読んだ本で『組織は①効率性②ホスピタリティ③新規性の3つの性質が引き合うことでバランスをとっている』という話がでてきたのですが、実際この3つはどれも大切なものであり、優先順位をつけられるものではありません。

先に紹介したヤマト運輸の場合は『安全第一、営業第二』と優先順位を決めていましたが、これも本来はどちらも重要であり、両方実現しなければならないものです。

しかし、その中でも『強いていえばどっちを選ぶのか』というギリギリの選択によって、文化や『らしさ』は作られていきます。

誰だって全部大事だと言いたいし、すべての弱点を補って完全無欠になろうとするもの。

しかし何をしても『あっちを立てればこっちが立たず』は起きるし、強みと弱みは表裏一体なのでどこまでいっても完璧というのはありえず、私たちにできるのは『何を優先させるか』を決めることだけなのです。

これは組織だけではなく個人にも言えることで、どんなに忙しくなっても譲れないことを決めたり、迷ったときの優先順位をはっきりさせておくことで無駄な努力をして疲弊してしまうといった事態を避けられるのではないかと思います。

自分の判断軸を作るということは、大切なものの中から特に優先したいものをひとつひとつ選んでいくことである。

そんなことを考えさせられた最近の読書でした。

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今日のおまけは、R25の家入さんの記事を読んで考えた「夢を見せることの功罪」について。

🔽家入さんのインタビュー記事

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