知性は『矛盾』を凌駕する

たまに自分のnoteを読み返していると、『おや、このnoteとこのnoteで真逆のこと言ってるな』と気づくことがある。

そして同時に、『どちらも本当のことだな』と思う。

Aと言ったからといってBでないわけではなく、AとBは重なり合っていたり、そもそも他の選択肢もある上に、次元を上げると複数の切り口が複雑に入り組んでいたりすることに気づいたのだ。

例えば、AとBの二元論で考えていた時は、AであるということはBではなく、逆にAでないということはBではないと思っていた。

わかりやすい例でいうと、『量か質か』とか、『スピードかクオリティか』といったテーマはよくこの二元論で語られやすい。

しかし実際には、もっと大きな枠の中の構成要素としてその2つに言及しているだけに過ぎず、他の論点はたくさんある。

先ほどあげた例でいえば、『量か質か』も『スピードかクオリティか』も、『どうすればいい仕事ができるか』という点で実はほぼ同じ話をしている。

つまり、『量or質』の二元論だけで考えると、スピードやクオリティといった要素を見落としてしまう。もちろん、『いい仕事』の構成要素はその4つ以外にもたくさんある。

そして何より、それらの要素は対立するものではなく、すべて根っこでつながっているものだ。

どれも全部大事で、ただ置かれた状況やその人の価値観、プロジェクトのゴールなどによってその優先順位が変わるだけのことだ。

だから、同じ人でも一見すると『こないだ言ってたことと真逆じゃん!』と感じるようなことを言ったりする。

しかしよくよく読めば、実際は同じことを言っていたりするのだ。

そして知性があるということは、いかにこの二元論から解き放たれて大きな視野でものごとを見ることができるかという力なのかもしれないと思う。

自分の中の引き出しが多い人は、『まずは量が大事だよね』という人に対して『じゃあ質はどうでもいいのか!』と二元論で早合点したりしない。

本来その2つは対立するものではなく、どちらも追い求めるためにまずは量が大事なフェーズやニーズがあるというだけの話だと理解しているからだ。

もちろん、この複雑な世の中を理解するためにはわかりやすく2つの構成要素で語った方がいいときもある。

しかしそれはあくまで『たくさんの中からこの2つをとってきました』ということが前提にあるのであって、世の中は綺麗に二分できるものだという思い込みは対立をうむ。

私がこう考えるようになったのは、岡潔が『人間の建設』の中でこう語っていたからだ。

「矛盾がないというのは、矛盾がないと感ずることですね。感情なのです。そしてその感情に満足を与えるためには、知性がどんなにこの二つの仮定には矛盾がないのだと説いて聞かしたって無力なんです」

数学の世界では、理論的に矛盾するはずの理論がどちらも成り立つ場合があるが、そもそもそれを矛盾だと感じているのは理性ではなく感情だという話を読んで、これは数学に限らずあらゆることに言えることではないかと思った。

つまり深く思考するということは、これまで二項対立で捉えていたものごとへの視野を広げ、『対立も矛盾もしていない』と気づくことなのではないだろうか。

私は二宮尊徳の『道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は寝言である』という言葉が好きなのだけど、一見矛盾する二つのことを同時に両立させることこそが知性の力だと思っている。

対立して綱引きしあっていても世界は何も前に進まないからこそ、あらゆる矛盾を凌駕する知性を身につけたいと思うのだ。

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今日のおまけは、これまで読んだ小売に関する『2019年予測』の中で一番面白かった海外記事を英訳しつつ、個人的な見解を。
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余談的小売文化論

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