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自分の理想とするサイズを意識すること

いろんなブランドさんのお手伝いをする時、もっとたくさんの人にこのブランドの商品と出会って好きになってもらいたいなと思いながらスペースの提案をしています。

私たちのようにメーカーさんやブランドさんをサポートする企業は、「お客様(ブランド)が成長したいと思っている」ということを前提にサービスを組み立てています。

もっとたくさんの人に知られて、気に入ってもらえて、売り上げが大きくなる。

これ自体は素晴らしいことですが、最近は「これくらいの規模でありたい」という明確なイメージをもつ重要性を感じています。

特に市場全体の成長が望めないこれからの時代、日本市場で戦うのであれば右肩上がりの成長はよっぽどがんばらなければ達成できません。

上を目指せばキリがなくて、そのためにはコストもかかるし、多額の投資も必要になります。
そして一度大きくなった規模は、なかなかサイズダウンさせられない。

だからこそ、戦略なしに「もっと、もっと」と求めてしまうとひょんなことから足もとをすくわれてしまうのではないかと思います。

もちろんサービスや商品を世の中に広く広めたい、世界で戦いたい!という上昇志向も必要です。

でも地元に根ざして目の届く範囲でじっくり育てていきたいとか、自分の納得いく商品だけを丁寧に届けたいとか、そういう"目標"だってあるはず。

「もっと売れるよ、大きくなれるよ」と声をかけてくれる人たちも悪気はないのですが、自分の意図しないかたちで大きくなると、結果として「こんなはずじゃなかった」となってしまいがちです。

例えばハンドメイド作家さんは、ある程度人気が出ると商業施設や百貨店から声がかかります。

しかしその時、一定数在庫を積まなければならなかったり人員を手配しなければならなかったり、ちょっと
だけ無理が必要になります。

そこで売れ残った商品は原則的に返品になりますし、もしアルバイトさんを雇っていたらその後のイベントを次々にこなしていかないと仕事を作ってあげられません。

普段より大幅に増えてしまった在庫をどうするか?余剰人員をどうするか?
そんな本来の作品づくりとはかけはなれた問題に頭を悩ますことになります。

そしてなにより昔から気に入ってくれていたお客様が離れていってしまうリスクもあります。

こうした状況を勝手に"ハンドメイドのジレンマ"と名付けているのですが、アットホームな手作りのぬくもり感が評価されて人気になったブランドが規模を大きくしようとすると、どうしても大量生産か他人の手を借りなければなりません。

すると「あのブランド、なんか変わったね」とお客様が離れていってしまい、今度は大企業が運営する低単価・高品質なブランドと戦わなければならなくなる。

そこから先は血で血を洗うレッドオーシャンです。

そうなってはじめて「こんなはずじゃなかった…」と思っても、もう後戻りはできません。

だからこそ最初に「こうありたい」という理想のサイズをイメージしておき、自分たちの理想を超えたオファーに対しては断る勇気をもつことも重要だと思うんです。

断るとそれ以降オファーがこないかも…という不安に思うかもしれませんが、自分たちの規模に対して求められていることが大きすぎることを丁寧に説明すれば、よっぽど自分の成績のことしか考えていない担当者以外はちゃんとわかってくれるし、むしろしっかり自分の考えをもったブランドとして評価されることもあります。

いろんなテクノロジーが進化して、自分のブランドをもつことが簡単になった今だからこそ。

自分の理想とするサイズを意識して、自分の身は自分で守ることがますます重要になっていくように思います。

がっつり成長していきたい!目指せグローバル展開!という勢いのブランドさんにはそれだけの力をいれてスペースやポップアップショップの企画を考えたいし、ちょっとずつでも1人1人のお客様へ丁寧に商品を届けていきたいというブランドさんにはスペースオーナー様の人柄も含めてぴったりのスペースをご紹介していきたい。

ただやればいい、売れればいいではなくて、ブランドさんもその先のお客様も、そして私たち自身もハッピーになるやり方を一緒に模索していきたい。

そしてそのやり方は、ブランドの数だけあるはず。

私自身たくさんの引き出しを持てるように、日々精進していきたいと思います!

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