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あらゆるコンテンツが "ドキュメンタリー"になっていく

ここ最近、Netflixのオリジナルドキュメンタリーをあれこれ見ているのですが、中でも面白かったのがこの「100万ポンドのメニュー」。

レストランを開くという夢をもつ若者が、3日間だけのポップアップレストランを通して投資家にそのポテンシャルをアピールし、出資にこぎつけるというドキュメンタリーです。

初日の夜は半額で一般のお客様に解放し、2日目のランチに投資家が来店。そこではじっくり投資家と向き合って食事を用意し、味を確かめてもらいます。
そして3日目には一般客に混じって投資家に再度訪れてもらい、オペレーションをチェック。
3日目の営業終了後にそれぞれの投資家が出資するかどうかをジャッジするという構成です。

ドキュメンタリーを通してチェーン展開の考え方やオペレーション構築のミスなどリアルビジネスに関する知見を得られるのはもちろん、人間ドラマとしても面白く、ぜひたくさんの人に見てほしい良作です。

そしてこの「100万ポンドのメニュー」を見ながら考えたのが、このコンテンツは視聴者を巻き込みやすいだろうなということ。

本国でどのような取り組みをされているかはわからないのですが、初日や3日目に食事にくるのは一般の人なので、HPやSNSで発信することで協力者を得ることができます。

また、出資が決まって半年後、1年後に店舗をオープンすることになったあかつきには、ぜひ行ってみたいという人も多いでしょう。

つまりコンテンツに視聴者が『参加する』『体験する』ことができるようになるのです。

放送前からInstagramで料理の写真をアップしていければ自然な番宣にもなりますし、挑戦者たちのアカウントをリグラムしたりすることで『テレビの向こう側の話』ではなくより身近でリアルなコンテンツ体験に仕上げることができるのではないかと思うのです。

以前WEEKLY OCHIAIで明石ガクトさんをゲストにお招きした『動画ビジネスをアップデートせよ』の回でも、Netflixで人気のオリジナルドラマ『13の理由』がヒットしたのはSNSの使い方がうまかったからという話がありました。

最近は日本のドラマでも取り入れられはじめていますが、登場人物のSNSアカウントはコンテンツへの没入感という意味で非常に大きな効果があると思っています。

(↓「おっさんずラブ」の黒澤部長のインスタアカウントも大人気でしたね)

ドラマであれドキュメンタリーであれ、遠い世界の話ではなくあくまで自分と同じ世界の延長線上に登場人物がいて、ちょっと手を伸ばせば自分もその世界に入っていける気がする。

そう思わせることがこれからのコンテンツでは必要不可欠になっていくのではないでしょうか。

以前、ドラマ「dele」や朝ドラの「半分、青い」をみて感じたことをまとめたnoteで「リアルなドラマであれファンタジーの世界であれ、自分もその世界に入ってみたいと思わせるためには『リアルに存在していそう』という感覚を喚び醒まさなければならない」という話を書きました。

それはつまり、フィクションですらもまるでリアルに存在するかのような臨場感をSNSやイベントといった施策を通して立体的に設計していかなければならないということでもあります。

これからはあらゆるコンテンツが、リアルとフィクションの垣根を超えて『ドキュメンタリー」になっていく。

最近はそんなことを考えています。

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今日のおまけは、2015年にApple MusicからLVMHに移籍し、デジタルオフィサーとしてLVMHグループのデジタル戦略を担ってきたIan Rogersのインタビュー。

タイトルは「なぜ中国が次のシリコンバレーになるのか?」なのですが、彼の根幹にある哲学が面白く学びになったのでそのあたりを中心に抜粋&解説しています。

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