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小売店も、ゆるいつながりの時代へ

たくさんの人の目に触れたい、と思ったら人気の商業施設へ出店したり、人通りの多いエリアにお店を構えるしかないのがこれまでの小売をとりまく環境でした。
高いお金を払って認知度をあげるか、とりあえず自分たちが食べていける分だけを細々と稼ぐ生活をしていくか、そのどちらかしか選べなかった時代。

しかしネットが普及した今、SNSやコンテンツマーケティングなどでお店の魅力を発信してお店めがけてきていただくということも簡単にできるようになりました。
場所の利だけに頼るのではなく、お客様に店舗へ足を運んでもらえるブランドづくりにかかる時間が圧倒的に下がったのがここ数年の話だと思います。

そして最近はそこから一歩進んで、小さなブランド・小売店舗が複数集まって催すイベントが新しい潮流としてじわじわ広がりつつあるように思います。

小さなブランドこそ「コト」消費に強い?

ここ最近フリーマーケットやファーマーズマーケットなどのマーケットイベントが増えています。
特に成功しているイベントは、ブランド単体ではそんなに有名ではなくてもイベント自体のテーマをブレずに設定していることがポイントだと思います。
青山パン祭り、コーヒーフェスティバル、クラフトマーケットといったイベントがその筆頭ではないでしょうか。

こういったイベントに出店しているのは作り手さん1人など小規模なブランドが多く、一般的な知名度は低くても素晴らしいものづくりをされている方ばかり。
そしてマーケットイベントは小規模なブランドだからこそ「モノ」だけではなく作家さんとの距離の近さやオーダーメイド・オリジナルのやりやすさ、ワークショップの開催のしやすさが強みだと考えています。
ブランドの認知度は低くても、一度知っていただいたら熱烈なファンになっていただくこと。
SNSや口コミ全盛の今、規模の大小に関わらずコアなファンをもっている方が強いのは間違いありません。

小売店同士の「横のつながり」がWin-Winを生む

最近はそんなこんなでマーケットイベントや複数ブランドでコラボした出店も増えてきた感じがありますが、私が注目しているのは地域の小売店同士の横のつながり。

例えば昨年谷中にオープンして話題になったhanareのコンセプトは「まち全体を一つの大きなホテルに見立てる」ということ。

谷中は外国人観光客にも人気がではじめているエリアですが、昔ながらの街並みは細い路地も多く、大きなホテルや観光施設があるわけではありません。
しかしその特徴は逆に小さな谷中の魅力でもあるのです。
猫を追いかけで出くわしたちょっとした小道にある雑貨屋さん。
知らないと見つけられないようなこじんまりしたカフェ。
そういったひとつひとつの小さなお店の魅力が折り重なって谷中を魅力的な街に仕立て上げています。

そんな谷中だからこそ「まち全体を一つの大きなホテルに見立てる」という発想が生まれてきたのだろうなと思わずにはいられません。

本来は宿泊もごはんも買い物もバラバラな場所でしなければいけないなんて不便!と思いがちですが、ひとつひとつの施設に大きな施設ではだせない味がありここでしか体験できない世界があるからこそ人は惹きつけられてしまうのでしょう。

このhanareの取り組みは街づくりを考える上でとても参考になる事例のひとつだと思います。

そして今日見つけたこの取り組みもおもしろそう!

【4/9開催】個性派16店舗が「おもてなし」! 入谷の特別な1日を体験しよう

街をあげて同じ日にちょっとした割引やイベントを開催することを「おもてなし」と表現するだけでも、一気にわくわく感がでることがわかります。

各店舗単体の割引やイベントで惹きつけられるお客様には限界があります。
でもこうやってみんなで集まってひとつの大きなイベントにするだけで何倍・何十倍も話題にすることができるのではないでしょうか。

でも思い返してみればこういう取り組みって昔から商店街をはじめとする「まちのおみせやさん」では当たり前にやっていたことなんですよね。
小さなお店同士で集まって大きなイベントにしていく、という取り組みが増えてきたのは効率化・上昇志向一辺倒の時代から脱却して、人と人とのつながりや豊かなライフスタイルが台頭してきた証拠なのかな、とぼんやり考えたりしています。

きっとこれからの出店場所選びに重要なのは、乗降客数や立地よりもその地域にギルド的なゆるやかなコミュニティがあるかどうかとエリアのカラーと店舗がちゃんとマッチしているかを見極めることになっていくのではないかと思っています。

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