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成長は「直線」ではなく「循環」で考える

世の中は、『成長を測る数字』で溢れている。

売上高、事業規模、販売個数に会員数、そして調達金額。

数え上げればキリがないけれど、数字が昨日より今日、今日より明日、とどんどん大きくなっていくことを私たちは成長だと思っている。

もちろん数字的に成長するのはとても重要なことだ。どんなにいいことをやっていても、少しだけしか提供できないのはもったいないし、規模が大きくなればこそ解決できることもある。

ただ、いわゆる『成長』に違和感を覚えるのは、それがあまりに直線的な意識に基づいているように感じるからだ。

直線的な成長を考えるとき、私たちは『時間』と『成長』を軸にとり、過去の自分と未来の自分の差分で捉えている。

でも実際には自分の成長は自分だけで完結するものではなく、誰かに影響を及ぼしている。

例えば企業であれば、売上が伸びることは自分たちだけでできるものではない。そこには商品やサービスを買ってくれる人がいるし、それを作るための素材や環境を作ってくれた人たちがいる。

そして彼らに及ぼした影響が社会に波及することでその恩恵を受けて自分たちがまた成長することができる、というように成長は外部環境を巻き込みながら循環している。

最近個人的に注目している『カーム・カンパニー』という考え方は、まさに成長を自己完結させず、ステークホルダーとともに成長していく循環型の成長を目指しているのではないかと思っている。

▼UNLEASHでの東藤さんの書評が素敵だったのであわせてどうぞ。

このテーマについて考え始めたのは、最近のサブスクリプションビジネスの盛り上がりを見ながら、こんなツイートをしたのがきっかけだった。

サブスクリプションビジネスは定期的に収入が発生する安定したビジネスモデルではあるけれど、それはあくまで『こちら側』の理論だ。

以前『サブスクリプションの未来と、人は何にお金を払うのかということ』でも書いたのだけど、モノのサブスクリプションも商材によって向き不向きがある。

人が定期的に継続して、しかもほぼ同じペースで使い続けるモノはそう多くないし、届くたびに契約していたことを思い出すので、急な出費でお金が必要になったとき真っ先に『解約するものリスト』に載ってしまう。

ビジネスモデル自体がどんなに安定していても、使う側の需要が安定してないければ意味がない。

じゃあ無形サービスならいいのかというと、ジャンルによっては『成長させない方が継続してもらえる』というおかしな話になってしまうことがある。顧客がずっと課題を持ったままであれば『卒業』したりしないからだ。

もちろんこれはサブスクリプションモデル自体が悪いという話ではなく、継続してもらうことがユーザーにとってメリットになりうるかを考える必要がある、ということだ。

とりあえずサブスクリプションモデルにしたら当座の数字は伸びるかもしれない。しかし、本質的にそれがユーザーの問題を解決していない場合、時間が経つにつれて解約率は高まり、芳しくない口コミが流れるによって新規会員の増加も止まる。

成長は自分たちだけの問題ではなく、ステークホルダーを成長させることによって回り回って自分たちも成長する、循環型のものなのだ。

これを端的に表したのが『三方よし』という言葉だが、いざ成長を考えるとなると自分たちを主語にしてしまうことは多い。

どれだけユーザーの成長に寄与できたのか、作り手や業界全体にいい影響を与えられたのかを見ることは、綺麗事ではなく自分たちの成長に必要不可欠なものだ。

私たちはつい『自分たちが成長すること』ばかりを考えてしまうけれど、自分たちの成長が誰を成長させ、社会にどんなインパクトを与えているかを考えることこそが、永続的成長につながるのではないかと私は思っている。

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今日のおまけは『永続的成長に必要なもの』について。最近老舗と言われるお店を見てふと『そうか、長く愛されるにはこれが必要なのか』と気づいたことを。

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