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"自然"であることを目指す

私がプロジェクトを動かすとき、大切にしていることのひとつに『自然であるかどうか』という基準があります。

会議の中でも、
『それって不自然じゃないですか?』
『こういう方が自然ですよね』
というように、『自然』という単語を口にする回数が誰より多い自身があります。

自分がユーザーや参加者になった場合、その流れや仕組みを自然に感じられるかどうか。
もし少しでも不自然に感じるところがあれば、自然な流れに感じられるようになるまで何回でも企画を考え直します。

なぜ『自然であること』にそこまでこだわるのか。

それは、自然に逆らうということは多大なコストがかかる上に、どこかでひずみが出て永続性がないと思うからです。

例えば川の流れひとつとってみても、周辺を開発するために川の流れそのものを変えようと思ったらとてつもなく大きな事業になります。

さらに、人工的に流れを変えた川は氾濫も起きやすく、もともと川だったところを埋め立てた土地は地震が起きれば液状化するなど、不安定になりやすいものです。

だからこそ、手をいれるとしたら自然な状態とは何かを見極めた上で、それを生かすやり方を考えた方が長い目で見て有益なはず。

こうした考えが根底にあるので、私はいつも川の流れを生かしながらその周辺を活性化させたり、氾濫が起きないように堤防を築く方法について思いを巡らせています。

自然な状態を目指すこと。

『長く続くもの』を善とする価値観の私にとって、自然であることこそが最高の戦略であると思うのです。

本能的にこうした考え方を身につけていたのか、よどみなくなめらかであることにずっとこだわってきたのですが、自然であることをより意識するようになったのは、『お金2.0』でこのフレーズを読んだのがきっかけでした。

経済のベクトルは「自然にもともと内在していた力」が形を変えて表に出てきたものであり、自然とは経済の「大先輩」みたいな存在

同じ章の中で「『自然が経済に似ている』のではなく、『経済が自然に似ていたからこそ、資本主義がここまで広く普及した』」という一文もでてくるのですが、まさに私も前者の意識だったので、そもそもの前提が逆だという発想には思わず膝を打つ思いでした。

つまり、世界のあらゆるものごとはより『自然』な方向に収斂していく。

この大前提を知っておくだけで、未来予測の精度が上がるのではないかと思ったのです。

本の中ではさらに、自然な状態とは何かまで言語化されています。

<経済と自然の根底にある同一システム>
①自発的な秩序の形成
②エネルギーの循環構造
③情報による秩序の強化
(+極端な偏り、不安定性・不確実性)
絶えずエネルギーが流れるような環境にあり、相互作用を持つ動的なネットワークは、代謝をしながら自動的に秩序を形成して、情報を内部に記憶することでその秩序をより強固なものにする

これだけ読むと難しすぎてよくわからないのですが、政治で例えれば①民主的であること②新しい政治家や政党が生まれ、いれかわっていくこと③憲法や国家などの共通ルール・文化的アイデンティティがあることといったところでしょうか。

要は、何かしら共通する核をもちながら、最適なルールや仕組みが自発的に作られ、そのルール自体も時の流れによって変化したり撤廃したりする、という流れと言い換えられるかもしれません。

こうして見ると、たしかに会社や地域など人が集まるところすべてに共通する原理のように思えます。

ということは、自然であることを目指せば、組織や社会システムを長く保つためのヒントが得られるとも言えます。

『我田引水』という言葉がありますが、自分の利益のために無理やり川から水を引くことだけを考えず、自然な流れをせき止めないこと。

未来を見るには歴史を学ぶこと、とよく言われますが、地球の成り立ちという46億年の歴史を振り返ることこそが、長く続くものを作る上でもっとも参考になる対象なのかもしれません。

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