余裕こそが創造性を高める

先日読んだ片桐はいりさんのフィンランド旅行記「わたしのマトカ」。

様々なエピソードの中でも、撮影時に話したというフィンランド人アーティストのやりとりが印象的でした。

フィンランドではアーティストと認められればある程度生活が保障されるそうで、舞台に立ちながら生活のためにあくせくアルバイトしなければなからなかった時代を思い返しながら「なんてうらやましい!」と叫ぶはいりさん。

このエピソードが気になって調べてみたところ日本語の情報が少なく、おそらくここでいう保障とは芸術家年金のことのよう。

芸術的功績と経済状況の基準をクリアすれば、毎月フィンランドの平均的な月収の半額程度が生活費として保障されているそうです。

この話で思い出したのが、一昨年あたりに話題になった起業家への補助金支援。

基準を満たせば2年間は年収650万円が保障されるという制度で、公開された当時は否多めの賛否両論が巻き起こりました。

年収650万円といえば日本人の平均年収よりも多く「あくせく働くより起業して補助金もらった方が得じゃん!」という論調で当時かなり話題になったことを覚えています。

「やりたいことをやってるなら補助金に頼らず年収が低くても我慢しろ」
「生活の保障がないとチャレンジできない人は起業家向きではない」
という意見をたくさん目にしましたが、個人的には当時からなんとなくしっくりこないものを感じていました。

なぜならば、人はギリギリの状態に追い込まれるとクリエイティビティを発揮する余裕を失うからです。

私は毎日こうしてnoteを更新していますが、明日突然会社がなくなったり解雇されたりしたら、自分が食べていくためにはnoteを書いている場合ではありません。

自社のプラットフォームを使って面白いことをやろう!と考える余裕があるのも、当面は資金ショートの心配がないからこそです。

先に書いたフィンランドの例でいえば「明日支払うお金が足りない、どうしよう」と不安に苛まれながら芸術活動をするよりも、最低限の生活は保障された上でゆとりをもって様々な場所に顔を出し、好奇心を刺激される方がいいものが生まれる、という思想のもとにできた制度だと思います。

もちろん追い込まれたからこそ火事場の馬鹿力でうまれる素晴らしいものもあるし、社会へのアンチテーゼや感情の発露につながることもあります。

しかしほとんどの場合は「これに失敗したら死ぬしかない」という状況に追い込まれると発想が縮こまってしまい、ジリ貧になってしまいます。

成功者の誰もが口を揃えて言うように、成功するためにはとにかくチャレンジしつづけることが必要です。

そしてそのチャレンジの発想は、有り金すべてを握りしめて背水の陣で臨むよりも、最悪失っても痛くない程度の余剰資金の中で自由にやる方が広い視野で見ることができます。

最近では北欧諸国を中心にベーシックインカムの導入が現実のものとなりそうな動きを見せていますが、生活がある程度保障されることで生み出せるものはたくさんあるはず。

先人がしてきた苦労をせずに同等事情の結果を得ることこそが人間の進化であると考えれば、苦労を必要以上に美化しすぎず余裕の中から新しいものを生み出す流れを素直に受け止める方が賢い選択ではないでしょうか。

自分も他人も、必要以上に追い込まない。

余裕のある毎日こそが新しいものを創り出す第一歩なのではないかと思います。

(Photo by tomoko morishige)

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私のnoteの表紙画像について書いた記事はこちら

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最所あさみ

Retail Futurist / curator。「知性ある消費を作る」をミッションに掲げています。 将来は世界一の店舗メディアを作る予定。noteの有料マガジン「余談的小売文化論」とコミュニティマガジン「消費文化総研」もよろしくどうぞ!

現場からは以上です。

「地域の魅力とITの力で小売はもっと面白くなる!」をモットーに働く中で感じたこと、考えたこと。組織や働き方、伝え方、モチベーションといったワードに関心があります。 (photo by tomoko morishige)
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