プロ論、のはなし

わたしの趣味は野球です。

野球のなにが好きかと言われると、それはもう中学生の時に甲子園にはまってから10年以上ずっと好きなのでいまさら何が好きなのかなんてよくわかりません。

あの球場の雰囲気も好きだし、チームプレイだからこその戦略だったり、それぞれのポジションごとにも面白さの醍醐味は違うものだと思います。

いろんな好き要素がある中でも特に好きなのは野球選手たちの口から語られるプロ論。
選手それぞれに"プロとはなにか"という哲学があり、もがき苦しんだ過去や理想と現実のギャップやプロという世界の厳しさを語る彼らからこれまでも多くのことを学んできました。

特に私の心に残っているのは故・木村拓也選手。
投手以外のポジション全てを守れると言われるほど有名なユーティリティープレイヤーだったキムタク。

はじめから器用でなんでもできた人なんだろうと思っていたら、インタビューでこんな風に答えていた。

自分は「こういう選手になろう」と思ってここまで来た選手ではありません。プロに入るような選手は「俺が一番うまい」と思って入団します。でもプロには自分よりうまい人がゴロゴロいる。一番得意だった事がうまくいかない。自分の生き残る道を模索してたどり着いたのがユーティリティープレイヤーだったんです。

※細かい表現はうろ覚え

このプロに入った瞬間にブチ当たる壁って、多かれ少なかれ社会にでた瞬間にみんな体感するものだと思うんです。
あれ私思ったよりできない子じゃん、なんのスキルもないじゃん、と。

私は今でもふと立ち止まると「あれ、私なんのプロでもないな」と落ち込んでしまうことがあります。
でもそこで落ち込むだけではなく、じゃあどうやったら生き残れるんだろう、圧倒的に能力が高い人たちばかりの世界で自分だけが出せる価値はなんだろう、ともがいて努力するしかないとキムタク先生のインタビューから教えられました。


プロって一体、何なんでしょうか。
最近の私の中での結論は「いつも同じクオリティを出せること」。

たまの一発ではなく体調や気分や状況によらず、いつも一定ラインの成果を出し続けられることこそがプロなんじゃないか、と。

私はヤクルトの山田哲人選手のファンなのですが、彼のすごいところは成績が常に安定していること、打撃だけではなくGG賞をとれそうなほど守備もうまいことだと思っています。
※GG賞…ゴールデングラブ賞。毎年セ・パ各リーグのポジションごとに1名ずつ選ばれる、守備タイトル最高の賞。


甲子園にでていた高校時代からスター選手でしたから、そもそも持ち前の野球センスが違うのだろう、と思っていたら彼もとんでもない努力型でした。

「継続は力なり」「流した汗は嘘をつかない」。黙々とティーでスイングする山田を見ていると、その言葉を痛感してしまう。ふたりの早出ティーバッティングは11種類というところに注目が集まるが、杉村コーチは「ティーのような単調な反復練習って、やり続けるのが大変なんですよ。でも、山田はやり続けることができる。そこが素晴らしいよね」と話す。
出典:山田哲人と杉村コーチの師弟コンビが目指す「とんでもない目標」

安定した結果を出すためには地味な反復練習を繰り返すしかない。
白鳥は一見優雅に見えても水面下ではものすごい勢いで足を動かしている、というのはどの業界でも同じなのでしょう。

"プロ"の仕事の多くは華やかな結果としてしか表面にでてきません。
でも必ずその裏には血の滲むような努力がある。
その努力の過程や力をつけるための考え方・哲学を知るのが私はたまらなく好きなのです。

では自分を振り返ってプロと言えるかというと、まだプロ3合目といったあたりでしょうか。
いち選手としてまだまだ自分の戦うフィールドを模索している状態です。

プロといえば必ず引き合いに出されるイチローは日米通算4000本安打を達成したときにこんなことを言っていました。

4000安打を積み上げるまでに8000回悔しい思いをした。

超一流プレーヤーでも3打席に1本しか打てないのに、なんで凡人のわたしが失敗を怖がることがあるだろうか。
もちろん失敗して叱られたり責められたりすることもあるけれど、5万人の大観衆にため息をつかれても次の打席に立ち続ける彼らを見ていると、人からの評価を気にして挑戦しないことは恥ずかしいことだといつも思う。

もちろん失敗しないように努力して工夫することが前提だけど、それでも相手だって本気でかかってくるんだから結果としてダメなことだってある。
そこで心折れるのではなく、次の打席に心を切り替えていかないといけない。

こうやってヒリヒリするような一流の場所で戦う選手たちの姿勢を見ていると、私はこの人たちと同じ土俵に立てるだろうか、私もプロだと胸を張って会えるだろうかと自省させられることばかり。

野球選手が好きだというとミーハー扱いされるけれど(もちろんミーハー心も多分にあるけれど笑)、ひとつの仕事を徹底的に極める"プロ"たちが私は好きで好きでたまらないのです。

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