「作らずに作る」を目指すファッションブランド・ALL YOURSの挑戦 #ブランドインタビューリレー

今、ファッションビジネスが熱い。

アパレル・小売は「落ち目」と言われがちな業界ですが、私は心からそう信じています。

そこで、今すでに世の中をじわじわと変えはじめている新しいブランドにインタビューし、その考え方をご紹介する「#ブランドインタビューリレー」をはじめました!

記念すべき第一回は、「日常で感じるストレスを無くすプロダクト」をコンセプトに、アパレル業界の常識を次々と覆す施策を打ち出しているALL YOURSの代表・木村さんにお話を伺いました。

「洋服から時間軸をはずしたい」「ALL YOURSは個性を消して溶け込むブランドでありたい」など、ユニークな発言がポンポン飛び出したインタビュー。

その思想の根底にある問題意識や、次なる挑戦に迫ります。

<目次>
1.洋服は、もっとも肌に近い道具である。ALL YOURSのブランド哲学
2.ALL YOURSがクラウドファンディングと相性のいい理由
3.ALL YOURSの思想に影響を与えた3つの会社
4.洋服を「耐久消費財」にしたい!「作らずに作る」への挑戦

1.洋服は、もっとも肌に近い道具である。ALL YOURSのブランド哲学

▲ALL YOURS代表の木村昌史さん。アパレルの枠におさまらないユニークな取り組みで、着実にファンを増やしている。

ALL YOURSが誕生したのは、ちょうど2年前の2015年。

高校生のころからRight-onでアルバイトし、店長や商品企画を経て独立した経緯を、代表の木村さんは次のように語ってくれました。

木村さん:洋服は学生時代から好きだったのですが、特にアメリカのヴィンテージものが好きで。というのも、アメリカのファッションは "機能"が先にあるんですね。

例えば、ジーンズはアメリカのファッションの代名詞ですが、もともとはゴールドラッシュで働いていた炭鉱夫たちのために破けづらい分厚い生地で作ったのがはじまりです。今のジーンズもポケットのところに金具がついていると思いますが、あれはもともと分厚い生地を留めるために、糸では限界があるので金属を打ち込んだのがはじまりなんですね。

今では技術が上がって金具の必要性はなくなり、飾りとしてついているだけになってしまっていますが、本来はデザインに必然性があったわけです。

だから、デザインに無駄がなくてシンプル。完成されたプロダクトだと思います。

そういう機能性を重視したファッションが昔から好きなのもあって、今もALL YOURSではあらゆる衣服に対して「そもそも何のためにできたのか?」を突き詰めて、そこから新しいものを発想するようにしています。

最所:そうしたものづくりへの姿勢は、Right-on時代に培われたものなのでしょうか?

木村さん:そうですね、Right Onで商品企画をしていた時もデザインの奇抜さではなく、ストーリーのある商品づくりを心がけていました。

結局売れる商品って、販売員がお客様に話しやすいものなんですよね。

どんなに商品企画が思いをこめて作っても、店舗スタッフにそれをきちんと伝えられなければ、お客様に届くことはありません。

逆にストーリーのない商品は見た目ばかりが派手になっていって、すぐに飽きがきてしまうという悪循環に陥るように思います。

最所:たしかに、店舗スタッフに丁寧に説明するというのは、後回しにしがちですが一番大切なことかもしれません。Right-onを辞めて自分でブランドを立ち上げようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

木村さん:きっかけは3つあって、

①トレンドに左右されない、本質的な意味のあるものを作りたいと思ったこと
②企画から商品化までの時間を短縮したかったということ
③震災を期に大きく変化した消費マインドに対応するものづくりにチャレンジしたいと思ったこと

が大きな理由です。

まず1つめの本質的なものづくりから話すと、ファッション業界って次々に新しいものを作って「去年のものはもう古い」と感じさせることで、消費を促進させるというビジネスじゃないですか。しかも、ほとんどの流行はハイブランドのショーや雑誌によって作れていて、流行色なんて3年も前から決まっていたりする。

でも、ものづくりの側からすると、自分が丹精込めて作った商品を長く着ていただけるって嬉しいことだと思うんですよね。だから、そういう時間軸をなくしたいなと思って。実際、ALL YOURSでは「2017年S/S」のようなシーズンごとのものづくりはしませんし、ALL YOURSの洋服で個性を出してほしくないとすら思っています。

最所:「個性を出したくない」って、ファッションブランドさんからはじめて聞いた気がします…!

木村さん:ALL YOURSでは洋服をあくまで「一番肌に近い道具」として捉えているので、自分たちのアイテムで個性を出すというよりは、パーツとしてその人のスタイルに溶け込むことを目標としています。

洋服って買う、着る、ケア、とそれぞれのフェーズでストレスが発生するじゃないですか。そのストレスを、いかに素材やデザインからアプローチして軽減するかが僕たちの本質的に追求したい価値だと思っています。

最所:ALL YOURSは素材から開発されているんですもんね。企画から商品かまではどのくらいの期間かかるんですか?

木村さん:モノにもよりますが、だいたい半年から1年くらいですかね。これは先ほどの②に通じる話ですが、やはり会社が大きいと企画から商品化まで1年半〜2年ほどかかってしまうんです。しかも、間にいろんな部門の責任者が入っているので、はじめにイメージしていたものと違うものになってしまうこともあって。また、1型あたりの生産ロットが大きいと売れ残りが怖くてチャレンジングな商品づくりには躊躇してしまいますし、もっと自分が思ったものを思ったように作ってみたいというのは、ALL YOURSを立ち上げた大きな理由のひとつです。

最所:たしかに、消費者の嗜好がどんどん細分化している上にトレンドの寿命がどんどん短くなっている時代、できるだけ在庫のロット数を減らして早く作りたいですよね。

木村さん:やはり2011年の震災を機に、消費マインドも変わったように思います。

ひとつはSNSが力をもつようになって、自己表現としてのファッションがSNSで「いいね」をもらうことに置き換わっていったこと。そして、もうひとつはみんなが「本当の幸せってなんだっけ?」と立ち止まって考えるようになったこと。この2つを強く感じたのが③のきっかけです。

ファッションブランドの多くは、これまで奇抜なデザインやトレンドに乗ることで差別化しようとしてきましたが、これからはモノを売る前に自分たちのコンセプトに共感してもらって、ファンコミュニティを作っていく必要があると思っています。

こうした考え方が、まだモノが完成する前からクラウドファンディングで何百万円分も注文していただけるといった現象につながっているのだと思います。

2.ALL YOURSがクラウドファンディングと相性のいい理由

ALL YOURSのクラウドファンディングページ。24ヶ月連続プロジェクトを打ち立て、毎回たくさんの支援を集めている。

最所:先ほどおっしゃったとおり、ALL YOURSはクラウドファンディングの使い方がうまいブランドだと感じているのですが、アパレルブランドにとってのクラウドファンディングの可能性についてどのようにお考えですか?

木村さん:クラウドファンディングは、ブランドによって向き/不向きがあると思っています。

クラウドファンディングに向いているのは、

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最所あさみ

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最所あさみ

余談的小売文化論

役にたつかどうかわからない余談のような話を中心に書いていきます。 主なトピックは小売や消費、店舗、そして文化について。 (Photo by tomoko morishige)
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